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岩井勇気さんのエッセイ「僕の人生には事件が起きない」の感想

文化系硬派の面白いエッセイ「僕の人生には事件が起きない」 エッセイ
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岩井勇気さんのエッセイ「僕の人生には事件が起きない」の感想です。

淡々とした語り口で展開される妙な話がいちいち面白い。

2019年11月発行。

本の読み放題サブスク「Kindle Unlimited キンドルアンリミテッド」で読みました。

Kindle Unlimited

小説新潮で書かれたエッセイを集めた短編集だそうです。

gao the book
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日々の何もない日常でも芸人さんから見れば、なんかとても楽しそうな毎日に感じます。このエッセイを読んで自分ももっと日常を楽しまないともったいないと思いました。

岩井さんについて

岩井さんはお笑い芸人ハライチのツッコミの方。

普段小説やエッセイなどの本を読まないし文章も書いたことがないらしい。

とは言え、さすがネタを作っているだけあって、一つ一つのエピソードにオチを作っていて非常に面白い。

編集者の校正が入っていると思うけど、それにしても文章がうまい。

アートが好きで短編の最初には手書きのイラストが挿絵として入っています。これがまた味があって良い感じ。

面白かったところの一部を

印象に残った部分を引用してみます。

家族だけの謎のルール。ありますよね、社会に出て初めて家族だけのマイルールだったのか!と気づくあの感じ。

一番不思議だったのは、実家のダイニングテーブルの端にある、英語で“BREAD”と書かれた小さい木箱だ。朝はいつもその木箱を開け、入っているパンを食べる。食べたら木箱を閉じる。そして翌朝、起きてダイニングへ行きテーブルの上の木箱を開けると、なんと新しいパンが入っているのだ。

僕の人生には事件が起きない

家での生活の話が妙に面白い。

正直ちょっとしたバーベキューができるくらいの庭ではあるが、僕はちょっとしたバーベキューをするタイプの人間ではないのだ。そもそもちょっとしたバーベキューなんてあるのかも疑問だ。バーベキューは全て、がっつりバーベキューではないか。

僕の人生には事件が起きない

見た目から文化系な感じはしますが結構硬派です。

同窓会の存在に対する怒りがすごい。

本当に仕事と私生活に満足している人間は同窓会など開かないと言うことだ。端から見て私生活と仕事が上手くいっていても、どこか楽しくないとか、満足していないとか、もっと人に認められたい人間が、学生時代の楽しさのピークを更新できていないからか、同級生より上に立ったことを確認したいと言う理由で同窓会を開くのだ。なので、楽しさのピークを更新していて、今を楽しんでいる人間は同窓会など求めていない。

僕の人生には事件が起きない

こいつは収入で人の価値が決まると思っている。しかしその価値観が全てだと思っていた場合、自分より収入が多い同級生から「お前、頑張ってんの?」と言われた時に、ぐうの音も出なくなることをわかっていない様子だった。

僕の人生には事件が起きない

その他にも、あんかけラーメンにハマって自作のあんを水筒に入れて持ち歩いて、いろんな場所で飲む話(塩分やばそう)も面白かった。

自分の目線から見える世界を楽しく観察していて、人生楽しんでいる感がすごい。

お笑いに関してのプロ意識

岩井さんは芸人としての自分達を第三者の視点で冷静に観察しているとのこと。

ハライチの芸風をしっかりディレクションしていてその軸はブレない。

アートの視点と同じように、どうせやるなら「今までに無いようなお笑いをしたい」という考え方を持っている、とのこと。

まとめ

あとがきに書いていましたが、芸人だからといって特に毎日華やかな生活をしている訳でもなく、本当に普通の生活をしているらしい。それはこのエッセイを読めばひしひしと伝わってきました。

なんかとても人生楽しそうで、僕ももっと人生を楽しまなきゃなあと思いました。

何か気分転換したい時、ちょっとした空き時間に読むと、なんかわかんないけど幸せを感じる1冊です。

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