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ミステリー小説「黒猫の三角」シリーズ開幕。最初から度肝を抜く展開

ミステリー小説「黒猫の三角」シリーズ開幕。最初から度肝を抜く展開 小説
この記事は約6分で読めます。

森博嗣さんのミステリー小説「黒猫の三角」の感想・解説・考察。

黒猫の三角: Delta in the Darkness (講談社文庫 も 28-14)
1年に一度決まったルールの元で起こる殺人。今年のターゲットなのか、6月6日、44歳になる小田原静江に脅迫めいた手紙が届いた。探偵・保呂草は依頼を受け「阿漕荘」に住む面々と桜鳴六画邸を監視するが、衆人環視の密室で静江は殺されてしまう。 森博嗣...

初版は1999年と古い作品ですが、全然古さを感じないから不思議。

Kindle Unlimited(キンドルアンリミテッド)で読みました。

この作品はVシリーズという森博嗣さんのミステリーシリーズの1作目です。

文庫本も所有していて読むのは3回目です。やっぱり面白い。

gao the book
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ネタバレはしていません。面白かったところをご紹介したいと思います。

ミステリー小説「黒猫の三角」のざっくりあらすじ

登場人物

シリーズを通して登場する主要メンバーだけご紹介します。

  • 探偵と何でも屋をやっている主人公の保呂草潤平
  • 保呂草と同じアパート「阿漕荘」に住んでいる大学生の小鳥遊練無
  • 同じく「阿漕荘」の住人の大学生、香具山紫子
  • かつては令嬢だった瀬在丸紅子(自称科学者)

このVシリーズはこの4人のキャラクターが濃くて最高です。もう何やっても面白いはず。

簡単なあらすじ

保呂草が住んでいるアパートの大家(小田原静江)から、息子の家庭教師を探しているから、誰か紹介してほしいとお願いされる。

そもそも小田原静江は塾を経営しているが、どうやら息子は親が経営する塾で勉強するのはきついらしい。

少し時期を置いて、今度は小田原静江自身のボディガードをしてほしいと頼まれる。

保呂草はボディーガードをしたものの、小田原静江は殺害されてしまう。

かつて瀬在丸紅子が所有していた広大な敷地にある「桜鳴六画邸」。この屋敷で密室殺人事件が起こる。ちなみに、離れに瀬在丸紅子が住む小さな建物「無言亭」がある。

この事件は、ここ数年続けて起きている殺人事件と同じ殺害方法だった。

今回は6月6日に44歳(小田原静江)が殺害された。ちょうど1年前の6月6日には33歳が殺害され、2年前の7月7日には22歳、さらに3年前の7月7日には11歳が殺害された。

数字の法則がありそうなゾロ目と年齢の倍化。

保呂草や瀬在丸を含む主要メンバー4人は、それぞれこの事件の謎を考察していたが、香具山紫子も危険に巻き込まれてしまう。

最後は大きな展開で物語が終わります。

シリーズものですがシリーズ最初の物語でこの展開はかなりびっくり。全然推察できなかった 笑。そして、うまいことシリーズが続く物語になっています。

特に終盤の保呂草と紅子の会話はスリリング。

小説「黒猫の三角」の良かったところ

小鳥遊練無と香具山紫子が良い

主要メンバーの4人の中でも、小鳥遊練無と香具山紫子のキャラクターがかなりいい。

小鳥遊練無は小柄で女の子のような見た目。女性用の服装を好んで着ている。拳法を習っている。

香具山紫子は関西弁の陽気な女性。練無とは逆にボーイッシュ。言動がいちいち面白い。保呂草に恋をしている。

小鳥遊練無と香具山紫子は非常に仲が良く、二人はくっつくような気がしてならないんだけど、今後の展開に期待。

二人の会話の一部を少し引用します。

「どうして恐いの?結局は小田原さんは死んじゃったんだよ。死体が見つかってなくて、まだどこかを歩いている、とかだったら恐いけど。正常に力尽きて、死んじゃったわけだから、恐くないよ」

