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鈴木光司さんの小説「バースデイ」の感想。ループの続きの物語が最高

鈴木光司さんの小説「バースデイ」の感想。ループの続きの物語が最高 Audible
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鈴木光司さんの小説「バースデイ」の感想・解説・考察。

初版は1999年1月。

「バースデイ」はリングシリーズの4作目となります。

紙の本を持っていて何度か読んでいますが、最後に読んだのはもう15年以上前。

今回はAudible(オーディブル)で聴きました。

オーディブル版のナレーションは下田レイさん。怖くて聴きやすいナレーションでした。

昔、本を読んだ時は「リングシリーズのサブ的な短編集」という記憶でしたが、今回改めて聴いてみるとそうでもなかったようです。

貞子の過去の話もありますが、きちんとループの続編になっています。

ループ世界へ行った馨のことが気にかかっていましたが、そのこともしっかりと描かれていてスッキリしました。

gao the book
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今作は貞子の劇団員時代の話もあって、リングの暗い怖さが漂う物語でした。

鈴木光司さんの小説「バースデイ」のあらすじ

鈴木光司さんの小説「バースデイ」のあらすじを書きます。ネタバレはしていません。

3つの中篇集。

空に浮かぶ棺

リングシリーズの2作目の「らせん」で、高野舞はビルの屋上の排気溝で凍死します。

この物語はその空間で舞が目覚めて亡くなるまでの物語です。

意識が覚醒し少しずつ記憶を取り戻す舞。ビルの屋上になぜ来たのか、そして落下したのか、そこだけはどうしても思い出せない。

文章から図を書いてみました。舞が落ちた場所はビデオテープのケースのような空間。狭く、そして少し深い。タイトルに棺とありますが、こんな棺桶は嫌すぎる…。

小説バースデイ。高野舞が落ちたビルの屋上の図。排気溝はビデオテープのケースのような形状だった。

自身の妊娠(それも臨月)。下着を履いていないことの謎。手が届きそうで届かないところにあるロープのような紐。わからないことだらけですが、お腹から貞子が生まれることで、全てが貞子の狙い通りだったことに気づきます。

赤ん坊の貞子はへその緒を歯の無い口で噛みちぎり、しっかりと意思を持って舞を置いてけぼりに。

「らせん」で既に分かっていたことではありますが、それにしてもかわいそう。

レモンハート

「レモンハート」は貞子が劇団「飛翔」に所属していた頃の物語。

1作目のリングでは浅川の先輩の吉野(映画では松重豊さんが演じた)が、劇団飛翔に出向いて貞子について調べていました。

実は出向いただけではなく、その時に会えなかった他のメンバーには電話取材もしています。

その電話取材をしていた一人が、この物語の主人公である遠山(47歳、既婚)。

遠山は劇団時代に貞子と付き合っていました。そして24年経った今でも貞子を好きで、夢にもよく登場するらしい。

これまでのリングシリーズを読んだ感じだと、貞子は意思疎通ができなそうな無機質なイメージがありましたが、普通に劇団員と接していたようです。

吉野から遠山に会いたいと電話取材を受けていましたが、遠山としても貞子の行方を知りたく、吉野と会って話をします。

この物語は、遠山の過去の記憶の回想がメインで、終盤に吉野から重要なことを聞く、という話になっています。

劇団時代の貞子の詳細なエピソードや、遠山との恋の話が興味深い内容でした。

貞子が不気味な点は変わらず、不可解な行動をいくつもしています。

  • 遠山ですら知らなかった音効室にあった謎の神棚。
  • その神棚にあった謎のへその緒。
  • 遠山のテープに録音された女性の声。
  • 劇団飛翔の代表、重盛の謎の死。

