漫画版「ケーキの切れない非行少年たち」の感想記事です。
全部で7巻あるんですが、Kindle Unlimited(本の読み放題サブスク)で4巻まで読めたので4巻までの感想になります。
原作は新書のベストセラーだそうです。(原作:宮口幸治、漫画:鈴木マサカズ)
ベストセラーだけあってタイトルは聞いたことがあります。
前知識がなく気楽な気持ちで読み始めましたが、非常に真面目な内容の漫画で、読んだ後は気楽な気持ちが吹き飛びました。
普通に学生生活を送っていたけど、普通のことが全然できない人が何人かいたんだろうな、ということを考えると、健康な体に産んでくれた親に感謝の思いと、他人に対する寛容な気持ちをもっと持たないとな、と強く感じました。
本の内容をざっくりと
少年院に収容された未成年たちを診る精神科医が主人公。
知的障害やその疑いがある人(軽度の知的障害などを含む)が収容された少年院が舞台です。
漫画の後書きでは、原作の著者が実際に少年院の医務室に勤務していた時の体験を書いたとありますので、かなりリアルな物語のようです。
16歳の妊婦、性犯罪者、放火などなど、犯罪を犯した様々な少年少女が登場します。
エピソードの終わりはどこか前向きになるような終わり方が多く、涙が出るほど温かい話もありました。
この漫画を読んで衝撃を受けたこと2つ
境界知能
この漫画で登場する未成年の犯罪者のほとんどは「境界知能」に該当しています。
境界知能というのはIQが70から84の人とのこと(知的障害には該当しないのだとか)。
境界知能の特徴として
- 感情をしっかり表せない
- 語彙が乏しく、すぐにイライラする
- 頭が硬く融通が効かない
- 道筋を立てて考えることができずパニックになりやすい
- 自分のやったことが後にどのような結果をもたらすか想像できない
などの傾向がみられる。
知的障害はクラスに約1人、境界知能はクラスに約5人(1クラス35人で換算)。境界知能は別クラスになったりもせず、一緒に生活するので第三者からは分かりにくい。本人も家族ですらもわかっていないことが多いかも知れませんね。
7人に1人の割合と考えると結構多いなあ。
社会でうまくやっていけない、仕事がうまくいかない、そういう人は境界知能の可能性もあるかも知れません。僕も可能性としては当てはまるような気がしています^^;
ちなみに、少年院を出た36%が25歳までに犯罪を再び起こしているようです。
発達性強調運動症
発達性強調運動症(略してDCD)という発達障害があるそうです。
簡単に言うと身体の使い方が不器用なこと。
- 力加減ができない
- ボタンが留められない
- ハサミが使えない
- 字がうまく書けない
などなど。小学生で約5〜6%程度の人はこの障害があるのだとか。
この障害は小学校の先生もわかりにくいそう。
本人もとても辛い思いをしてるんだろうなあ。
発達性強調運動症に関しては、学習能力が無いとか甘えとかの問題ではなく、専門のトレーニングが必要のようです。
寛容になること、知ることの大切さ
この漫画を読み終わって感じたのは、僕が今まで生きてきて考えていた常識(自分ができるレベルは誰でもできるんだろうという)は全くそうではなかった、ということです。
犯罪者は善悪の判断で犯罪を犯しているのではなく、ある種の障害を持った人が行っている可能性があります。
こういう障害の存在を知ること、そして犯罪に至った理由を「その人の自己責任」「甘え」とあっさりと切り捨てるのではなくて、ちょっと考える(ある種の寛容さというか)必要があるなあ。
どちらかというと明るい内容の漫画ではないですが、社会問題について考える良い機会になりました。おすすめの作品です。
4巻までしか読んでいませんが、Kindle Unlimitedで読めますので、気になる方はチェックしてみてください。
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