貴志祐介さんの小説「十三番目の人格 ISOLA」の感想記事です。
1996年発行。
本の読み放題サブスク「Kindle Unlimited キンドルアンリミテッド」で読みました。
著者の貴志祐介さんはこの小説でホラー小説大賞の佳作を受賞。この作品でデビューしています。
ホラー小説のジャンルですがそんなに怖くはなくて、どちらかというとSFやサスペンス要素が強い感じです。
主人公はエンパシー(他者の感情を読み取ることができる能力)を持っている女性。
タイトルの通り多重人格者が登場します。
小説よりも映画を先に観ましたが小説も面白かったです。
心理学の話が面白い
心理学の話がよく出てきてこれがとても興味深い。
ユングは、人間の精神の機能を、論理、感情、感覚、直感の四つに分類したが、この中で桁外れのパワーを持っているのは感情である。強度の感情的ストレスにさらされた人間では、この力が内攻し、わずか数秒で胃壁に穴が開くこともあるのだ。
十三番目の人格 ISOLA
感情があるから、人間は、生きていられるんだと思うわ。というか、感情があるから、生きる価値があるんじゃないかしら?
十三番目の人格 ISOLA
「感情とは、人や犬、ニホンザルのような群居性の哺乳類において、群れや社会を形成し、円滑に維持していくための機能だということだよ。
十三番目の人格 ISOLA
感情というものがお互いの共通認識にあれば、加害者は、それ以上争うことなく矛を収めることだろう。」
「つまり、感情そのものには、意味なんか全然なくて、他者への伝達のために進化してきたってこと?」
「まあ、そう言い切ってしまうのも、どうかと思うけどね。だけど、『伝達』ということが感情の本質、そもそもの存在だ理由だと考えると…」
感情は言葉が生まれる前の意思疎通の手段。なるほどな〜。
読んでいて考えたこと
この小説の物語は簡単に言うと、多重人格の人間が恐ろしい行動を起こす話です。ですが、もう一つひねりがあってそこでさらに話が面白くなります。
小説に限らず映画でも漫画でもちょっとした話の工夫というか、もうひとひねりがあるかないかで面白さが変わってきますね。
この小説は貴志さんの小説の中では、個人的にそこまで印象に残っていませんでしたが、改めて読み返してみると楽しめました。
なお、この作品は映画にもなっています。
登場している女優さんが個人的に好きな方が多いのでおすすめです(そこかい!)。
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