中山市朗さんのホラー小説「なまなりさん」の感想記事です。
いやー、これマジで怖いです。シャレになりません。
後書きによると何度か出版社を変えて改訂されて出版されているようです。僕が読んだ電子書籍は2022年12月発刊。最初の本は2007年に出版されています。
この小説は本の読み放題サブスク「Kindle Unlimited キンドルアンリミテッド」で読みました。
ホラー小説の中でもダントツの怖さ!
ホラー小説「なまなりさん」のざっくりあらすじ
読み終わった後にあとがきで知りましたが、この小説は実話を元にした小説のようです。
いや、さすがにそうだよなあと思わざるをえない主人公(著者)の語り口と臨場感。これはフィクションの小説ではなかなか出せないと思います。
※稲川淳二さんの「生き人形」という有名な話があるんですが、生き人形に似た臨場感で怖かった。
主人公(著者)は怖い話を収集して仕事にしている。
新しく雑誌を創刊するということで、伊東というプロデューサーを紹介される。伊東さんは沖縄王朝のシャーマンの血筋をひく退魔師でもある、とのこと。
その後、伊東さんから「なまなりさん」というホラー映画を制作するということで、怪談のエキスパートである主人公に協力を願う。
結局その映画制作プロジェクトは無くなる。
その理由を聞くべく、主人公はなんとか伊東さんを説得して話を聞くことに。
そのホラー映画の題材となる話を打ち明けてくれます。
伊東さんと一緒に仕事をしていた有能なカメラマン健治とその彼女。そしてその二人の仲を引き裂こうとする双子の美人。この4人の間で起こる壮絶な嫌がらせ、怨みの物語が展開されます。
文章の進め方がうまいし、話はめちゃ怖いし、一気に読んでしまいました。
近年読んだホラー小説の中でもかなり怖かった。
ホラー小説「なまなりさん」は面白い?つまらない?
ホラー小説「なまなりさん」は面白いか、つまらないか、で言えば面白いです。
というよりは、怖いか、怖くないか、と聞かれたらホラー小説のトップレベルの怖さです。
ネタバレすると面白くないので深くは書きませんが、最初に読んだ時はフィクションの物語と思って読んでいたので、実話ということを後で知ってさらに恐怖が増しました。
除霊や怨霊の話が興味深い
登場人物に退魔師が登場するので、除霊や怨霊の話が出てきました。こういうのは単純に読んでいて興味深いですね。
いわゆる風水で周りの環境を調べるわけです。琉球羅盤というものを持ってきていましたので。これは、普通の風水師が使うものよりは小さなものなのですが、日本の風水の元は沖縄といわれているんです。
なまなりさん
ドクムシという漫画でもこの話題を取り扱っていましたね。
蟲(こ)というのは数匹の虫や爬虫類を皿や壺に入れて、餌を与えずにいる。すると共喰いが起こって、淘汰されて、最後に一匹だけが残りますね。この一匹を人に与えたり、灰に焼いたものを服(の)ませたりすると、使われた者は滅び、使った者は富むというんです。これは大昔に中国から伝わった呪詛です。
なまなりさん
四国にも似たようなものがあったとは。
そして四国には、これを犬でやる犬蟲(けんこ)というのが伝わっています。例えば、飢えた犬を土の中に生き埋めにして、頭だけを出しておく。その犬の前には食べ物を置いておきます。犬は食べ物を前にしながら、飢えて飢えて恨んで死ぬ。そしてこの犬の怨念、恨みを利用して、相手の子孫までをも祟るように念じるといいます。
なまなりさん
丑の刻参りの話。夜中の2時に藁人形を五寸釘で打つ呪いですね。発祥の神社があるんだなあ。
このタイミングに、ちょっと驚いた。貴船は、丑の刻参りの発祥の神社といわれています。それで「知ってるよ、京都の鞍馬山にある神社だろ」って、まあ表面上は何気なく答えたのですが…
なまなりさん
呪殺霊 あまり聞いたことないでしょう。これは天台の教えの中にもある言葉です。金剛院の教えの中では自殺者の霊は残るとされています。天へ行かずに残っている。その中でも、恨みの念を強く持っている霊がある。それが恨みの対象となる者を呪い殺すことがあると
なまなりさん
まとめ
久しぶりにこんな怖い小説読んだなあ。
実話を元にした作品の中では個人的には1番の怖さでした。
怖い話が好きな方は是非読んでみてください。
コメント