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小説「夜行観覧車」の感想。受験ストレスで壊れる子、その家族の物語

小説「夜行観覧車」の感想。受験ストレスで壊れる子、その家族の物語 Audible
この記事は約5分で読めます。

湊かなえさんの小説「夜行観覧車」の感想・解説・考察。

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この作品はAudible(オーディブル)で聴きました。

ナレーションは安田章大さん。登場人物に女性が多い物語でしたが違和感なく物語に浸れました。プロのナレーションはやっぱりすごい。

タイトルからは想像できない壮絶な物語でちょっとびっくり。

読んだ後は暗い世界が少し晴れたような気分になりました。

gao the book
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ある程度内容を書いていますのでネタバレしてると言ってもいいかも知れません。このあたり毎回判断が難しい。

小説「夜行観覧車」の登場人物

最初に登場人物をご紹介します。

【遠藤家】

  • 遠藤真弓…母。ひばりが丘に一軒家を持つ夢が叶う。パートをしている。
  • 遠藤啓介…父。工務店で働く。事なかれ主義で娘の彩花の癇癪は知っていたが、注意もせず見て見ぬふり。
  • 遠藤彩花…娘。高校受験を控える中学生。受験やその他様々なことで精神的に追い詰められている。自身で「坂道病」と言う病名をつけている。見える世界に傾斜を感じ、まっすぐ歩けなくなるほど。

【高橋家】

  • 高橋淳子…母。料理が上手。慎司に期待していて学校での成績に厳しい。
  • 高橋弘幸…父。淳子と再婚。医者か建築家か迷ったが医者をしている。殺害される。
  • 高橋良幸…長男。大学生。良幸の母は4歳の時に亡くなる。大阪で一人暮らしをしている。
  • 高橋比奈子…長女。高校生。弟思いのいいお姉さん。
  • 高橋慎司…次男。バスケ部で部活を頑張っていた。父が殺され失踪する。

【ひばりヶ丘のその他の住人】

・小島さと子…遠藤家の隣人。30年ひばりが丘に住む。高級住宅地と呼ばれる前から住んでいて、ひばりが丘を守ってきた自負がある。いつもは品の良いおばさん。お金持ち。

【その他の人々】鈴木家。鈴木家は遠藤啓介の仕事上でのお客。

  • 鈴木あゆみ…高橋比奈子の同級生で友人
  • 鈴木ひろき…あゆみの弟

比奈子と慎司の母は淳子で、良幸は母が違う点が一つのポイントに。

小説「夜行観覧車」のあらすじと感想

高校受験を控える娘を持つ遠藤真弓。

娘の遠藤彩香は癇癪持ちで、物を投げる、壊すなどの行為を頻繁に起こしていた。

彩香の気持ちが理解できず、真弓はなんとか癇癪を起こさせないよう気を配っていた。

遠藤家が住む高級住宅地「ひばりヶ丘」は閑静な住宅街だが、その癇癪の声は近所の家に聞こえていた。

中学受験の失敗。周りの学生たちとの比較。ひばりケ丘の中でも一番小さい家に住む彩花は精神的に参っていた。

ある日、向かいの家の高橋家で殺人事件が起こる。

その後、すぐに息子の高橋慎司が失踪。

高橋家はテレビでも大きく報道される。プライバシーを守った映像がテレビに流れるが、近所の人から見れば高橋家であることは一目瞭然。高橋家の窓ガラスは割られ、落書きが増える。人が住むに住めない家に。


高橋家と並行して進む遠藤家の物語。

娘の彩花はしょっちゅう癇癪を起こしていたが、ある日、ストレスがマックスになり母の真弓と衝突。彩花はフローリングを傷つけ、とうとう家の窓ガラスまで割ってしまう。

この家は真弓にとって最も大事なもの。大きく傷つけられたことにより、我を失いプッツンしてしまう。

夜ご飯を彩花の口に大量に突っ込み、その後、首を絞める。

大きな音に気づいた隣人の小島さと子は意を決して遠藤家に突入し、彩花を助ける。

父の遠藤啓介はこの出来事の最中に家の近くまで帰ってきていたが、大きな物音に気づき、この事態に介入するのを恐れ逃げる。


受験勉強によるストレス。

殺人事件の加害者への世間からの冷遇(今回は一家の中に被害者も存在するので複雑)。

切っても切れない家族の血の繋がり。

見栄と世間体の代償。

坂道病。(この小説だけの造語っぽい?)背伸びして頑張りすぎたことの代償。

比奈子と慎司は殺人者の子供という世間的なレッテル貼られ罪悪感に押し潰される。

結構暗めの話ですが、いくつかの社会問題が物語に込められていて読み応えがありました。


僕は子供がいないのでリアルに共感はしにくいですが、学習面での教育ってかなり難しそう。

世間一般的には勉強にうるさいのは母親のイメージがあります。僕の母親も進学校に行かせようと躍起になってて、父親はそこまで勉強にはうるさくなかった。

この小説でも描かれていますが、母親が自分の見栄のため(世間体のため)にいい大学に行かせようとしている、そういうのが子供に透けて見えると、彩花のように反発したくなる気持ちは出てきそう。

高橋慎司も本当はバスケに熱中したかったが、特に向いている訳でもない勉強を強要され、心が壊れてしまった。

終盤は親子同士が本音を語り合い、それぞれの視点での不満を聞き合うことで、お互いに理解が深まります。

結局、コミュニケーション大事なんだなあ。

夜行観覧車とは?

小説のタイトルである「夜行観覧車」は、読み終わった後でも未だ意味がよくわかっておらず ^^;

高橋慎司は姉の比奈子に観覧車の話をするシーンがあります。

再来年、海沿いに日本一高い観覧車ができる。その観覧車は山と海が見渡せるらしい。

自分の今の状況とは全く別の世界にあるかのような観覧車。

慎司は息苦しい世界を抜け出したかったんでしょうね。

終盤の展開も考えると「同じ景色でも違う場所から見るとまた世界が違って見える」というメッセージを観覧車に込めているように思いました。

まとめ

小説「夜行観覧車」は2013年にドラマになっていたようです。

原作小説とドラマで違いがあるのか気になるところ。

U-NEXTで見れるようなので、もし見る機会があれば追記で原作との比較をしたいと思います。

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