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鈴木光司さんのホラー小説「エス」の感想。マジで怖いです。

鈴木光司さんのホラー小説「エス」がマジで怖い ホラー
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鈴木光司さんのホラー小説「エス es」の感想記事です。

ホラーに飢えている方におすすめ!マジで怖い!

2013年5月発行。

本の読み放題サブスク「Kindle Unlimited キンドルアンリミテッド」で読みました。

Kindle Unlimited

この小説は貞子で有名な「リング」シリーズの4作目の作品。

gao the book
gao the book

個人的なおすすめ度合いとしては、1番目が「リング」、2番目がこの「エス」かな〜。

ざっくりあらすじ

映像制作会社に勤める主人公が会社の社長から頼み事をされる。その頼み事は、見知らぬ人物が首吊り自殺をしている動画を見ること。

フラッシュメモリに入った動画をパソコンにコピーすると、首吊り自殺する人物の挙動が変わる。さらに他の媒体にコピーすると、また動画の中の人物が違う動きをする。

この動画をきっかけに、謎を解明すべく動き出す主人公。

あっという間に最後まで読ませるパワー

まず首吊り自殺動画のリアルな描写で心臓にかなりのダメージを受けました。

そして、並行して進む息をつかせないハラハラしたストーリー。
あっという間に最後まで読んでしまいました。

特にすごいのが中盤からリングシリーズの物語と繋がっていく展開!

面白すぎる。

生物としての人間について考えさせられる

単純なホラー、心霊現象を描いた小説ではなくて、科学的なアプローチが多いので非常に物語が深い。

引用文からこの物語の面白さが伝われば。

正常なリンゴは、最初に腐敗したのが、自分ではなく、Aであったことに安堵し胸を撫で下ろすべきであって、憎しみでこれを打ち据えてはならない。

ところで、百個並んだリンゴが全て腐らないという社会は可能だろうか。そのためには、強力な防腐剤を多量に撒かざるを得ず、自由、活力、快楽、喜びなどが失われることになる。すべてのリンゴが腐らない社会は、幸福になるチャンスを全てのリンゴから奪うというジレンマを生む。

自然の摂理に任せて一個が腐る社会を是とするか、厳罰主義のファシズムによって抑圧し、腐敗の芽を摘み取る社会を是とするか。

エス

人(人に限らず生き物)が生きていく社会では、数パーセントは遺伝子的なものも含めエラーが生じることがある。異質な性格を持った人物が生まれない社会を作るのは難しいのかも。

ここで肝心なのは、情報には単位があるということなんだ。例えば、遺伝子とは、ひとかたまりになった情報の単位であり、DNAの二重螺旋からRNAに転写されるときは、読み込みの開始コードと終了コードが必要となる。

人間も同じだ。一旦、終わらせなければ、ひとりの人生という情報のまとまりにはならず、次元を超えて移動することはできない。
人間は、生きたまま天国に行くことはできない。

エス

人の単位について。人生が終了しない限り、次の次元へ移動することができない。

神は万能であると言ったが、実は、ひとつだけできないことがある。何だかわかるか。人を愛して、子供を作ってはいけないのだ。愛すると言っても、アガペーのことではない。エロスとしての、愛だ。
なぜ、神は人を愛し、子を作ってはいけないのか。愛して、子が生まれれば、そこに激しい執着が生まれるからだ。
次元を超える旅を、永遠に宿命づけられている者は、エロスをともなった生々しい愛に、身を浸してはならない。

エス

宇宙の摂理に愛があってはならない。

神は愛を育めない。だから人に生まれた限りは「とことん愛しなさい」と。

まとめ

初版はハードカバーで買ってすぐに読みましたが、その時はなぜか全然面白みを感じなかったのに、10年以上時を経て再読してみたら、めちゃ面白かったです。

ということで、リングやらせんのレビューをすっ飛ばして興奮してこの記事を書きました。

もちろん、その他の作品(リング、らせん、ループ、バースデイ、タイド)も安定して面白いです。

完結編のタイドでもきちんと話が綺麗に終わっています(謎が全て解ける)。さすが鈴木光司さん。

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