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貴志祐介さんのホラー小説「さかさ星」の感想。呪物のオンパレード!

貴志祐介さんのホラー小説「さかさ星」の感想。呪物のオンパレード! ホラー
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貴志祐介さんのホラー小説「さかさ星」の感想・解説・考察。

Amazon.co.jp: さかさ星 (角川書店単行本) eBook : 貴志 祐介: Kindleストア
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この作品はKindle Unlimited(キンドルアンリミテッド)で読みました。

久しぶりに貴志祐介さんの新しいホラー作品を読みましたが、やっぱりめちゃくちゃ怖い。

よくこんなストーリー書けるな〜。書いている本人は怖くないのか?そこが気になる。

幽霊がバンバン出るような内容ではありませんが、ものすごい数の呪物が登場します。呪物に人が影響され、恐ろしい目に遭う。そんな物語です。

電子書籍だと本の厚さがわからず、読んだ感じだとまあまあ長編です。

gao the book
gao the book

本作の貴志祐介さんと、「リング」の著者の鈴木光司さんは個人的に最強のホラー作家だと思っています。自然と二人を比較するんですが、貴志祐介さんの方が多作ですね。新しい物語が読めるのは嬉しい。

ホラー小説「さかさ星」のあらすじ

この物語は簡単に言うと、何百年も昔からある怨念同士のぶつかり合いの話。そして、それに乗じて五芒星のパワーで悪い力を召喚しようとする二人の超絶能力者が加わって、より絶望的な話になっています。

主人公側は最初からかなり不利な状況から立ち向かうことになりますが、果たしてどうなるか。

ネタバレやオチなどは書いていませんが、多少は内容に触れているのでご了承ください。

物語の序盤

主人公の祖母の姉の家族4人が惨殺された。

只事ではない殺され方だったため、祖母は強力な霊能力者を連れて、巨大な屋敷、福森家に向かう。

主人公の中村亮太はYouTubeでオカルト系の動画を投稿していることもあり、祖母(中村富士子)からの頼みで、記録のためにビデオカメラを持って、一緒に同行することになる。

福森家に向かう途中の木々が螺旋状にありえないくらいに捻じ曲がっていたり(螺旋木理(らせんもくり)と言う現象)、風水的に魔除けとして庭にあった様々な樹木が伐採され、代わりに忌木が植えられていた。そして鬼瓦の損傷。

序盤からかなり不吉で怖い。

ちなみに強力な霊能力者は賀茂禮子(かもれいこ)という名前で、目が大きく前歯が三角形に尖っていて、ゴブリンみたいなインパクトある見た目らしい。いやいや、それはそれで怖いから ^^;

4人が惨殺された部屋に行く

警察官の樋口も一緒に同行し、福森家の4人が惨殺された部屋へ行く。

祖母の姉の八重子は行方不明で、八重子の長男の「虎雄」、虎雄の妻の「遥子」、八重子の長女の「美沙子」、八重子の次女の「麻衣子」の4人が別々の部屋で殺されていた。

特に虎雄の殺され方が凄まじく、逆さの状態で壁に打ちつけられていた。人間の力では不可能なパワーで穴が開いていて、警察も困惑していた。

4人が惨殺された部屋を見て回る中、5つの部屋を観察すると、どの部屋にも強力な呪物が複数見つかる。

とにかくこの福森家はやたらとでかい。お金のかけ方もスケールが違う。それもなんか怖い。

霊能者を信じられない中、様々な呪物の話が展開

亮太は賀茂禮子を最初から胡散臭いと思っていたものの、賀茂禮子が知る由もない物語が後で判明したり、賀茂禮子から「あなたも霊能力がある」と言われ、実際にだんだんと霊能力が強くなっていくことで、信じざるを得なくなる。

福森家にある複数の呪物。その一つ一つを霊視していくと、そのほとんどは松下誠一という古物商が福森家に持ってきたものだった。

また、鬼瓦の損傷や、大黒柱を逆さにして入れ替えたり、庭の樹木を忌木に植え替えたりした人物、建築士の坂井喬平。福森家のリフォームをしていた。

呪物と悪意あるリフォームにより、福森家は禍々しいほどの邪悪に満ちていた。

ストーカーも怖い

亮太はストーカーをされていて、そのことを賀茂禮子はひと目見ただけで言い当てる。

ストーカーの名前は下川李々子。175cmを超える筋肉質な体型。元短距離選手で走るのが速い。もうこのスペックだけでも怖い。そして、クレランボー症候群(被愛妄想)という病気らしい。初めて聞く病名。

あまりにも行動が度を超えていたので、過去に弁護士を通じて3者で話し合い、亮太に接触しないように取り決めをしていた。

しかし、良太はこの惨劇の中、またも下川李々子に追いかけられることに。

全体的に主人公の亮太は、ついてないというか、悲しい運命を持っている感じがします。

中盤から終盤にかけて

中盤からは月晨なる若い白人女性の霊能力者が登場します。

賀茂禮子を悪者に仕立て、呪物の霊視も賀茂禮子と全く逆のことを言う。

祖母は賀茂禮子とどうやって知り合ったか思い出せず、不信感を募らせ、途中から協力関係を一方的に解消されます。

賀茂禮子が直接的に協力できなくなり、良太はさらにピンチに。

無事、良太は福森家を救えるのか?

