マーク・トウェイン著、漫画「人間とは何か?」をKindle Unlimitedで読みました。
2022年2月発行。
作画は鷹巣☆ヒロキさん。監修は東京大学教授 日本マーク・トウェイン協会会長の石原剛さん。
漫画の区切りにコラムが入っています。コラムは九州大学准教授妹尾武治さんが書いています。このコラムも面白い。
人間は機械であるという主張が書かれています
マーク・トウェイン著 漫画「人間とは何か?」のざっくりあらすじ
原作の「人間とは何か?」はマーク・トウェインが晩年に匿名で書いた作品。
この作品が発刊された当時、大きな批判を受けたらしいです。批判されることが予想できたから匿名で書いたっぽい。
難しそうなタイトルですが、この作品は漫画なのでわかりやすい。
物語は、謎のおじさんと青年実業家(会社の社長)の二人が対話する内容。合間にマーク・トウェインに詳しい方のコラムが入っています。この謎のおじさんは漫画の中で説明が書かれていないんですが、おそらくマーク・トウェイン本人なのかも。
おじさんの「人間は機械である」という主張と、「そんなことはない!」という青年の論争バトル。
最後はなんだかんだで救われる終わり方でした。
人間は機械。自分の承認を求めて動いているだけ
主人公のおじさんが「人間は機械である」ということを、さまざまな例を挙げて、青年に説明しています。
慈善事業
慈善家は他者の喜びが自分の喜びになるから慈善事業をやっている。ケチな人は自分の財の方が大事だからケチ。
人に施した善意も自分が満足したいという主衝動だけ。
親の愛さえも
親が子供に対して抱く愛情も自己満足。
子供を喜ばせるためには何だってする「自己満足の絶対的奴隷」。
実はこの母性愛だけはちょっとだけ理解できませんでした ^^;
子供のためならどんな犠牲も問わない、それは自分の心の安らぎの為でもあるかもしれないけれど、実際にその子が受ける恩恵も大きいんじゃないかな。
もしくは、子供のためなら何だってするからこそ、画一的なわかりやすい「機械」ということなのかな??
愛国心
家族が止めるも国のために自分を犠牲にして決闘で亡くなる人。
その人は自分の気持ちを重視しして家族よりも名誉(社会の賞賛)を選んだだけ。
などなど、青年はさまざまなエピソードで反論するも、全て自己満足で一蹴される。
人間が機械であるってどういうこと?
「人間が機械である」というのはどういう意味なのか?
いやいや、自分の意思で行動しているよ!と思う方も多いと思います。
コラムでは人間が機械であることを科学的に証明しています。
脳が手首に指令を送ってから、実際に手が動くという順序は直感通りだ。脳波が運動に先んじて生じていることにはなんら驚きは無い。驚くべきは、脳波が意志よりも先んじていたことである。意志を持つよりも0.35秒も先に、脳が自動的に動き始めていたのである。
人間とは何か?
つまり、我々の行動は意志によって引き起こされていないのだ。意志よりも先に脳が動いているのだから、意志とは自分の行為を主体的に行なっていると思わせるための、後付けの錯覚に過ぎないのだ。
この実験では意志よりも脳が先に動いて行動を決めている、という証明をしているようです。
自分の意思で全ての行動を決めている、と錯覚しているだけらしい。
他にもありますが、こんな感じでコラムが漫画の内容を補足・説明してくれています。
著者のマーク・トウェインとは
マーク・トウェインは小説「トム・ソーヤの冒険」や「ハックルベリー・フィンの冒険」の著者。
偉人や著名人の中にもマーク・トウェインの作品を敬愛している方が多いのだとか。
「平均的なアメリカ人は家族を愛する もし他の誰かへの愛情が残っているなら普通マーク・トウェインに向けられる」トーマス・エジソン
人間とは何か?
ヘミングウェイも「あらゆる現代アメリカ文学はマーク・トウェインのハックルベリー・フィンと呼ばれる一冊に由来する」と讃えています
人間とは何か?
僕はどちらの作品も読んだことがないので、機会があれば読んでみようかな。
AIが普及している現代では納得感が強い内容
2018年に学術誌「Nature」で自動運転時のAIの倫理判断の実験論文が掲載された。この実験ではありとあらゆる交通事故のジレンマ状況を文章にして人間に回答させた。4000万件をAIに学習させたところ、AIが下した判断が見事に人間の下す判断と一致した。
AIにできない「人間的な何か」はもはや無くなろうとしている。らしい。
今作が現代でも話題を集めているのはマーク・トウェインの主張が当たっていることを証明しているからなのかも。
AIは今の所、人間の入力にのみ依存している。もしAIに身体を与え、自分自身の活動によって自由にしてしまえば、AIは人間を超えていく。らしい。
SF映画でもよくある展開になりそうでなかなか怖い。
ちょっと話が逸れましたが面白い内容でした。
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