梨さんのホラー小説「ここにひとつの□がある 」の感想・解説・考察。

2024年11月発行。
この作品はKindle Unlimited(キンドルアンリミテッド)で読みました。
8章からなる8つの短編ホラー作品。
割と王道な心霊体験や、奇妙な話、都市伝説の話に加えて、箱にまつわる特殊なギミックを使った話が斬新です。
短編の中には個人的に理解しづらい話もあって、評価が分かれそうな一冊。

Kindle Unlimitedを契約している方は、まずはKindle Unlimitedで読んでみてください。
ホラー小説「ここにひとつの□がある 」についてざっくり解説
8つの短編はどれも箱が登場します。それぞれの話のあらすじと感想を書きます。
邪魔
地元に帰る主人公の上尾。
高校を卒業してからは東京で生活。2、3年に一回実家に帰る頻度。
平日の午後四時ごろ、家の近くを散歩している際に、上尾を呼び止める女性がいる。
一歳上の彩香だった。近所に住んでいて幼少期に遊んだ記憶がある。
唐突に家に呼ばれ、お茶を飲みながら話をする。
家族が亡くなった話を聞かされるも、最後にどんでん返しが…。
終盤、主人公の居場所(どこで暮らしているのか)がよく分かりませんでしたが、割と王道な心霊物語でした。
放課
28歳の女性の主人公。
周囲の会社の同僚の話が耳に入ってくる。
他愛もない会話だったが、ふと小学生の頃の話を思い出す。
小学校6年の時に世話をしていた小学校1年の少年との思い出。
給食のパンを机に入れたままの話、近所の神社のお賽銭の話。
会社から家に帰る途中に、その少年が登場し、忘れていた重大な話を思い出す。
意外な展開と都市伝説も加わって、奇妙で怖い物語でした。
カシル様専用
都市伝説のような物語。
ネットオークションで「カシル様専用」という名前で出品すると、すぐに誰かが購入する。落札された後に、空のダンボールだけを送る。
段ボールしか送ってないのでほとんどお金がかからず、出品の際には適当な値段で出品するので、ちょっとした小遣い稼ぎに良い。
しかし、なんとも不気味。
ネット上ではある噂があった。「カシル様専用の箱」を持っていると恐ろしいことが起きる、と。そして、カシル様の家は実在していた。
捨てても戻ってくる箱に悩まされる恐怖の物語。
練習問題
序盤の3つの物語は、ホラー作品としてきちんと構成されていますが、この「練習問題」から少しずつ、斬新な作風の短編が続きます。
小学生や中学生向けの数学や物理の質問が、問題形式で構成されています。
段々と質問が不可解なものになっていく、という仕掛け。
後の「穴埋め作業」「箱庭」に向けてのジャブのような物語だと感じました。
京都府北部で発見されたタイムカプセル
この短編はちょっと理解が及ばず、2度読んでみましたが意味が分かりませんでした ^^;
人間ではない何かと、ちゃんとした人間の物語? 玉手箱のようなものも登場します。
穴埋め作業
「練習問題」のような構成で、この短編ではクロスワードパズルが続きます。
最初はほぼ答えがわかりませんが、同じ問題で解説付きで改めて一緒に解いていきます。
よく作られたパズルで、斬新さはあるものの、そこまで怖さはなく。
実験的な物語だと思いました。
虹色の水疱瘡、或いは廃墟で痙攣するケロイドが見た夢の中の風景
今までの作風とは違ってちょっとグロテスクな心霊体験。
主人公が7歳か8歳の頃の記憶の物語。
叔父の通夜での出来事がなかなかに気持ち悪い。
文章の表現も不気味で暗く、気持ち悪さの際立つ物語でした。
箱庭
最後のこの話ですが、意味がよくわからず ^^; そればっかりと言われそうですが、ちょっと難易度が高かったです。
女性のモザイク写真があり、タイトルでもある□についての考察の物語です。
ホラー小説「ここにひとつの□がある 」の感想
8つの短編のうち半分くらいはホラー作品として楽しめました。
残りの4つの短編は実験的な印象を受けました。意味が分かりづらい話が多いので評価が難しいところ。
僕はKindle Unlimited(キンドルアンリミテッド)で読みましたが、もし読めるタイミングであれば、Kindle Unlimitedがおすすめです。梨さんのファンであればまだしも、紙の本を購入してまではおすすめできないかな、という感じでした。



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