という物語です。

途中かなり省いています。白魔女・黒魔女などが登場したり、ドイツの無声映画のフィルム(呪物)などが登場して、かなり怖くて面白いですが、大まかにはこんな感じの内容です。

そう言えば、貴志祐介さんの他の作品にも「月晨」が登場します。内容から察するに全く同じ人物なので、作品を超えた繋がりがあって興味深い。ということで、他の作品を読む時もちょっと注意して読もうと思います。

ホラー小説「さかさ星」の登場人物

この小説は登場人物がかなり多いです。(江戸時代の人も多く登場)

この小説を読んだことがない方は、内容が入ってこないと思いますが、せっかくですので書いておきます。

福森家の人たちと、その関係者

  • 中村亮太…主人公。底辺YouTuber。登録者数1000人を超えたところで頭打ちに。心霊、オカルト、ヒトコワを含むホラー系全般の動画を投稿している。将来の夢は劇場用映画を作ること。
  • 中村富士子…亮太の祖母。72歳。若い頃は美人。
  • 賀茂禮子(かもれいこ)…霊能者。日本でも最強クラスの能力を持つ。年齢不詳。目が大きく、前歯は三角形に尖っている。警察も知っているくらいに有名な人物らしい。
  • 稲村繁代…福森家でお手伝いの仕事を20年以上している。
  • 福森八重子…富士子の姉。
  • 福森虎雄…八重子の子。長男。体が大きく、ヤンキー気質。
  • 福森遙子…虎雄の妻
  • 美沙子…八重子の子。長女。離婚し出戻り。激しい気性を持っている。
  • 麻衣子…八重子の末っ子。美沙子の妹。35歳。未婚。
  • 虎太郎…11歳。虎雄の息子。
  • 剣士郎…8歳。寅雄の息子。
  • 美桜…6歳。美沙子の子。テディベアを抱えている。

福森家に関わる昔の人たち

  • 福森義秀(弾正様)…第3代当主。福森家の隆盛の礎を築いた。
  • 福森重藏…第11代当主。裏ではヤクザ者を使う恐ろしい人物。
  • 千太郎…重藏の子。長男で20代後半。家督は継げなかった。妾に生ませた子という噂。
  • 松下秋繭(しゅうけん)…福森重藏のお抱え絵師。幽霊画が遺作。
  • 松下弥兵衛…達磨図と山崎祟春の肖像画を描いた。
  • 山崎祟春…名君。弾正に鎧兜をあげる。

その他の人たち

  • 坂井喬平…建築士。新しく車用の門を作ったり、庭の樹木を入れ替えたりリフォームしている。大黒柱を逆さに付け替えた。
  • 松下誠一…津雲堂を営む古物商。複数の呪物を福森家に持ち込んでいた。秋繭や弥兵衛の子孫?
  • 樋口達也…捜査一課 巡査部長。30代半ば。
  • 玄道…福生寺の住職。福森家の菩提寺。
  • 川原道明…福正寺の住職。玄道は師匠。
  • 杉本…亮太の大学時代、映画学科の先輩。検査会社に勤務。市松人形を調べた。
  • 下川李々子…亮太のストーカー。175cmを超える筋肉質な体型。元短距離選手で走るのが速い。クレランボー症候群。被愛妄想。
  • 澤武郎…地元の郷土史家。70代くらい。福森家の家紋や、さかさ星、逆磔などについてブログで書いていた。
  • ソフィア・ミュンヒンガー…ドイツの大学院生。白い魔女。
  • 月晨…20代後半の比丘尼。白人。天眼通という法力を持つ。フリーランスの派遣僧侶。ドイツ人。

