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凪良ゆうさんの小説「汝、星のごとく」の感想。人生を凝縮した傑作。

凪良ゆうさんの小説「汝、星のごとく」の感想。人生を凝縮した傑作。 Audible
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凪良ゆうさんの小説「汝、星のごとく」の感想・解説・考察。

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2022年8月発刊。

2023年本屋大賞受賞。シリーズ累計売上が100万部以上の話題作です。

この小説はAudible(オーディブル)で聴きました。

オーディブルのナレーションは、柚木尚子さんと志村倫生さん。とても聞きやすいナレーションでした。

話題作なのでSNSや本屋さんでもよく目にしていましたが、ようやくオーディブルで聴くことができました。

最近読んだ小説でおすすめを聞かれたら、この作品をまず挙げます。

人生を丸ごと一冊に凝縮したかのような濃い物語。ジェットコースターのような怒涛の喜怒哀楽。

恋愛小説ですが綺麗な物語ではなく、かなりリアルな人生が描かれています。心をえぐられました。

gao the book
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日本人なら誰しも身に覚えがある人生の縮図のような物語。地元、愛媛が舞台なのでそこも嬉しいポイントでした。

小説「汝、星のごとく」のあらすじと感想

小説「汝、星のごとく」のあらすじと感想を書きます。ネタバレはしていません。

この小説は、主人公の青埜 櫂(あおの かい)と井上 暁海(あきみ)の2つの物語が交互に展開。章をまたぐと一気に時間が経過します。

序盤は高校生のラブストーリー

二人は愛媛県今治市の島に住む17歳の高校生。

櫂の母はいつも男に振り回されていて、暁海の母は父の浮気に悩まされていた。

似たような境遇の母を持つ二人は助け合い、やがて付き合うことになる。

翌日には二人が付き合っていることが島中に知れ渡る。島民同士の助け合いがある良い面と、プライバシーがないという悪い面。田舎あるある。

二人はこういう島ならではの生活が嫌になり、高校を卒業した後は島を出たいと思っていた。

小説の序盤は割と普通のラブストーリーです。

僕は一旦読む(オーディブルなので聴く)のを辞めようと思いましたが、高校卒業後は、二人の人生が目まぐるしく変わって、物語は一気に面白く(人生がよりシリアスに)なっていきます。途中で読むのを辞めないでよかった。

高校卒業後の二人の展望

櫂は2年前から久住 尚人(くずみ なおと)とWebサイト上で知り合い、櫂は小説(原作)担当、尚人は作画を担当して、二人で漫画を作っていた。

サイト上に投稿した二人の漫画は人気を博し、青年誌の優秀賞を取る。出版社の編集担当の植木と3人で雑誌掲載を目指す。やがて、青年誌の連載を獲得し、櫂は島から出る口実もできた。母のことは心配だったが、新しいパートナーとひとまずうまくやっていたので、安心して東京に出ることに。

暁海は島を出て東京で生活したいと父に相談。父の浮気相手である林 瞳子(はやし とうこ)がお金を出してくれるという話になっていた。瞳子は刺繍作家。自立した女性で堂々としていた。父もたじたじでこんな父の姿を見るのは初めてだった。

