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川上未映子さんの小説「すべて真夜中の恋人たち」の感想。光と恋の話

川上未映子さんの小説「すべて真夜中の恋人たち」の感想。光と恋の話 Audible
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川上未映子さんの小説「すべて真夜中の恋人たち」の感想・考察・解説。

Amazon.co.jp: すべて真夜中の恋人たち (講談社文庫) 電子書籍: 川上未映子: Kindleストア
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初版は2011年10月発行。思っていたよりも古い作品。

この作品はAudible(オーディブル)で聴きました。

オーディブルのナレーションは小林さやかさん。オーディブルのナレーションでは珍しいかもしれませんが、人物で大きく声を使い分けないナレーションが逆に新鮮でした。非常に聴きやすくて良かったです。

人付き合いが苦手で恋愛経験に乏しい34歳の主人公。24歳も年上の男性に恋に落ちる。その恋の病が重々しく、なかなか読んでいてしんどかった。

生々しくヒリヒリする恋物語ですが、ついつい光と闇の世界を想像してしまうようなファンタジーさも感じる不思議な作品。

川上未映子さんの小説を読むのは今作で3冊目ですが、この作品も面白くて心に残りました。

gao the book
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光の話がとても良かった。

小説「すべて真夜中の恋人たち」の登場人物

登場人物は少なく、メインは以下の三人です。

  • 入江冬子(ふゆこ)…フリーで校閲の仕事をしている34歳。主人公。
  • 石川聖(ひじり)…冬子に仕事を依頼する出版社の校閲社員。34歳。
  • 三束(みつつか)…物理を教える高校教師。58歳。

ちょい脇役(オーディブルで聞いたので漢字が間違っているかもしれません)

  • 早川紀子…高校時代の友人。冬子と一緒に登下校をしていた。
  • 水野…高校の同級生。同じ書道クラブに所属。
  • 京子…冬子に仕事を依頼する。冬子の10歳年上。

小説「すべて真夜中の恋人たち」のざっくりあらすじ

小説「すべて真夜中の恋人たち」のあらすじをざっくりと書きます。ネタバレはしていません。

人間関係が苦手で趣味もない主人公の冬子。

冬子と同じ会社に勤めていた京子がプロダクションを立ち上げ、校閲の仕事を手伝ってもらえないか?と電話がかかってくる。

京子の知り合いで大手出版社に勤める石川聖から校閲の仕事をもらい、会社の仕事が終わった後にバイトで校閲の仕事をすることに。

その後、聖からの強い提案もあり、冬子は出版社を退社しフリーランスの校閲になる。

34歳で同い年の冬子と聖。関係は良好で仕事も順調だった。

冬子は趣味がほとんどなかったが、9年前の25歳から毎年「誕生日の夜に散歩する」ようになる。夜の光がとても好きだった

ある日、聖と初めて一緒に飲みに行く。ザル(お酒に強い)の聖を知り、お酒を全く飲まなかった冬子は、この日からお酒を飲むようになる。これは聖に付き合えるように、自分もお酒を強くなっておこう、と思ったからなのかも知れません。特に作中に説明はないですが。

街でもらったカルチャーセンターのチラシをきっかけに、冬子はカルチャーセンターで講義を受講。

そこで三束と出会う。カルチャーセンターでバッグを盗まれて(財布も)困っていた冬子は、心配してくれていた三束にお金を借り、後日カフェでお礼と共にお金を返す。

そこから三束と週一で会うことに。三束は高校で物理を教えているらしい。

物語は、冬子の高校時代の話、聖の社内での噂の話を経て、冬子は恋の重い病を患う。

終盤には三束と距離を縮めるべく歩み寄る冬子。そして、聖とのぶつかり合い。

冬子の過去の話もなかなかに悲惨ですが、聖から浴びさせられる冬子への言葉もなかなかにキツい。

読んでいるこっちまで感情が崩壊しそうでした。

恋の結末がどうなるかは是非読んでみてください。

小説「すべて真夜中の恋人たち」の良かったところ

酒を飲みまくる冬子

聖と初めて飲みに行ってから、冬子は魔法瓶にお酒を入れて外出し外でもお酒を飲む。三束に会う前は事前に必ずお酒を飲む(それもまあまあ飲んでるっぽい)。

さすがに三束も気づいていると思いますが、淡々と真面目に二人のデートが描かれているので、ちょっと奇妙な感じで面白い。お酒飲んでませんか?というツッコミが入りそうで三束はツッコミを入れず。(1度だけカルチャーセンターで最初に会った際にツッコミはありましたが)

ショパンの子守唄

三束は冬子に色々と質問をして話を広げようと思うものの、冬子に趣味はなく面白いエピソードなども持ち合わせていたなかった。

三束はクラシック音楽が好きで、ショパンの曲を冬子に話す。

光が好きな冬子に、三束がショパンの中でも特に光を感じるショパンの子守唄。

ショパンのことはほとんどわかりませんが、気になって調べてみると子守唄という曲があるようです。YouTubeで演奏を見てみるとピアノの繊細さが印象的でした。

冬子と三束が夜に散歩している時に「真夜中はなぜこんなに綺麗なんだろう。どうして真夜中は光だらけなのか?」と問うと「真夜中には世界が半分になるからですよ」と答える三束。「ショパンの曲は夜の呼吸のようだ」と思う冬子。

三束の大人の対応

58歳の三束は、ほとんど沈黙ばかりの冬子との会話にも無言で優しく受け止める。

ほとんど全てを受け入れてくれるような懐の深さ。これは歳を重ねることによって獲得したものなのか、それとも三束の元々の性格なのか。

会う前からいつも冬子がお酒を飲んでいることもほとんど突っ込まない。様子がおかしくてもあえて何も言わない。

そんな何でも許容してくれそうな三束に、冬子は恋をしたのかも知れません。

まとめ(恋は重力?)

終盤は非常に切なく、人間にとって恋とは一体なんだろう?と、改めて考えてしまうような物語でした。

恋愛をしていると(特に片思いの時)普通じゃいられないほどの引力があるというか、他のことはそっちのけになってしまう。ふわふわと浮き足立ち、落ち込むと重力は何倍にも感じる。

ふと、伊坂幸太郎さんの「重力ピエロ」という小説を思い出しました。画家のシャガールの絵の話があって、シャガール自身と恋人が登場する絵では、シャガールは空を浮かんでいます。

物語の中では物理の話、特に光についてのエピソードが多いですが、冬子の恋患いを見ていると重力も感じる作品でした。

あまり恋愛小説は進んで読まないものの、なかなか展開が読めず楽しめました。こんな物語よく思いつくなと。

Aubible(オーディブル)でぜひ聞いてみてください。

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