「そんな朦朧とした状態で、人の首を絞めるか?」

「そう、なんとなく、惰性だったんだね」

「もう一回、部屋の奥まで戻ったの?私、見てないけど、小田原さん、奥の方に倒れてはったんやろ?」

「そう…、なんとなく、惰性で戻ったんだよ」

黒猫の三角

惰性て 笑。その後、惰性でピストルまで放ったらしい。

「こっちの部屋は…」奈緒実は表札を見る「小鳥遊さん?」

「あ、ええ、私の子分みたいなやつでして」

「もしかして、男の人?」

「あ、ええ、半分くらい」

紫子に勧められて、早川奈緒実は遠慮がちに練無の部屋の中に入った。

「こんにちは、香具山さんの子分で、半分男の小鳥遊と言います」

黒猫の三角

下の会話は保呂草と紫子の会話。これも妙に面白い。

「七夕の短冊に、子供のとき、何書きはりました?」

「さあ…」保呂草は笑いながら首をふる。車が信号待ちになった。「どうして?」

「そういうめっちゃ健全な話題で、ここまでぶいぶいいわせてきたんです」紫子が答える。

黒猫の三角

瀬在丸紅子の台詞が今回の犯罪のキーに

瀬在丸紅子の最初の頃の言動から既に伏線が張られていたっぽくて、見逃せないところ。

「遊びで殺すのが一番健全だぞ」紅子はこともなげに答える。「仕事で殺すとか、勉強のために殺すとか、病気を直すためだとか、腹が減っていたからとか、そういう理由よりは、ずっと普通だ」

「お嬢様、それはお言葉が過ぎます」

黒猫の三角

元お金持ちのお嬢様とは思えない発言。

「確かに、社会の理解を得て、刑が軽くなるような殺人が存在するみたいだね。けれど、それは、逆に見れば、つまり、死刑と同じで、人が人を裁いていることになるのだよ。そういった殺人を認めることは、正義のためなら戦争を許容し、正義のためなら死刑を許容することへ進む可能性がある。正義という名前の理由さえあれば、人を殺しても良いことになる。その理由がないものは駄目だ、という理由になる。では、正義って何だい?理由とは何だい?たとえば…、そう、正当防衛は許されているよね?自分が殺されそうになったら、相手を排除できる。抵抗しても良いことになっている。ところが、それは物理的に不可避な場合だけで、精神的な攻撃には適用されない。精神的にどんなに痛めつけられても、相手を殺してはいけないことになっている。これ、どうしてだと思う?人によっては、精神的な攻撃の方が耐えられない、という人格だってあるんじゃない?その答えは簡単。つまり、精神的なダメージが測れないから。すなわち、躰なら怪我が見えるのに、精神の怪我は見えない。ただそれだけの理由です。そもそも人間の作り出したルールなんて、まだその程度のレベルなんだ」

黒猫の三角

森博嗣さんの作品は、キャラクターの台詞の中に森さん自身の考えも入ってるような気がして(あくまで気がするだけ)興味深い。

「趣味のハンティングは、人間だけがする行為だわ。だから、それは、より人間的な行為といわざるをえません。とにかく他の動物には真似ができないんだもの。人間だけが思考し、言葉を話し、子孫に歴史情報を伝達し、哲学を構築し、科学を築いた。あらゆる芸術を生み、それを美しいと感じ、美しいものを愛した。もし、これが人間性だとしたら、意味もなく他の生命を奪う行為は、これと同じ部類に入るものだ、と私は確信してる。」

黒猫の三角

まとめ

このシリーズはVシリーズと呼ばれていますが、紅子のイニシャルからそう呼ばれてるそうです。BじゃなくてVという点はちょっと疑問ですが。

そういう意味で瀬在丸紅子という謎に満ちた女性の存在が、このシリーズの魅力だと思います。

紅子だけでなく保呂草という聡明な人物も見逃せません。

そして、キャラの濃い小鳥遊と紫子。もう最強の4人。

以降の続編も楽しみ。

Kindle Unlimitedでは続編(2冊目)までは読めましたが、おそらくKindle Unlimitedで全ては読めそうもないです。(さすがに読み放題もそこまで大盤振る舞いじゃないという理由で)

オーディブルは期待薄ですが、何にしてもシリーズは完走して読む予定です。

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