「らせん」や「ループ」はSFの要素が強かったですが、貞子の過去の話ということもあって「リング」の物語のようにホラー寄りの物語になっています。

ハッピー・バースデイ

「空に浮かぶ棺」と「レモンハート」2つの物語を仮想空間「ループ」で見る杉浦礼子。

この「ハッピー・バースデイ」は前作「ループ」の続編になっています。

生命科学研究所の研究者で、ループプロジェクトを引き継いでいる天野徹は、礼子を研究所に呼び、ループの説明、そして、ループの世界へ旅立った二見馨の話をします。

馨がどうなったのか、前作「ループ」を読み終わって気になっていましたが、無事にループ世界で活躍していました。

礼子は馨の子を最後に産みます。

オーディブルで聴くと最後に奥付と著者の紹介がありました。

2026年の5月に著者の鈴木光司さんが亡くなったので、最後の感動的な話と共になんとも悲しくなって泣きそうになりました。

鈴木光司さんの小説「バースデイ」の登場人物

空に浮かぶ棺

  • 高野舞…竜司の部屋にあったビデオテープを持って帰り、自宅で見てしまう。その後、妊娠。ビルの屋上で目が覚めます。
  • 山村貞子…高野舞から生まれる。

レモンハート

  • 遠山博…47歳、既婚(1度離婚している)。音効の仕事をしている。23歳の頃に劇団飛翔に所属し、音効を担当していた。当時、貞子と付き合っていた。今でも貞子が好きで行方を探している。
  • 山村貞子…19歳。劇団飛翔の女優。異例の抜擢で主演に。三週間に及ぶ初舞台の公演後、姿を消す。
  • 吉野賢三…M新聞社横須賀市局の記者。浅川の先輩。「リング」では浅川の願いで劇団飛翔の取材を任されていた。
  • 重盛勇作…47歳。劇作家、演出家。劇団飛翔の創立者、主宰者。舞台の千秋楽を終え、打ち上げ後に貞子の部屋を襲うと言い出かける。翌日、別人のようになりソファーで亡くなる。
  • 大久保…遠山と同期の同い年。背が低い。貞子に気がある。キザな喋りでモノマネが得意。
  • 葉山愛子…劇団飛翔の女優。舞台の主演をする予定だったが、体調不良で貞子が代役に。
  • 飯野…劇団飛翔に所属。無口だがパントマイムが得意。貞子に気がある。遠山の同期。吉野から電話取材を受けていた。
  • 北嶋…飯野と同じく遠山の同期。ナレーションが得意。吉野から電話取材を受けていた。遠山は吉野から現在の北島の電話番号を聞き連絡を取る予定だった。
  • 加藤…飯野や北嶋と同じく遠山の同期。女優。吉野から電話取材を受けていた。

ハッピー・バースデイ

  • 杉浦礼子…34歳。馨の子を妊娠中。
  • 天野徹…生命科学研究所の研究者。ループプロジェクトを引き継いでいる。
  • 二見馨…転移性ヒトガンウィルスを撲滅すべく、ループ世界へ行った。
  • 二見秀幸…馨の父。転移性ヒトガンウィルスを患っている。今作では礼子と会って話をする。

鈴木光司さんの小説「バースデイ」で良かったところ

高野舞の恋愛

「空に浮かぶ棺」では高野舞の過去の恋愛と、高山竜二になぜ魅力を感じたのかが描かれていました。

「空に浮かぶ棺」に関しては、深掘りするほどの物語の内容はあまりないですが(排気口に落ちてから死ぬまでの短い物語ということもあって)、舞が回想するこのシーンは、一つの見どころだと思います。

胎内はループ世界に似ている

今回の3つの物語は全て「胎児」や「へその緒」に関する話が登場します。

子宮の中にいる胎児にとって、子宮の中が世界のすべて。

子宮とループ世界もまた同じようなもので、神の視点を持たない限り、外の世界があることは分からない。

そして、今作でキーになっているのが「へその緒」。へその緒は、胎内と外の世界をつなげる役目をしています。

物語の中ではへその緒のことをインターフェイスと書いていましたが、二見馨が、ループ界と現実世界の接点、インターフェイスとして活躍します。

録音用のカセットデッキに興味を持つ貞子

「レモンハート」では遠山が当時最新の機材として、持ち運びのできる録音機の話を貞子にします。ラジカセみたいなもの?

貞子は舞台女優として成功したいと思っていたが、見てくれる人は限られる。しかし、時代が進めば、いつかこの録音機のように、持ち運びができる小さな媒体に映像が記録できるかも知れない。そうなれば自分を見てくれる人が増えるだろうと夢想します。

「リング」で貞子がビデオテープに念を込めたのは、この遠山との出会い、カセットデッキとの出会いが大きそうです。

そして、すでにこの当時、貞子は自分の声を念で録音することに成功しています。

そのおかげで、遠山は恐怖に怯えることになりますが…。

レモンの匂い

「レモンハート」の遠山は音効室に漂う、未成熟なレモンの皮を剥くときの刺激臭に近い匂いを頻繁に嗅ぎます。

このレモンの匂いは、「リング」で浅川たちが感じた「柑橘系の匂い」と一緒なのか?そこが少し気になっています。

リングウイルスに感染した人だけが嗅ぐ「柑橘系の匂い」。もしかすると続編の「エス」や「タイド」にも登場するかも知れません。また読み直したいと思います。

劇団員の多くが亡くなっている

「リング」を読んだ段階では、劇団の創立者の重盛が亡くなっていたのはわかっていました。

今作を読むと、劇団飛翔のメンバーの多くが亡くなっていました。

劇団員時代にではなく、30代から40代になって心臓病で亡くなっています。劇団メンバーの半分以上が亡くなる確率の高さ。

貞子怖すぎる。

小説「バースデイ」で謎だったこと

へその緒は誰のものだったのか?

「レモンハート」の音効室にあった「へその緒」。

このへその緒は誰のものだったのか、よくわかっていません。(シンプルに僕が気づいてない可能性大)

遠山のホームグラウンドであった音効室のキャビネットの中にあった神棚とへその緒。

その存在を遠山はおろか他の劇団員も知らず、貞子だけが知っていた。

全て貞子が仕掛けたもの、と思わずにはいられません。

しかし、そのへその緒の出どころはよくわからず。

シリーズ1冊から思い返してみても、へその緒の話は今まで出ていなかったような気がします。

もしわかったら、また記事を修正・追記したいと思います。

まとめ

リング、らせん、ループ、バースデイを順番に読んで、かなり物語が理解できました。

この4作を踏まえずに読んだ(というより4作の内容をほぼ忘れていたタイミングで読んだ)「エス」と「タイド」は、ちょっと理解が乏しい気がします。

すでにこの2冊はブログで感想を書いていますが、どこかのタイミングでオーディブルで聴いて、感想を書き直そうと思います。

ループの物語が気になっていましたが、今作で完結していて感動しました。

逆にどうやって「エス」「タイド」と物語が続いていったのか、もう忘れていて、続きが気になっています。

読みたい本が多すぎて、なかなか色々と追いついていないですが…。

リングシリーズはAudible(オーディブル)の聴き放題で全て聴けます。最初の30日は無料でお試しができるので是非。

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