森博嗣さんの新書「集中力はいらない」の感想記事です。
2018年3月発行。
本の読み放題サブスク「Kindle Unlimited キンドルアンリミテッド」で読みました。
「集中することが良い結果をもたらす」という考えから対立した、分散の良さについて書かれた内容です。
森博嗣さんについて
工学大学の准教授をしながら小説を執筆。小説が売れて現在は専業で作家活動をしている方です。ミステリー小説が有名ですが、本当に色々な作品を書いてる多作の作家さんです。
ざっくり本の内容
集中することが正しい(良い結果をもたらす)という考え方に疑問を呈し、その逆の分散やリラックスのほうが大事という内容になっています。
帯には「だらだらするからうまくいく!」と書かれています。
森博嗣さんはめちゃくちゃ多作の方なので、最初は納得できない部分がありましたが、この本を読んだ後はその謎が解けました。
考えること、客観性の大切さ
大学での仕事は常に考えることで、しかもそこに明確な答えはなく、自分で導き出さないといけない。大学教授大変そうだなあ。
頭を使って考えることの重要さ、そして、ビジネスで成功をするなら客観性が大事とのこと。自分のやりたいことをするのではなく、需要があることを仕事にする、みたいな感じでしょうか。
この本の良かったところ(引用を交えて)
どうして「集中がいらない」のか、自分の経験をもとにその理由が書かれています。
発想が求められる仕事では、発想すること、インスピレーションが成果のほとんどといっても良い。〜中略〜
集中力はいらない
ここで大事なことは、その「発想」には、いわゆる一つのことしか考えない「集中」が逆効果である、と言う点である。
むしろ、別のことを考えていたり、あれもこれもと目移りしていたりするときのほうが発想しやすいことを、僕は経験的に知った。あえて言葉にすれば「ヒントはいつも、ちょっと離れたところにある」からだ。
作家の仕事で最も重要なことは、「着眼」と「発想」です。
集中力はいらない
客観性の大切さ。
僕は、自分が書きたいものを書いたことはなく、最初から、売れるだろうと予想されるものを書き〜中略〜
集中力はいらない
多くの売り手は、自分の商品は良いものだと信じきって、売れないのは宣伝が足りないからだと考えているみたいです。それは明らかな勘違いでしょう。
考えることについて
実は、単に反応しているだけ、周りに合わせているだけで、自分の頭では考えていないのです。
集中力はいらない
社会においても、考える人が格段に有利になります。仕事であれば成功するし、社会的にも良い立場にたてます。自分の好きなことがしやすくなり、自由になれる、といっても良いかもしれません。
ネットで調べたことと照らし合わせるだけ、何かから選択しただけと言うのは考えてはいない。(他の人の意見に空気を読んで反応するなど)
自分の考えを持つこと、考えることの重要さ。
じっくりと取り組むのが大事。その取り組み方について。飽きやすい人は下の引用文のように同時に進行するといいかも知れませんね。
僕の周囲を見回してみると、なるほど、上手に作る人は、驚くほど気長に作業をしているのだ。その気長さが、自分にはない。
集中力はいらない
僕が考案したやり方が、沢山の作品を同時進行で進める工作ほうだったのだ。少しずつ作業を進める。
結果的に、じっくりとゆっくりと慎重に進めているのと同じことになる。
僕の仕事はグラフィックデザインなんですが、まさにこれは的を得ていると思います。時間を置いてみると粗がたくさん見えてきます。
作業に没頭していた頭は、「完成した!」という達成感に満たされているから、冷静にその作品を評価することができない。少し時間が経てば、だんだん粗が見えてくるものだ。そんな冷めた自分が嫌いだから、粗が見えないうちに出してしまおうということもあるかもしれない。
集中力はいらない
つまり、時間的余裕は、仕上がりの完成度に影響をする。
集中して何かを取り組むよりは、リラックスして取り組むほうが新しい発想が生まれやすい。
集中思考の場合は、見える範囲が狭くなっていく。発想が生まれず、いつまでも同じ領域でマンネリに陥るだけになる。
集中力はいらない
分散思考はリラックスしているほうが適している。
集中力はいらない
たとえすぐに結果が出なくても、すぐにお金にならなくても、今日やることをただ淡々とやるだけ。
何年か経ってみて、日々やったことの積み重ねが実を結ぶことが多いと思います。一喜一憂せずに淡々とできるようになりたい。
感情に左右されず、今日、これだけをやろう、ということが大事。
集中力はいらない
それを続けているうちに、自分が成した仕事量に感動する日がきます。誰かに認めてもらわなくても、自分が自分を認められるようになります。
お金に関しても時間に関しても、あえて余裕を残して取り組むことの大事さ。
父の「頑張るな」の教えは、おそらくは「常に余裕を持て」ということだと解釈できる。ぎりぎりではなく余力を持って臨めば、いざというときに苦しくならずに済む、ということだろう。
集中力はいらない
まとめ
引用がやたら多いので「自分の頭で考えてないなお前!」と言われそうです。そもそも読書自体が、僕の場合はただ反応しているだけだったりすることが多い。
特に個人的に良かった文章を引用してみます。
とにかく大事なことは、やる気ではなく、やるかやらないかなのです。そして、やるために必要なものは、計画です。計画を立てたら、あとは、監督の自分に叱られつつであっても、嫌々であっても、それをするしかない。この段階に至れば、あとは本当に実行あるのみで、あまり考えなくても良く、悩むことも少なくなりますから、楽なルーチンになるはずです。
集中力はいらない
新しい着眼点、新しい発想、そういうインスピレーションを得たら、あとは気分に左右されずに、とにかく着実に進めていくことが大事。
この本は特に仕事で伸び悩んでいる方におすすめの一冊だと思います。
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