小松左京さんの「厳選恐怖小説集 牛の首」をKindle Unlimitedで読みました。
短編のホラー小説ってなんか好きだなあ。
Kindle版は2022年10月に発刊。
小松左京さんの作るホラー小説は、なんかこうガチンコなんですよね。真剣に物語が練られてるから、こういう作品を読むと数多ある他のホラー小説が霞んでしまうほど。
ホラー短編集「牛の首」。めちゃ怖くて面白い。
どの作品も面白いですが、個人的に気になった話をざっくりとご紹介します。
ツーペア
泥酔した主人公が朝起きると右手が血だらけになっている。
自分が怪我をした血ではなく誰かの血。
長髪の女性の幽霊がそばで立っていたが、スッと消える。
消えた後も血が天井から落ちてくる。
ある日、日中にその長髪の女性を見つけ、追いかけるが…。みたいな話。
ある一定の高さからしか血が落ちてこないから怖い。
安置所の碁打ち
定年を過ぎ老後生活を送っていた主人公。
ある朝目覚めると何か様子がおかしい。ご飯を食べても味がしない。
囲碁仲間でもある顔馴染みの医者に家まで来て診てもらったところ脈がない。
もう死んでいると告げられる。
死んでると言われても、こうやって生活しているから死亡届も出せない。
妻も息子たちもとりあえず受け入れつつ。同じように毎日を過ごす。
妻からは死ぬのか生きるのかはっきりして欲しいときつく言われ、自分の墓石まで選ばされ、遺言まで書かされる。
遺産相続を息子にした途端、妻が突如病気で亡くなる。
息子たちは出て行き、診てもらっていた医者も亡くなる。その医者の息子も亡くなり…
SF作家ならではの奇妙な話。ツッコミを入れざるをいれないブラックジョークが効いた作品。
牛の首
表題の「牛の首」も面白い。物語を作るセンスがパない。
僕が好きな澤村伊智さんのホラー小説でも、登場人物が下のような話をしていました。
いま言ったのは、怖い話の怖い要素、その一本目の柱だ。もう一本はね 怖い話が伝わり広がること、それ自体なんだ。それが恐怖を引き起こす
ずうのめ人形
この話に似ているようにも思います。
空飛ぶ窓
雪国の冬の物語。
小学3年の女の子が学校の帰り道で、中空に浮かぶ「窓」を見つける。
その報告を受けた父親が、一緒にその窓を見に行く。
実際にその窓を見つけて、中に入ってみると南国のビーチが広がる。ついでに椰子の実を持って帰る。
その窓はUFOさながら飛んでいく。
ホラーなのかSFなのか、このなんとも微妙な具合の物語がいい。
その他にも
妙な穴の話、ろくろっ首の話、クレジットカードの話など、どれも面白いです。
ドラマの「世にも奇妙な物語」が好きな方は、小松左京さんのこの短編はハマると思います。
まとめ
この本に収められた作品は1964年〜1978年の間に書かれた作品で、どれも僕が生まれる前の作品でした。
時間が経っても面白いものは面白い。
小松左京さんの短編ホラーには他に「霧が晴れた時」という作品があります。
こちらもおすすめ。
感想も以前に書きました。
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