みうらじゅんさんのエッセイ集「さよなら私」をKindle Unlimitedで読みました。
2012年12月発刊。
みうらじゅんさんと言えば「マイブーム」「ゆるキャラ」という言葉の名付け親として有名です。
タイトル通り「自我の脱却」みたいな話が多いエッセイ集。
人生とは何か?について、改めて考えさせられる内容でした。
みうらさん流のゆるい人生哲学。
みうらじゅんさんのエッセイ集「さよなら私」のざっくり感想
このエッセイを読むと、みうらじゅんさんのような世間的に活躍しているように見える方でも、悩みは尽きないようです。
僕も悩みと不安だらけの人生を送っていますが、「これから先の人生は成功する」「逆転できる」とうっすらと信じている節があります。
ですが、冷静に考えてみると、いや考えなくてもわかるんですが、さすがに45歳ともなるとやっと気づいてきました。
「この人生はもう、どうしようもないな」と。
ああ、この感情どこかで感じたことあるな、と思い出しました。ブッツァーティさんの名著「タタール人の砂漠」の話だこれ。
今週これだけやればいける!なんて目標は自分のことを見誤っているし(その目標を達成した試しがない)努力すればなんとかなるかも知れないけれど、努力できない現実の自分がいる。そのことにずっと目を伏せている。
人間ってそうそう変われるもんじゃなくて、やはり人それぞれ性質がある。
このエッセイでは「無理なもんはとっとあきらめて、自分を捨てよう」と書かれていました。
人生は常に悩みが尽きないし、将来のことを考えれば不安は増すばかり。それはおそらく僕だけでなくて多くの人がそうなんだと思います。
このエッセイを読んでいるうちに、少しずつガチガチだった悩みや不安がほどけてきました。
まあ、半分くらいは下ネタと馬鹿げたことが書かれています。その馬鹿らしさですら、癒しになるエッセイでした。
みうらじゅんさんの「さよなら私」の良かったところ
このエッセイの良かったところを引用していこうと思います。もっとあるんですが、ほとんど引用だらけになるので、これでも控えたつもりです。
色即是空という言葉がありますが、まさにこういうことなのかな。
そんなときは黙ってドン底まで落ちてしまえばいいのです。ドン底だと思っていた場所がまだ真のドン底ではないと気づきます。今ある立場や幸せがこの先、いつまでも続くはずはありません。それは、この世の中のすべてのものが流転しているからです。そのことをしっかりと心にたたき込み、あきらめ、それに慣れなければいけません。悲しいんじゃありません。しかたないことなのですから。
さよなら私
気づくと自分のことしか考えてないな…。
自分なんて見つけてるひまがあるのなら、少しはボンノウを消そうとする「自分なくし」のほうが大切じゃないでしょうか?
さよなら私
好きという感情は、むしろ邪魔なことかも?
それはたぶん道ではなく、「あの人のようになりたい」という願望ではないでしょうか。あの人がやっていることなら自分にもできそうな気がする。そんなスウィートな考え方が、いつしか「向いている」なんて思い込むわけです。「好き」と「向いている」は違います。
さよなら私
〜中略〜
人間にとって、いちばんめんどうくさい感情が「好き」。これさえなければ楽に、傷つかず、向いてることだけしてられたのに。
安定とは何か?
不安の反意語が「安定」なんて嘘。安定なんてそもそもこの世にはなく、油断している期間のことをそう呼んでいるにすぎないのです。
さよなら私
動物番組を見て、動物の凄さを感じつつ
「それに比べ、人間ときたらもう、しょうもない見栄張ったり、しょうもない戦いばっかしとる」
さよなら私
わかってはいるけど、やめられない。誰かと比べてしまうのも人間の業なんだろうなあ。
楽しく生きるためにはできる限り「他人と比較しないこと」と、「他人に期待しないこと」が重要です。そこには“まあまあ”とか“大して”なんて言葉はありません。そもそもフツーなんてのも幻想にすぎないのです。
さよなら私
人間の作り上げた「永遠」は屁の足しにもならない。
「僕は永遠に君を愛する」「私も永遠にあなたを愛するわ」これは恋愛初期段階の一種のノイローゼであり、医者や草津の湯でも治らないと昔から言われています。
さよなら私
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