ジョージ・オーウェルの小説「1984」をKindle Unlimitedで読みました。
翻訳は田内志文さん。
僕が読んだ電子書籍版は2021年3月発行。元々は1949年の作品。
1984年の物語をフィクションで描いていますが、今読んでもこの物語に違和感を感じないからすごい。
この小説は「英語で書かれた20世紀の小説ベスト100」「史上最高の文学100」など、非常に評価の高い作品。なかなか衝撃的でした。これから先、時を経ても古典として長く残っていきそう。
ジョージ・オーウェルの小説「1984」のざっくりあらすじ
主人公はロンドンに住むウィンストン・スミス。39歳。
真実省に勤める。
真実省での仕事は過去の記事やニュースを嘘で書き換えること。同じような仕事をする人たちが3000人以上いる。
ウィンストンは嘘をでっちあげる政府に疑問を抱いている。
家では正気な自分の考えを残すために日記を密かに書く。この行為は発覚すれば、死刑か最低でも25年の強制労働収容所送りになる。
ある日、同じ省内の女性から告白を受ける。なんとかバレないように秘密の逢瀬を重ねる。(この行為も発覚するとほぼ死を意味することを本人たちもわかっている)
常に監視される中、真実の改ざん、歴史の書き換え、その行為に組織にいながら疑問を感じる主人公はどうなっていくのか…。
みたいな話です。
訳のわからない言葉が結構出てきて、そのあたりも妙に怖い作品。
- ビッグ・ブラザー
- イングソック
- 二重思考(ダブルシンク)
- 思想警察
ジョージ・オーウェルの小説「1984」に登場するオリジナルのワード
テレスクリーン
映像が見れるテレビのようなもの。この装置はボリュームを下げることができても、映像を切断することはできない。
また、テレスクリーンは受信と発信を同時に行う。
テレスクリーン自身がカメラになっているようで、テレスクリーンから見える場所は映像として他者が見れるようになっている。
主人公を含め、省に勤める人たちは「思想警察」に常に監視されている。
ニュースピーク
この小説を読んだ後でも、ニュースピークについては、今ひとつ理解が足りていないです。
オールドスピークという言葉も出てきて、オールドスピークがこの物語の世界で話す一般的な言語っぽい?
ニュースピークはオールドスピークの言葉を改ざんして、真偽の疑問を抱かす余地もない言葉?なのかな。
ニュースピークの目的は総じて、思考の範囲を狭めることにあるというのが分からないか?最終的には思想を表現する言葉がなくなるわけだから、従って〈思想犯罪〉を犯すのも文字通り不可能になる。必要となりえる概念はどれもこれも、たった一語で表現されるようになるんだ。
1984
謎で危険な集団?というか政府みたいなもの?
主人公が務める真実省は超巨大なピラミッド型の建物の中にある。
この建物がバカみたいにデカく、それがロンドンに4つあるらしい。
真実省の建物に書かれたスローガン。
戦争は平和なり
1984
自由は隷属なり
無知は力なり
この言葉の意味も物語後半で説明されています。
「真実省」の他にも「平和省」「愛情省」「豊穣省」など4つの省がある。
ちなみに愛情省が最も危険らしい。どの省もネーミングが皮肉ってて怖い。
フィクションなのにリアルすぎる
この作品については、巻末の翻訳者のあとがきや解説ですごくわかりやすく書かれています。
ひとまず自分が感じた個人的な感想としては、物語がリアルに感じたこと、世界が悪い方向に向かって行きそうな強い予感を抱いたこと。(そもそもずっと前から悪い方向に進んでいるかもしれないけど)
主人公は結局、女性との逢瀬が思想警察にバレてしまい、長期間投獄される。
拷問シーンがかなりエグくて、自分の今の生活との落差になんとも言えない気持ちになる。自分が見える社会は非常に表面的なことなんだろうなとも思う。
世界は少数の権力者同士が常にコントロールしている。自分の生活範囲で見れる今の平和な世界と、戦争をしている世界の境界線は微妙で、ちょっとしたことで簡単に同じ世界になるだろうと思う。そうなっては欲しくないなあ…。
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