澤村伊智さんのホラー小説「ずうのめ人形」の感想・解説・考察。

2016年7月発行。
この小説は、本の読み放題のサブスクKindle Unlimited(キンドルアンリミテッド)で読みました。
1作目の「ぼぎわんが、来る」の続編、比嘉姉妹シリーズの2作目。
小説のタイトルは毎度単語の意味がわからず、今作も不気味です。
この記事の途中まではネタバレなしで書いていますが、最後にネタバレありの内容を書いています。本をすでに読んだ方、これから読もうと思っている方、どちらの方もぜひチェックしてみてください。

前作「ぼぎわんが、来る」が面白すぎて、読む前からハードルが上がっていましたが「ぼぎわんが、来る」と引けを取らないくらいの面白さ!
ホラー小説「ずうのめ人形」のあらすじ
ホラー小説「ずうのめ人形」のあらすじを書きます。ネタバレはしていません。
1作目の「ぼぎわんが、来る」で、大活躍したオカルトライターの野崎と、比嘉真琴が今回も登場。今作の主役です。
オカルト雑誌「月刊ブルシット」で記事を頼んでいた外部のライターの湯水が亡くなり、急遽、野崎が代わりに記事を書くことに。
ブルシットの担当である藤間から、「ずうのめ人形の都市伝説が書かれた謎の原稿の話」を相談され、野崎と真琴は巻き込まれていきます。
この謎の原稿を読むと、「ずうのめ人形」なる日本人形に追いかけられ、4日後には死に至る。
外部のライターの湯水に加え、その後、ブルシットの見習いだった岩田も原稿を読んだ4日後に両親と一緒に亡くなります。藤間もずうのめ人形が見えるようになり、4日のタイムリミットが迫る。
物語としては、野崎たちの現在の物語と、ずうのめ人形の原稿の物語(中学2年生の女子生徒の過去)の二つの物語が交互に展開していきます。
そして、中盤から、真琴と深く関わる物語に。
比嘉姉妹の3人目が登場し、ずうのめ人形と対峙。
ずうのめ人形の凶悪さは、1作目のぼぎわんに引けを取らないほど。
真琴にも感知できない謎のずうのめ人形ですが、少しずつ正体が明らかになっていき、この化物の生みの親が終盤に登場します。
物語のどんでん返しが何度かあり、終盤のトリックも含めて、かなり練られた物語に大興奮しました。
個人的には1作目よりも今作の方が好きです。
ホラー小説「ずうのめ人形」の登場人物
ホラー小説「ずうのめ人形」の登場人物を書きます。
比嘉姉妹シリーズは、過去に登場した人物がまあまあ高い確率で以降のシリーズにも登場します。感想ブログを書くにあたって見逃せない部分なので、記録として登場人物を書いておこうと思います。
現在の時間軸で進む物語の登場人物↓
- 野崎昆…フリーのオカルトライター。33歳。
- 比嘉真琴…バー「deracine デラシネ」のアルバイト。26か27歳。霊感が強い。
- 比嘉美晴…真琴の4つ上の姉。ショートカットの長身で凛々しい顔立ち。真琴より強い霊能力を持つ。中学3年で亡くなる。
- 戸波…ギガ出版「月刊ブルシット」の編集長。50代。
- 藤間洋介…25歳。「月刊ブルシット」のアルバイト。
- 岩田哲人…25歳。S大学の院生。民俗学を学ぶ。「月刊ブルシット」の見習い。
- 北原…「月刊ブルシット」の社員。
- 佐々岡慎也…「月刊ブルシット」の社員。41歳。野崎と仕事での繋がりがある。
- 周防…「月刊ブルシット」の社員。35歳。藤間の教育係。カメラの腕はプロ級。
- 湯水清志…作家、ライター。52歳。離婚歴有り。ブルシットの「都市伝説の源流」の記事を担当していた。
- 辻村ゆかり…料理研究家。テレビ出演も多い。
- 辻村悠太…ゆかりの息子。
- 辻村涼ニ…ゆかりの旦那。
来生里穂が書いた過去の物語↓
- 来生里穂…市立三ツ角中学の2年生。ホラー小説好き。ある日を境にサダコと呼ばれるようになる。
- 来生幸子…里穂の母。くらしマートでパート、スナックでも仕事をしている。
- 来生史明…里穂の父。新聞社に勤める。妻と子供とは別居。テレビにも出演している。
- 来生龍平…里穂の弟。小学生。
- 来生真美…里穂の妹。
- 花岡…里穂の担任の英語の教師。里穂を心配している。
- 矢島…保健の先生。
- 井原昭二…特殊学級の生徒。
- 三島…里穂の同級生。いじめっ子。
- 小宮…里穂の同級生。三島のいじめっ子仲間。
- 土屋…里穂の同級生。三島のいじめっ子仲間。
- 手島…田無のおばちゃん。里穂の母の短大時代の同級生。昔はよく家にも来ていた。
- 舟木裕次郎…飲食店などをいくつも経営している。読書家。里穂の母の新しいパートナー?。妻は亡くなっている。
ホラー小説「ずうのめ人形」の怖いところ
小説でできるホラーの演出
ライターの湯水が持っていた原稿は、その一部が「伏字(黒い四角で文字が塗りつぶされた)」になっています。これは原稿が燃えている部分だったり、インクの滲みで読めない部分の演出です。
こういう表現はホラー小説でたまに見かけることがありますが、こういう「伏字」や他の表現で言えば「文字化け」のような演出は、小説ならではのホラー演出ですね。
映像作品であれば色々なホラー演出が考えられそうですが、文字だけだとなかなか限界がありそうに思います。
追いかけてくる怖さ
この作品のタイトルでもある「ずうのめ人形」。ターゲットになった人を執拗に追いかけてきます。
追いかけてくるというパターンは、都市伝説や怖い話ではよくありますが、シンプルでわかりやすく怖い。
小説の中では「猫くらいの大きさで黒い振袖を着た、おかっぱ頭の日本人形。顔は真っ赤な糸でぐるぐるに巻かれている」と表記がありました。
人形はもちろん、この赤い糸もずうのめ人形の原稿を読んだ人にしか見えません。
個人的なイメージで「ずうのめ人形」のイラストを描いてみました。

