柚月裕子さんの小説「朽ちないサクラ」の感想と解説を書きます。
最初の単行本は2015年2月に発行。オーディブル版は2024年6月配信開始。
この作品はAudible(オーディブル)で聴きました。
ナレーションは音代雪里さん。とても聞きやすいナレーションで物語に集中できました。
2024年6月に実写映画になっています。オーディブル版も映画に合わせて作ったのかも。
映画は見ていないですが、オーディブル版で聴く限り正統派なハードボイルド作品という感じでした。

映画になるくらいなので話題作だと思われます。オーディブル版で聴いてみての率直な感想を書いてみます。
小説「朽ちないサクラ」のあらすじ
小説「朽ちないサクラ」のあらすじをざっくりとご紹介します。(ネタバレしない範囲で)
主人公は森口泉。警察の広報職員。
ある日ストーカーに女性が殺害される。
被害者は警察に何度も足を運んでストーカー被害を相談していたが、担当の警察官は引き伸ばし引き伸ばしで、なかなか事件として取り合ってくれない。警察官が慰安旅行(その中に担当者もいた)に行っている間に被害者が殺害される。
警察の不祥事としてスクープに。
その後、泉の親友の新聞記者の遺体が発見される。
署内では慰安旅行の情報漏洩の犯人を探していたが、その漏洩元が自分(主人公の森口泉)ではないか?と焦り、情報漏洩した人物が誰なのか自身で探るため動き出す。
警察署の不祥事、謎の遺体、公安警察、カルト教団、さまざまな問題と組織が絡み合って物語は展開されます。
ドラマを見ているような感覚で非常に読みやすい(聴きやすい)作品でした。
小説「朽ちないサクラ」の感想と解説
小説「朽ちないサクラ」は刑事物のミステリーが好きな方は特に楽しめる作品だと思います。
この作品の主人公泉は警察署内で働いているものの広報課の事務員。
警察官ではないので、捜査はできないし立ち回りもおぼつかない。でも、泉は上司や外部の警察官にも怯まない精神力、粘り強さを見せます。そこがこの作品の一つの魅力。
ただ、率直な感想を言うと正統派な作品であるものの「普通」な印象を受けました。
オーディブルのサイト上で話題作として表示されていたので聴いてみましたが、想像を超える新しさや意外性はなかったかなという感じです。
ただ、こういう物語は文章よりもビジュアルがあるとより楽しめそうです。そう意味合いで実写映画はかなり楽しめるんじゃないかなと思っています。
この小説を読んで(聴いて)新たに知ったことについて
「朽ちないサクラ」を聴いて新しく知ることが複数ありました。
本編とそこまで関係ないですが少しだけご紹介します。
被害届けは受理したら拒否できない
被害届けは受け取ってしまうと拒否できず、捜査の必要性が出てくる。らしい。
何でもかんでも被害届けを受理してしまうと、検挙率にも関わってくるそうです。
できる限り被害届けとして受け取らず、相談の段階に留める。
小説の内容はフィクションですが、こういうことも現実としてありそうな話ですね。
公安警察
この小説では公安警察が登場します。
ドラマや映画でなんとなく聞いたことはありましたが、あまり気にしたことはなく…。
この小説では公安警察について説明がありました。
公安警察は通常の警察とは捜査対象が違うようです。カルトやテロ組織を捜査対象としていて、国家を守るのが第一の組織。だそうです。
また、通常の警察は起きた事件の捜査をするけれど、公安警察はこれから起きることを未然に防ぐ捜査をする。そのあたりの違いも書かれていました。
はえ〜。
上位下達
最後に、これは本当にどうでもいいんですが「上位下達」という言葉。
今まで「じょういげたつ」と読んでいました。オーディブルは朗読してくれるので分かりましたが正しくは「じょういかたつ」。
オーディブルのメリット来たー! 笑
まあ、なかなか使う場面のない言葉ではありますが ^^;
コメント