結局、母を置いていけず、東京行きは断念。今治市内の会社で営業事務の仕事をする。

暁海は刺繍を作ることが好きなので、いつか瞳子のような刺繍作家として生活したい、という夢を持つ。

遠距離恋愛と、暮らしの違い

高校卒業後、櫂と暁海は遠距離恋愛を開始。暁海は数ヶ月かごとに東京に遊びに行っていた。

櫂の漫画は人気を博し、給料もたくさん入るようになる。

暁海が働いている会社は昔からの古い風習が根強く残る会社で、いくら女性が良い営業成績を上げても昇進はおろか昇給もほぼなかった。

毎月の手取りが15万程度の暁海と、高い給料を得ている櫂。二人の間には少しずつお金に対する価値観のズレが生じていた。

自立して頑張りたいがうまくいかない暁海。かと言って精神的にまいっている母を残して島を出るわけにもいかない。

東京で漫画家として大成してる櫂と自分をどうしても比べてしまう。釣り合わなさに焦りを感じる。

櫂は高校時代に比べて、暁海に魅力を感じなくなっていた。自分でも何が原因かわからない。そして、明らかに暁海が自分に対して無理をしているように感じる。

この部分は二人の視点でそれぞれ物語が進行するので、痛いほど二人の気持ちがわかります。

人生ってほんとに難しい。二人のような状況であれば、誰もがきっと陥ってしまいそうな状況。

大きな転換があり、終盤は泣ける

章をまたぐにつれ、どんどん時間は経過していき、いつしか二人の溝は埋められないほどになっていきます。

永遠に辿り着けないのが恋。ゆったりと知らない場所に辿り着くのが愛なのか。

汝、星のごとく

結局、二人は別れることに。

そして、うまくいっていた櫂の漫画家人生にも大きな転換が起きます。

島で暮らす暁海の人生にも、こちらはこちらで大きな問題が生じ、物語が動きます。

ここからはネタバレになってしまうので省きますが、大まかに小説の物語としてはこんな感じです。

二人の恋愛と仕事はどうなっていくのか? 全然先が読めない展開で楽しめました。

終盤は本当に泣けるので、ぜひ最後まで読んでみてください。というより、中盤まで読めばもう次の展開が気になってしょうがない状態になります。

綺麗なラブストーリーではなく、生々しくて、ある意味で、どこにでもあるようなラブストーリーのようにも感じました。

恋愛小説ですが、人生そのものを描いた作品です。

小説「汝、星のごとく」の登場人物

小説「汝、星のごとく」の登場人物を書きます。

メインの人物たち

  • 青埜 櫂(あおの かい)…主人公。高校生。本当は漫画を描きたかったが、絵の才能が無く、小説を書いている。後に尚人とタッグを組んで漫画を作ることに。
  • 青埜 ほのか…櫂の母。スナックのママをしている。男に人生を委ねがちで、櫂は小学生の頃から振り回されていた。
  • 井上 暁海(あきみ)…もう一人の主人公。高校生。両親の問題を抱えつつ、将来は刺繍作家になりたいという夢を持つ。
  • 井上 志穂…暁海の母。父の不倫により精神的に参っている。
  • 北原 草介(きたはら そうすけ)…高校の先生。シングルファーザー。飄々としていて掴みどころがないが、とても心優しい先生。
  • 北原 結…草介の娘。
  • 明日見 菜々…北原の元妻。
  • 林 瞳子(はやし とうこ)…暁海の父の浮気相手。刺繍作家。40代半ば。自立していて、しっかりと自分の生き方を持っている。

漫画の関係者

  • 久住 尚人(くずみ なおと)…櫂とタッグを組んで漫画を執筆。作画を担当。ゲイであることを櫂に打ち明ける。
  • 植木 渋柿…尚人と櫂の漫画担当編集者。ずっと櫂と尚人の世話をしてくれる優しい人物。
  • 二階堂 絵理…櫂の小説担当の編集者。櫂の文章の才能に目をつけ、長い間世話をしてくれる。
  • 安藤 圭…尚人の恋人。高校生。

小説「汝、星のごとく」で良かったところ

自立すること、お金のこと、自分でコントロールすること

暁海の父の浮気相手である瞳子が、自立すること、お金の大切さを暁海へ語るシーンがあります。

お金は大事で、お金があれば我慢せずに自分で行く先を決めて生きていくことができる。

お金のことと、自分で自分の人生の手綱を握ること。

これは、この小説のテーマに含まれていると感じました。

お金のことと、自分で人生をコントロールすることについては、櫂も暁海も随分と悩むことになります。

断ち切りたいけど断ち切れない家族

櫂も暁海も、両親のことを荷物に感じるシーンがあります。

荷物を全部抱えて「どんと来い!」と強く生きられればいいですが、なかなかそううまくいかなかったりしますよね。

僕自身もこの先の親の介護や死のことを考えると、いっそのこと全部ほっぽり出してどこかへ行ってしまおうかな?と考えたこともあります。

この小説でも描かれていますが、やはり家族のことはそう簡単に断ち切れません。

若い頃には考えもしなかった、両親が重荷になるということ。歳を取ると病気やお金、親のことなど、しんどいことが増えていきます。

この二人がかわいそうなのは、随分と若い頃からその重荷を背負わされているところです。ヤングケアラーという言葉が登場しますが、この小説のテーマとしてこのヤングケアラーも含まれていそうです。

高校生なのに妙に大人な二人。自分を押し殺して、親のために懸命に生きている姿は、やはり見ていてツラい。

ちょっとしたことで転落

物語の中盤以降、櫂も暁海も人生が一気に転落して、ピンチになります。

とてもフィクションとは思えず、自分の人生にも十分降りかかってきそうな、風向きの悪さ。

お金が大事ではあるけれど、なんだかんだで、ピンチな時には人の優しさに救われるのかも知れません。

とにかくこの作品、良い作品ですが、読んでいてきつかった。

「今治へ行く」と言う表現

最後に、少し疑問だった部分について。

二人が住んでいた今治の島も今治市に属すると思いますが、島の人たちは陸の今治市内に行く時には、「今治に行く」という表現をしていました。

おそらく島の人たちからするとこれが普通なんでしょうね。

僕は愛媛県人ですが、そう言えば今治の島には行ったことがありません。今治市内では半年ほど仕事をしていた時期もあったんですが…。

島の景色は非常に綺麗で有名ですが、今度行ってみようと思います。

まとめ

あらすじなどにも全く書いていませんでしたが、高校の科学の教師に北原 草介(きたはら そうすけ)という先生が登場します。

二人の担任ではないですが、要所要所で二人を助けてくれ、終盤にはかなり大きく関わります。

この先生の飄々とした優しさもこの作品の魅力の一つ。

それから、漫画の編集担当の植木さんと、小説の編集担当の二階堂さん。この二人もすごく親切。

編集者に対する見方(そんなものはそもそも特になかったですが)が変わりました。愛情にあふれたこの二人の編集者も見どころです。

とても名作なのでぜひ手に取ってみてください。

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Audible(オーディブル)を2年近く契約し続けています。その経験を含めオーディブルの魅力をご紹介。また、オーディブルの解約方法も書いています。オーディブルは運動をしながら小説が読める所、新作・話題作を聴き放題で聴けるのが最大の魅力です。

ちなみに、この作品は続編があるようなので、こちらもオーディブルで聴き終わり次第、感想を書いていく予定です。

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