森博嗣さんのミステリー小説「すべてがFになる」の感想・解説・考察。
犀川助教授と生徒の萌絵が活躍するS&Mシリーズの1作目。
シリーズは10作品ありますが、1作目にして最高。
初版は1996年。
理系ミステリーというジャンルの先駆け的な作品です。

今回は本の読み放題のサブスクKindle Unlimited(キンドルアンリミテッド)で読みました。
紙の本と合わせて5回ほど読んでいます。

この小説は夏になると無性に読みたくなります。またあの世界に浸りたくなる。というより大学時代に戻りたいのかも 笑。
小説「すべてがFになる」のあらすじと感想
小説「すべてがFになる」の簡単なあらすじと感想を書きます。ネタバレはしていません。
工学部建築学科の准教授である犀川創平と、生徒の西之園萌絵が主人公。大学生活で起こる殺人事件の謎を二人が解き明かすシリーズです。
この作品は第1回メフィスト賞を受賞しています。(ミステリー小説の賞)
初版は1996年と古い作品ですが、SF的な要素もあって古さをあまり感じません。
初版が発行されて25年以上経っても全く違和感がないのは、小説の中で予測している未来が割と的中しているからなのかも知れません。
数学やプログラムの話、建築学など理系の話が多く、理系ミステリーと言われています。
物語の季節は夏。犀川と萌絵たち大学生が、最先端科学が集結した施設へ行く。(島です)
そこで無惨な殺人事件に遭遇。密室とも言える島で起こる謎の事件と、天才博士の真賀田四季の存在。
長編小説ですが、もうずっと面白い。時々登場する犀川と真賀田四季のセリフも見逃せません。
超ざっくりしたあらすじですが、かなりわくわくする物語になっているので、ぜひ手に取ってみてください。
天才同士のバトルが熱い
主人公の犀川創平は頭脳明晰。そんな犀川に惹かれる萌絵。萌絵自身もかなり頭が良く、特に数字に関する計算スピードや記憶力が異常。直感に優れ、真賀田四季も驚くシーンもあります。
そんな二人の前に登場する、天才の真賀田四季博士。この3人の思考バトルが熱い。
真賀田四季は続くシリーズにも時々、あるいは主人公として登場します。
「頭のいい人の思考回路ってこうなってんだ」と、初めて読んだ時に随分と衝撃を受けました。
随所に出てくるセリフが魅力
森博嗣さんの小説の最大の魅力は登場人物のさりげないセリフにあります。
今作で好きな文章を一部引用します。
Time is moneyなんて言葉があるが、それは、時間を甘く見た言い方である。金よりも時間の方が何千倍も貴重だし、時間の価値は、つまり生命に限りなく等しいのである。
すべてがFになる
「たぶん、他の方に殺されたいのね…」四季はうっとりとした表情で遠くを見た。「自分の人生を他人に干渉してもらいたい、それが、愛されたい、という言葉の意味ではありませんか?」
すべてがFになる
建築学について語る犀川先生のセリフもいい。
「日本では、一緒に遊ぶとき、混ぜてくれって言いますよね」犀川は突然話し出した。「混ぜるという動詞は、英語ではミックスです。これは、もともと液体を一緒にするときの言葉です。外国、特に欧米では、人間は、仲間に入れてほしいとき、ジョインするんです。混ざるのではなくて、つながるだけ…。つまり、日本は、液体の社会で、欧米は固体の社会なんですよ。日本人って、個人がリキッドなのです。流動的で、渾然一体になりたいという欲求を社会本能的に持っている。欧米では、個人はソリッドだから、けっして混ざりません。どんなに集まっても、必ずパーツとして独立している…。ちょうど、土壁の日本建築と、煉瓦の西洋建築のようです。」
すべてがFになる
森博嗣作品について
著者の森博嗣さんについて、本人のエッセイなどの情報から知っている部分を書いてみます。
二足のわらじ。多作の作家。
森博嗣さんは大学の助教授をしながら「すべてがFになる」を含むシリーズの10作品を書き上げています。10冊ができた段階で出版社に持っていって、小説として出版することが決まったらしい。当時は「すべてがFになる」は順番として1番目の作品ではなかったらしく、順番を入れ替えたり、10作品とも編集を加えて出版されたのだとか。
本業の仕事をしながら小説を書くというだけですごいですが、とにかく作品数がめちゃくちゃ多い。こんなに精力的に本を出す人はなかなかいません。というかよくこんなにネタを思いつくなあ ^^;
本作のようなミステリー小説以外でも、シリーズの小説をいくつも書いています。
今作のようなミステリーシリーズもたくさんあって、どれもとても面白いですが、飛空艇でバトルする「スカイクロラ」、侍の話「ヴォイド・シェイパ」のシリーズもめちゃおすすめ。
小説は趣味ではなくビジネス
エッセイに書いていましたが、小説を書くのは「完全にビジネス」。
そもそも小説をほとんど読まないのだとか。
大学の教授という本業があるから、てっきり趣味で書いていると思ったら違うんですよね。
「シリーズにする」「ミステリーというジャンルにする」という選択も売れるからという理由からなのかも知れません。
作家の松崎洋さんも同じようなことをエッセイで書いていました。
シリーズにする理由は単純に「定期的に売れ続けるから」。続きがあれば書けるし、とりあえず書くことでお金が入ってくる。これが単発の小説ならそれで終わり。続きものになりにくい純文学や単発の作品は、長期的に売るには少し不向き、とのこと。
それにしてもここまで割り切って、しかもたくさん書いてやり切るからすごい。
まとめ
今回紹介した「すべてがFになる」のシリーズの他にも関連した複数のシリーズが続きます。
ちょっとだけ登場した人物が、他のシリーズで重要な役割をしたり。なかなか油断ができず、サプライズ要素もあって楽しませてくれます。
今作のS&Mシリーズは大学生活が舞台なので、まるで自分も大学時代に戻ったかのような感覚があります。あの世界観に浸りたいから、また読んでしまう。
「すべてがFになる」は非常に人気作で、ドラマやアニメにもなっています。好き嫌いは分かれるかもしれませんが、個人的にはどちらも好きです。
Audible(オーディブル)ではシリーズ作品全てが聴けるのでチェックしてみてください。オーディブル版はナレーションが素晴らしいのも魅力です。
シリーズの他の作品も感想を書いています↓











コメント