背筋さんのホラー小説「目が」の感想・解説・考察。

2026年6月発刊。
この小説はAudible(オーディブル)で聴きました。
著者の小説に「口に関するアンケート」がありますが、今回は口ではなく「目」。特に視線に関する物語です。
オーディブルでは1時間しかないので、おそらく紙の本だとかなり薄い本だと思います。オーディブル作品で1時間というのは初めて。
オーディブルのナレーションは辻留奈さん。物語を通して淡々としたナレーションで、話によっては棒読みに近いナレーションが不気味でした。

こういう作品は結構好きです。
背筋さんのホラー小説「目が」のあらすじ
背筋さんのホラー小説「目が」のあらすじを書きます。ネタバレはしていません。
4つの物語に分かれていますが、全て話がつながっています。
4つの物語とは別に、最初にイントロダクションがあります。
有名な霊感テストの話(科学的な根拠はなく都市伝説のようなもの)。
5つの質問から何か感じるものがあれば、霊感がある、という内容。
別の手順もあって、こちらは少し不気味。このテストは物語にも関わっています。
それでは、4つの物語を簡単に書きたいと思います。
視線
都内の大学に通う大学生のI(主人公)と、他の大学に通う彼女のA。
彼女のAから「視線にまつわる怪談」を聞きます。
Iは大学で視線の動きを検証していたので、研究に関わりがありそうだと思ってAは話したらしい。
Iの大学の先輩に視線に詳しい人がいるので、話を聞きに行く。
先輩はその怪談に関わりがありそうな視線圧の話をします。
大学の男女50人ほどに街を歩いてもらって調べた実験。
視線圧を調査した実験で、視線圧は昼と夜でも違ったり、大通りや細い道でも視線圧の違いがあった。
視線圧は、視線量(視線を送る)、注視度(見られる)の二つを集めた数値。街にある心霊スポットの廃墟の近くでは、この視線圧の異常値があり、先輩も不気味に感じています。
廃墟の心霊スポットは、そこへ視線を送る人が多いが、廃墟からの視線(注視度)も多い、という実験結果。
神様
お金が無く、高額のバイトを探していた主人公の男M。
バーで知り合った男にいいバイトがある、と教えられ、そのバイトをすることに。
マンションの一室を1日に数時間、監視するという仕事だった。
5〜7日間の短期バイトだが、日給5万円と高額。
その一室にいる1人の中年男性を、深夜2時から監視します。
監視するカメラとは別方向に、チラチラと視線を送る中年男性。その方向はカメラの視覚で何があるかは見えない。
段々とその中年男性の様子がおかしくなります。
バイトが終了して半年後、またバーの男性に会い、あのバイトの話を聞きに行く。
功徳
タイトルが段々と宗教じみてきて、これはこれで怖い。
若いカップルの明日香と樹。
明日香は「ポイントを貯める」という名目で、さまざまな奇妙な行動を取ります。
ドン引きの樹は別れを告げようとするものの、明日香から「目を増やす方法」を聞かされ、自分も興味を持つ。
天国
この小説は最初の2つの話がメインで、文章の長さも「功徳」と「天国」はかなり短いです。
この「天国」の物語は、3つの物語の総括のような内容になっています。
最初のイントロダクションから意味がよくわかりませんでしたが、色々と謎が解けて、最後に大きな仕掛けがあります。
背筋さんのホラー小説「目が」の登場人物
小説「目が」は物語が短いので登場人物もかなり少ないです。
- I…都内の大学に通う大学生。認知情報学の研究室に所属。
- A…文学部の大学生。流行り物やブランドが好き。小説家になりたいらしい。美人。
- 大学の先輩…視線学を学ぶ大学生。Iの大学の先輩。
- M…お金に困って高額のバイトを探す男。
- 樹…明日香と付き合う男性。明日香の行動を監視している。
- 明日香…樹と付き合っている女性。ポイントを貯めたいために、奇怪な行動をする。
背筋さんのホラー小説「目が」の良かったところ
添付のイラストがなんだかいい
この小説のオーディブル作品にはPDFの添付ファイルがあります。
閲覧してみると、フジツボのような目の集まり(イクラのような卵にも見える)が描かれたイラストでした。
左側に何かがありますが、これはよくわからず。ドアノブ?監視カメラ?
紙の本でもおそらくこのイラストが最初のページに記載されていると思いますが、こういうイラストの仕掛けはなんだか好きです。
地蔵の役割
明日香は天国へ行きたいため、ポイントを貯めます(功徳を積む)。
ポイントを貯める行為の一つにあったのが、地蔵に飲みかけのコーヒーをかけること。コーヒーをかけるのはむしろ、ポイント貯まらなそうですが 笑。
作家の中島らもさんの小説(エッセイだったかも)で、地蔵の話が興味深く、今でも覚えています。
地蔵そのものに祈っても特に意味はない。神様の類でもない。地蔵は地獄の閻魔様が現世で生きる人たちを監視するカメラ。さまざまな場所にある地蔵を通して、閻魔様が人の行いを監視している、らしい。
地蔵にお供えをするのも、人としていいことしてます、という点でポイントは高そうです。
中島らもさんの地蔵の話を踏まえた上で考えても(踏まえなくてもわかりますが)、飲み掛けのコーヒーをかけるのはやっぱりダメなんじゃないかな、と思いましたが、明日香がどうなるか?是非読んでみてください。
まとめ
オーディブルで聴いたので、淡々としたナレーションが耳に残って、なかなかに不気味な作品でした。
怖いと言うよりは不気味なイメージが強かったです。
こういう奇抜な短い小説を出版するのは、結構なチャレンジだと思いますが、やり通す背筋さんと出版社の心意気が素晴らしい。
口に関するアンケートもですが、紙の本は普通の単行本のスタイルではないので、その点も注目ポイントです。
Audible(オーディブル)では今作も含めて、聴き放題で背筋さんの作品が聴けます。最初の30日は無料でお試しができるのでぜひ試してみてください。



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