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隅田貫さんの新書「ドイツではそんなに働かない」の感想。

隅田貫さんの新書「ドイツではそんなに働かない」ドイツ人と日本人の仕事の価値観、制度の違いが書かれた一冊。 新書
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隅田貫さんの新書「ドイツではそんなに働かない」の感想記事です。

2021年5月発刊。

本の読み放題サブスク「Kindle Unlimited キンドルアンリミテッド」で読みました。

Kindle Unlimited

著者はドイツで通算20年勤務した日本人の方。

この本では日本人とドイツ人の仕事の方法や価値観の違いについて書かれています。

gao the book
gao the book

僕は12年ほどサラリーマンをしていましたが(現在はフリーランス)、この本で書かれていることを日本人が実行するのはなかなか難しそうだと思いました。

ドイツ人は仕事時間が日本より少ないけど生産性が高い

ドイツ人は

  • 有給取得率100%
  • 残業はほとんどしない
  • 仕事より家族との時間を大事にする

にも関わらず「仕事の生産性」が日本の1.4倍ある

日本人と比較して労働時間が少ないにも関わらず生産性が高い仕事をしている。らしい。

だからと言って、ドイツ人と同じように仕事をできるかというと、会社・働く人の在り方、国の制度的な問題でなかなか難しいと思います。これからの日本政府に期待したいです。

世界情勢や日本の経済傾向、若い人が減少していることなどを考えると、今から日本経済が盛り返すことはかなり厳しそう。がむしゃらに働いても結果が出なくなっている感じなので、価値観そのものを変えたほうが良さそうですね。

柔軟性がある

ドイツ人の仕事のやり方の特徴として柔軟性の高さが書かれていました。

「いい加減」「完璧を求めない」「いつも100点を目指すのではなく場合によっては70点でも良い」

とりあえず進めながら軌道修正していく。柔軟性の高さが生産性の高い理由らしい。

「国民」のとらえ方の違い

ドイツでは国民はどちらかと言うと「労働者」。労働者の権利に重きを置く。日本では国民は「消費者」。消費者の権利を重視している。

日本ではお客様は神様なので、電車も時刻ぴったりに到着します。良いサービス、いい製品が前提。その反動として働く人のストレスは大きい、という点はあるかも知れません。

ドイツでは労働者の権利を重視しているので休みもしっかり取れます。残業も基本的にはせずに家族との時間を大切にしています。

労働に対する考え方も違っていて日本では労働は尊いこと、ドイツでは労働は苦役。アルバイトはドイツ語で、語源は苦役というニュアンスがあるのだとか。

自分は自分

ドイツ人は「人は人、自分は自分」という意識が強い。

世間体を気にせず、自分の人生を生きる。同調圧力から抜け出すのが第一歩。

24時間営業は、別にやらなくていい

ドイツでは日曜・祝日は会社だけでなく全てのお店が休みだそうです。

スーパーやコンビニが24時間営業してもそんなに生産性は上がっていないらしい。

お店が24時間開いていなくても日曜に休みでも、実はそれはそれでなんとでもなる。

日本人はチームプレーが得意

スポーツ、ビジネスを問わず、欧米人は個人プレーが得意で、日本人はチームプレイが得意と言われています。

サッカーなど個人の能力が高いから勝てる競技は日本は弱いですが、野球のようにやることが分担されているチームの競技は非常に強いのだとか。

ちょうど今「ブルーロック」というサッカーのアニメを見ています。このアニメでもサッカーはチームプレー重視だと世界で活躍できないと描かれています。他人を蹴落とすくらいの強いエゴが重要で、同調圧力の強い日本人は、サッカーという競技で世界を制するのはなかなか難しいとのこと。

野球強いから日本人素晴らしいと思います。

家族との時間をどう過ごすかに重きを置く

ドイツでは仕事の成果よりも自分の人生をどう生きるか、さらにいうなら家族との時間をどう過ごすのかに重きを置いています。だから急な仕事が入っても残業したくないからキッパリと断るのです。
最近の日本の若者は、「子どもと過ごせる時間は今しかないから」と残業が少ない仕事を選ぶ人もいると聞きます。私はそういう選択は大いにすべきだと思います。

ドイツではそんなに働かない

良いものは高く買う

日本は100円のものを80円で買おうとしますが、ドイツではよいものであれば、100円ではなく、120円で売ろうとします。いいものを安く買える方が消費者は得しますが、経済全体で考えると売る側の利益は出ずにマイナスになります。企業の利益を出せないなら、給料を安く抑えるしかない。日本がデフレから抜け出せないのはそういう考え方があるからではないでしょうか。

ドイツではそんなに働かない

ここでもやはり消費者優先の日本人と、労働者優先のドイツ人の考えの差が出ているように感じます。

忖度はいらない

言われなくてもわかるだろう、相手の気持ちを先回りして行動する、みたいなことは、ドイツ人からすれば非常に非効率的なことらしい。

会話をせずに先回りして行動することは、達成した時に喜ばれるかもしれないけれど、失敗することもある。そうであれば最初からきちんと会話をして意思の疎通を図って行動すればよいだけ。

その他にも色々と

日本人はルールができてしまったら、そこから1ミリでもはみ出したらアウトという考え方をしますが、ドイツ人は必ずしもそうではありません。はみ出したらルールを変えてしまえ、と時には考えるという柔軟性があるのです。そのほうが確実に生産性を上げられます。

ドイツではそんなに働かない

たいていのドイツ人は夏に2〜4週間、冬に1〜2週間のバカンス休暇を取り、家族で海外旅行に出かけます。きっちり有給を使い切るのがドイツ人です。

ドイツではそんなに働かない

全員がこうやって長期休暇を取るようにすれば、引け目なく有給も使い切れそう。

その他にも色々とドイツと日本の働き方の違いが書かれていました。

国民が何を重視しているのか(労働者と消費者、どちらを大事にしているのか)という違いも大きいし、国の政策として企業に課している制度がそもそも違うという点も大きいですね。

ドイツは残業がしづらく有給休暇は取りやすい社会になっています。※ドイツでは定められた労働時間を守っていないと罰金(最大200万円)を課せられる、などのシステムがいくつかあります。

個人がいくら頑張ってもそうそう社会を変えられるものではないですが、日本の社会が今よりもっと深刻な状況になれば少しずつ変わっていくのかも知れません。それにしてもここ10数年、日本は本当に貧乏になったと思います。生きにくい社会になったなあと。

この記事を見返してみると、ドイツ人を上げまくって日本人を下げる、みたいに見えるかも知れませんが、著者なりの提案をしているのだと思います。

新しい視点が勉強になる一冊でした。

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