ホラー小説「ずうのめ人形」で良かったところ、気になったところ
野崎のペンネームの由来
野崎は本名が野崎和浩ですが、ライターとしては野崎昆というペンネームを使っています。
これは「ノザキと言えばコンビーフでしょ」、という安直な理由で付けたそうです。
コンビーフを普段食べたことがないので、ピンと来ませんでしたが、ネットで調べてみるとよく見かけるコンビーフのメジャーなメーカーのようです。
オカルトの話、仕事に熱心な野崎
ブルシットの編集担当である藤間は、記事を頼みに野崎と初対面します。
野崎がどれくらいオカルトに詳しいのか不安があったものの、話を聞くとかなり詳しく、しかも真面目なことにホッとします。
特に都市伝説の話を熱く語る野崎が印象的でした。
「いま言ったのは、怖い話の怖い要素、その一本目の柱だ。もう一本はね 怖い話が伝わり広がること、それ自体なんだ。それが恐怖を引き起こす」
ずうのめ人形
都市伝説や、怖い話は、伝わっていくこと自体が怖い。データでしかない情報が、あたかも生き物のように、発信者のコントロールを離れ、世間に広がっていく。
ずうのめ人形
しかしまさか、このセリフが大きな伏線になっているとは、この時点で野崎本人も思ってなかったでしょうね。
凶悪な都市伝説「ずうのめ人形」に危うく命を落とされそうになります。
民俗学の大学教授と岩田
月刊ブルシットの見習いとして雇われている岩田。この岩田は25歳の大学院生で、1作目にも登場しています。
岩田は1作目の時に、野崎に魔導符の存在を教えてあげています。そういう意味でもキーマンでしたが、今作で亡くなるのが痛ましい。
そして、野崎は岩田が所属するゼミの教授と連絡を取ります。この教授は1作目で登場した唐草大悟。
映画の「来る」では、津田という名前で登場した大学の教授ですが、映画では亡くなったものの、今作のやりとりを見る限り、小説では生きているようです。
くらしマート
ずうのめ人形の原稿を書いた中学2年生の来生里穂。里穂の母親は「くらしマート」でパートをしています。
このスーパーですが、1作目でも原田秀樹の妻、香奈がパートをしていました。
里穂の原稿は過去の話なので、この「くらしマート」は昔からあるスーパーのようです。
この項目だけネタバレの内容です
この項目だけネタバレになるので、これから読もうとしている方はご注意ください。
ずうのめ人形の正体について
ずうのめ人形に呪われる条件。それは、来生里穂が書いた原稿を読むこと。
しかし、それに当てはまらない人物も亡くなっています。里穂の下の兄弟、岩田の両親、この人たちは呪われる要素はなかったけれど犠牲になります。
終盤に野崎や真琴によって、ずうのめ人形の正体が少しずつ判明。
人形はあくまで化物の一部分。本体は赤い糸。地面から上に向かって突き上げるように襲う、赤い糸の束。範囲攻撃みたいなもので、里穂の兄弟や岩田の両親は巻き込まれて亡くなった可能性が高い。
臓腑を食らう赤い糸の化物。
その禍々しさは、1作目のぼぎわんに匹敵しそうなほどです。
もはや自分たちも諦め、絶体絶命のピンチになる野崎、真琴、藤間の3人ですが、意外なところからの助けでピンチを逃れます。
1作目もそうでしたが、毎度、絶望的な状態から、ぎりぎりで助かる二人。読んでるこちらもハラハラしっぱなしでした。
「ずうのめ人形」の生みの親が禍々しい
ずうのめ人形の生みの親が終盤に登場します。
料理研究家の辻村ゆかり。この人物の怖いところは、自覚無しに化物を産んでしまっているところです。
今作で確実にやっつけていますが、以降のシリーズでも何度か登場します。(過去の話として)
正直、本当に亡くなったのか、それすら疑ってしまうほどにラスボス感があります。
今作の「ずうのめ人形」はこの辻村ゆかりの登場で、1作目よりも個人的に面白く感じました。
まとめ
1作目が良ければ2作目のハードルが高くなってしまいますが、余裕で1作目のハードルを超えて期待以上の面白さでした。
怖いかどうか、という点で言うと、1作目よりもマイルドでしたが、それでも非常におすすめの1冊!
終盤のトリックにも度肝を抜かれました。
すでにシリーズの3作目も読んでいますが、3作目もめちゃくちゃ怖くて面白いです。
比嘉姉妹シリーズはKindle Unlimitedの読み放題で7冊ほど読めるタイミングがあります。お得なのでぜひチェックしてみてください。最初の30日は無料でお試しができます。

また、Audible(オーディブル)でも6作目までは聴き放題で聴けます。本を読むのが苦手な方でもオーディブルなら楽しめる可能性が大。こちらも最初の30日は無料でお試しできます。

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