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山本文緒さんの短編小説「絶対泣かない」様々な職場で働く女性の日常

山本文緒さんの短編小説「絶対泣かない」様々な職場で働く女性の日常 小説
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山本文緒さんの短編小説「絶対泣かない」をKindle Unlimitedで読みました。

Bitly

電子書籍版は2013年2月発行。初版は1995年なので古い作品です。

Kindle Unlimitedはサブスクですが、毎月サブスクで読める本が変わります(そのまま継続して読める本も多い)。時々、特定の作家の特集をすることがあって、その作家の小説を複数読める月があります。今回は山本文緒さんの複数の小説がKindle Unlimitedで読めるようになっていました。

冊数も多いので全部は読めないですが、過去に紙の本で読んだことがある「絶対泣かない」を再度読んでみました。

gao the book
gao the book

さまざまな職場で頑張る女性たちの日常を描いた短編小説。ほんの些細なことで頑張れたり、感動したり、恋に落ちたり。そんな小説を読む45歳のおじさんがいることに自分でも驚いています。

山本文緒さんの短編小説「絶対泣かない」のざっくりあらすじ

さまざまな職場で働く女性が主人公の短編集。

全15編。世の中にはいろんな職業がありますね。

今回読んだのは電子書籍版で、後書きを著者が書いています。初版の後書き、さらに数年後の後書きが読めるのでちょっと得した気分。

世の中には本当にたくさんの仕事があるけれど、人生で経験できる仕事はほんの一部だけ。と後書きで著者が書いていました。

この小説を書くにあたってさまざまな職業の人に話を聞いたそうです。

著者は元々サラリーマンで普通に働いていましたが、ふとある時に仕事について深く考えるようになって、作家を目指すようになったらしい。そのあたりのことも後書きに書いていました。

もし、あなたがあなたの仕事が嫌いだとしたら、それがどんなつまらない仕事でも、それをつまらないと思ってるのはあなた自身です。つまらない仕事を選んでいるのもあなたで、でもそのつまらない仕事でお給料をもらって自分を食べさせているのなら、一見華やかそうでも、誰かから扶養されている人よりは何倍も自由であることを、時々は思い出してください。
どうか、あなたがあなたの仕事を好きになれますように。

絶対泣かない

山本文緒さんの短編小説「絶対泣かない」面白かったところ

「絶対泣かない」で個人的に好きな物語をご紹介します。

体育教師

結婚を諦めていた体育教師の主人公。

可愛い容姿をしているけれどどこか気に食わない生徒に当てつけのように厳しく指導する。

ある日、母親からお見合いを勧められて行くと、その相手は厳しく指導した生徒の兄だった。

意外な結末に感涙。

漫画家

レディコミ(いかがわしい内容の漫画らしい)の漫画家。そんな娘を持つ母親が主人公。

娘がレディコミを描いていることを知り、都会に住む娘の家に突撃する。

事務所を兼ねたその住居には、アシスタントが数人。

アシスタントたちは漫画家の娘を尊敬している。いかがわしい漫画とばかり思っていたが、実はそうではなさそうな感じ。

めちゃくちゃ叱ってやろうと思っていた母だったが…。みたいな話。

田舎から出て都会で頑張っている。その姿は仕事の内容はさておき、やはり胸を打つものがある。母が子を思う気持ちも相まって、僕はもちろん最後に感涙しました。

営業職

ワインを販売する会社の営業職の女性が主人公。

いつも営業に行くお酒屋さん(自社のワインを販売してくれている)の態度がそっけない。

あの手この手で営業方法を変えてみるもなかなか効果がない。

いつもそのことを彼氏に相談していたが、意外なアドバイスをもらって実行する。

僕も一時期飛び込み営業の仕事をしたことがあったので、ちょっとわかるような話でした。自分の営業トークばかりしちゃうんですよね。

最後の結末にやっぱり感涙。

秘書

他の作品もいちいち感動させられるので、正直全部紹介したいくらいですが、最後に表題の「絶対泣かない」について。

冴えない主人公が、やり手の女性社長が経営する会社の秘書として中途採用される。

給料もかなり良い。

どうして自分が採用されたのか不明だったが、ある出来事で、その社長が小学生の頃にいじめていた同級生だと気づく。

このあらすじだけで面白そうでしょ?

私が美しくないのはお金がないせいだけではない。「自信」というダイヤモンドを彼女が持っているのと逆に、私は「卑屈」という名の生ゴミを胸の中に持っているからだ。

絶対泣かない

山本文緒さんの短編小説「絶対泣かない」の個人的な思い出

最後にこの本に関する僕の雑談を少し。

僕は本を読んでもその内容の9割以上は忘れます。

覚えていても、一部の印象的だった部分だけだったり、「全体的になんとなく面白かった」みたいな記憶しか残っていません。

だからなのか、このブログで紹介している本の半分くらいは再読した作品が多いです。「ちょっと思い出したい」という好奇心で読んでいる節もあります。

で、内容のほとんどは忘れているんですけど、その本を読んだ当時のことを、再読する時に思い出します。昔の音楽を聴くと、その当時のことを思い出す感覚に似ています。

今回読んだ「絶対泣かない」も読むのは2回目。最初は文庫本を購入して読みました。僕が大学生の頃でした(今から25年くらい前!?)。どうしてこの小説を買ったのか覚えていませんが、ページ数が少なくて短編集で読みやすそう、カバーのデザインが良かった、などそんな些細なことだったと思います。

初めて山本文緒さんの本を読んで「これはいい作品だなあ」「本って素晴らしいな」という印象だけはずっと記憶に残っていました。

当時は実家から遠く離れて大学生活を送っていましたが、実家に帰った時に、この本を本棚に置いて帰りました。実家の子供部屋は兄と一緒の部屋だったので本棚も共有。

「この本いいから読んでみて」という無言の圧力を残して大学生活に戻りましたが、結局、読まれた形跡は全くありませんでした。

いつしか、実家が引越しした際に本も勝手に処分されていました( ; ; )。

今思えば大学生まではそんなに本を読む習慣がなかったと気づきました。

僕が読書を習慣(というか趣味)にするようになったのは、社会人になってからですが、趣味になる発端の一つにこの「絶対泣かない」はあったと思います。

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