ホラー小説「さかさ星」に登場する呪物たち

先ほどの登場人物もそうですが、おそらくこの作品を読んだ人しか興味はないと思います。一応、こんな呪物があったよ的な感じで書き出しています。

  • 三和土…福森憲吉が作らせた。人の血を混ぜて作っている。
  • 欅の大黒柱…福森家の守り神。江戸時代に巨額を使って京都から運ばせた。これも坂井がリフォームの際に一旦外して逆さにして設置。
  • 虎徹…いつからあるのかわからない。2本の刀は守り刀と言われていたが、津雲堂から買ったもので、真っ赤な偽物だった。呪物。
  • 穿山丸…福森家に代々伝わる守り刀。
  • 朱漆塗水牛角兜と黒糸威朱桶側五枚胴具足…山崎祟春が福森弾正にあげたとされる。が、騙し討ちし奪い取った戦利品?。弾正様がお殿様から拝領した。一門の誉れ。福森家の守り神。お殿様は山崎祟春。
  • 幽霊画…江戸時代の掛け軸。見るだけで祟りがある。松下秋繭(しゅうけん)作。
  • 福生有基 禍生有胎…額に飾られた書。福森家に伝わる書。
  • 積善余慶 積悪余殃…額に飾られた書。福正寺の前の住職、玄道和尚が書いた。
  • 慶長小判…額に飾られた本物。10枚全て全く同じもの。血糊がべっとりと付着。呪物。江戸時代から福森家に伝えられているもの。
  • 市松人形…作られた時から呪詛にまみれた代物。
  • 合わせ貝…江戸時代の代物。呪物。見合わせ貝は1つしかピッタリと合うものがないことから夫婦和合のシンボル。第六代当主の福森監物の長女、方姫(まさひめ)の持ち物。離縁され実家に戻ってきた。恨みとなっている。家で自殺。
  • 貝桶…合わせ貝とのセット。
  • 親不知子不知図…掛け軸。呪物。松下秋繭(しゅうけん)作。第11代当主の福森重藏のお抱え絵師。
  • 達磨図…松下弥兵衛作。弾正のお抱え絵師。松下秋繭の子孫。
  • 銀の三ツ組盃と傍折敷…津雲堂の松下が持ってきた。呪物。過去に人の命を奪っている。
  • 天尾筆…納屋に保管されていた。松下が持ってきた呪物。鎌倉時代初期のもの。人毛。
  • 幽霊画…納屋に保管された掛け軸。女性の幽霊画。見るだけで呪われる。
  • 行灯…納屋に保管されていた。格子模様。ドーマンが入っている。幽霊画の幽霊が現れる時の露払いをする役目。
  • 河童の木乃伊…納屋にあった。江戸時代の細工師作。松下誠一が持ち込んだ。虎雄が買い取ったらしい。
  • 黒色尉…子供たちを救った呪物の一つ。被ると面の過去の映像が見える。また、異形の視線で見ることができる。
  • 三番叟鈴…子供たちを救った呪物の一つ。振るとオーラのような力強い光を放つ。
  • 鴛鴦飾り蓋付き 須恵器壺…夫が妻を刺殺したが、その後、食事をして毒が盛られていて亡くなる。二人の怨念がこもった呪物。虎雄と遙子のよう。松下誠一が持ってきた。
  • Royal Ashton…英国のティーカップ。人の心を冷酷に変える呪物。人の骨の灰が混ぜられている。

他にもあるんですが、ほぼほぼ網羅しているかと。

この呪物たちはどれもかなり危険な代物らしいですが、主人公たちの手助けになるアイテムも複数存在しています。

ホラー小説「さかさ星」で面白かったところ

呪物の数がすごい

次から次へと呪物が出てくる家。賀茂禮子ですら見たこともないような、危険な呪物ばかり。

それぞれを霊視し、その歴史の話がかなりのページを占めています。

呪物と言えば、ここ数年で特に注目されている言葉ですが、呪物好きな方(とは言えフィクションですが)は楽しめると思います。

シュールな場面も

亮太は黒色尉という呪物のお面を被って、敵に立ち向かいます。顔に一体化したかのように張り付く。

第三者の視点的には、なんとも奇妙な光景で、ちょっと面白い。

黒色尉以外にも亮太を助ける呪物がいくつか存在して、その部分も見どころです。

77歳の跳躍

亮太の祖母の姉「八重子」。八重子は鬼に変貌してしまうんですが、福森家の3メートル以上もある壁を跳躍してやって来ます。そしてまた、最後を迎える際に、4、5メートルはある樹木に登り跳躍。

77歳の異様な跳躍力。

ホラー的にはこの作品で特に怖いのが、この八重子お婆さんです。

福森家の家政婦が不気味

福森家で20年以上お手伝いとして働いている稲村繁代。

異様な記憶力と知識で、福森家の呪物の説明にもしっかりと答える。

呪物で家宝でもある「穿山丸」への異様な執着も見せて、ちょっと不気味。

さかさ星について

タイトルのさかさ星。途中までタイトルの意味が分かりにくかったですが、所々に五角形の描写があり、終盤に重要なことがわかります。

「五芒星形 ペンタグラムの持つ神秘的な力は、古代より、世界中の様々な文化で独立して発見されてきました。すると、ほどなく、その上下を転倒させることで負の力を解き放とうとする者たちが現れました。キリスト教の生んだ鬼子である悪魔崇拝者たちのように」

さかさ星

西欧においては、悪魔の星(デビルスター)や、山羊の頭を持つ悪魔の顔に見立ててバフォメットの紋章などと呼ばれており、最も強い魔性を持つ図形とされているようだが。

さかさ星

「京都市の地図を見たとき、左京区が右にあり右京区が左にあることに、疑問を持ったことはありませんでしたか?」
~中略~
「君主は南面する、という言葉あります」
~中略~
「つまり、平城京であれ、平安京であれ、御所から見れば、近畿の大五芒星は、正位置ということになるんですよ」”

さかさ星

まとめ

この作品は読んでいてとにかく怖くて、夜は読まないようにしていました。

心なしか読むほどに気持ちも滅入ってしまうほど 笑。

登場人物が結構多くて、わかりにくい部分もありましたが、こうやってブログで書いて整理することで理解が深まりました。

霊能力者の賀茂禮子の存在感が素晴らしいので、個人的にはシリーズものとして続編も期待しています。

いや〜、怖くて面白かった。

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