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シリーズ第6段!ホラー小説「さえづちの眼」がやっぱり面白い。

シリーズ第6段!ホラー小説「さえづちの眼」がやっぱり面白い。 ホラー
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澤村伊智さんのホラー小説「さえづちの眼」の感想・解説・考察。

Amazon.co.jp: さえづちの眼 比嘉姉妹シリーズ (角川ホラー文庫) 電子書籍: 澤村伊智: Kindleストア
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比嘉姉妹シリーズの6作目。

この作品はKindle Unlimited(キンドルアンリミテッド)で読みました。

中篇が3作収録されています。

今作はそこまで怖い話ではなかったですが、面白い3篇でした。

gao the book
gao the book

野崎と真琴、琴子も登場します。

ホラー小説「さえづちの眼」のあらすじと感想

3つの中篇の簡単なあらすじと感想を書きます。

物語の内容をある程度書いていますが、ネタバレはしていません。

母と

最初の物語からかなり面白いです。

引きこもりや不良を預かって生活させていた「鎌田ハウス」。そこで起きた不気味で異様な光景。途中からオカルトライターの野崎と比嘉真琴が登場して、さらに面白い展開に。

ざっくりとあらすじをご紹介します。

家族とうまくいかない主人公の塩貝琢海(たくみ)。荒れる17歳。

父と母は離婚していて、母と暮らしていた。何か問題を起こす度によくしてくれた警官の中西。

ある日、中西に連れられ田舎の山奥に。

そこは「鎌田ハウス」なる場所だった。主人の鎌田滋はニコニコしたおじさんで、地元では有名な会社社長の息子。引きこもりや不良を預かって共同生活をし、鎌田いわく「シャキッとさせる」ことを目的とした場所。

琢海以外にも4人が生活していた。母が中西に頼み込み、鎌田ハウスを紹介したらしい。

最初こそ慣れなかったが、琢海はそこでの生活に慣れ、5人での生活は居心地が良かった。

夜中に鎌田が一人、汗をびっしょりかいて庭を睨みつけていた。

琢海が話を聞くと「何か良くないものが時々やってくるから、その度に追い返している」らしい。

どんどん痩せて様子がおかしくなる鎌田を心配していたが、「瑛子さん」なる「理解者」が鎌田ハウスにやって来る。鎌田は安心していたが尾綱瑛子がやって来た翌日に亡くなる。

それ以降、琢海も含め、一緒に住んでいた子供たちの様子がだんだんおかしくなっていく。

鎌田ハウスに住んでいた栗林杏は、徒歩で遠い街まで行き、昔助けてくれた比嘉真琴の元に行く。

野崎と真琴はそのヤバそうな「鎌田ハウス」に向かい、尾綱瑛子と対峙する。

やはりこの二人が登場すると話が一気に面白くなります。野崎はいつも大変な目に遭いますが、今回は気絶します(毎度かわいそう)。

タイトル通り、母がキーになっています。終盤の叙述トリックも秀逸。

あの日の光は今も

2篇目はUFOの話。比嘉姉妹や野崎(いつものメンバー)は出てこないですが、オカルトライターの湯水の話が非常に面白い。

あらすじを簡単にご紹介します。

1981年に起きた巴杵池(はぎねいけ)事件。日本三大UFO事件の一つ。前後に起こった事件も併せてUFOの仕業と言われ、少年2名がUFOを目撃した。

もしかして本当にあった事件なのか?と気になって調べましたが、フィクションでした 笑。

大阪の巴杵(はぎね)という場所で、母と二人で古いホテルを経営している主人公の昌輝。昌輝はUFOを見た少年の一人(今はおっさん)。お客からあのUFOの話について聞かれることも多く、辟易としていた。

昌輝の妻もホテルを手伝っていたが、この対応に疲れ、子を連れ去っていった。

UFOの目撃というセンセーショナルな話題があったにも関わらず、関わっている本人たちの人生はかなり暗い。

ある日、聡(UFOを目撃したもう一人の少年)がホテルを訪ねてきて、おっさんと殴り合いをしていた。おっさん同士の戦い 笑。

聡の人生はずっとうまくいかず、昌輝が悪いと言わんばかりに怒っていたが、喧嘩を見に集まっていた地元の人たちから「昌輝は悪くない、お前が悪い」みたいなことを言われて、しょぼんとなり、聡は去っていった。

殴り合いをしていたおっさんは、オカルトライターの湯水という人物で、実は昌輝にオカルト記事の取材をしたいために来ていた。

昌輝はその話はしたくなかったが、湯水の調査した話と、圧倒的な知識量のオカルト話に感心し、記事の承諾をする。

物語の最初に料理研究家の辻村ゆかりがお客として来ていた(息子を連れて)。大阪のテレビ番組が急遽中止になり、息子の提案で巴杵に来た。

この辻村ゆかりが、昌輝と湯水の話を聞き、終盤に推理をします。

この名推理のおかげで無事物語は解決できたと思いきや、最後に度肝を抜くどんでん返しが!

この話もめちゃ面白かったです。

「飛行船が航空輸送手段の主流だった二十世紀前半には、『謎の飛行船』の目撃情報が数多くあった。もっと遡ると狐狸妖怪の仕業と見なされていた。あの天狗だって、本邦最古の記述は空飛ぶ怪しい光でした。厳密には光の解釈。『あの光は何だ?』『天狗です。中国の人に聞いたことがある』みたいなね。実際のところは流星だったとする説が主流ですし、読み方は『アマツキツネ』ですが」

さえづちの眼

「1960年代には既にジャック・ヴァレって学者が、異星人と遭遇事件と、ヨーロッパの妖精目撃談の類似を指摘していました。UFO案件をSFめいた擬似科学ではなく、民俗学的に読み解こうって試みですね」

さえづちの眼

さえづちの眼(まなこ)

最後は表題作。

終盤に日本最強の霊能者、比嘉琴子が登場します。

大きな屋敷で新しく働くことになった家政婦。奇妙な体験が繰り返され不安になり、大前所長(家政婦紹介所)に手紙で何度も報告をしていた。この話が前半。途中からその屋敷に住む人たちの話になります。後半からは一気に時間が経過します。

赤い眼の大蛇が登場する話で、なかなかに不気味ですが、この話も面白かったです。

あらすじを簡単にご紹介します。


架守(かがみ)家に家政婦として住み込みで働くことになった語り手。(名前がわからない?)

架守邸は和洋折衷の大きな屋敷。

主人の架守源之助(63歳)、弟の宗助(独身で大学教授、43歳)、妻の佳恵(50前後)、娘の冴子(19歳)、祖母の鈴子(80代)が住んでいた。

冴子は美しい娘で、家政婦ともよく話をしてくれていた。

ある日、鈴子が夜中に赤い目の異様なものを見た、ということで騒ぎ出す。

その翌日から家政婦と鈴子は土蔵で寝ることになる。これはこれで怖い。

それからも、鈴子は何度も、何かが這い回る音と赤い目を目撃していた。そして、とうとう家政婦自身がその赤い目と巨大な何かを目撃。

冴子から話を聞く家政婦。信じられない話だが、冴子は人間ではないらしい。

屋敷の近くにある佐江槌山。子供ができない架守家は毎日お参りをしにきていた。それで、二人の願いを叶えてあげようと思って、娘になったのが冴子。

物語の文章から、大きな蛇であろうことは間違いがないんですが、誰も「蛇」とは言わないのがちょっと不気味。

それから30年の時が流れ、源之助の会社を宗助が継ぎ、老人ホームや飲食店などを束ねる一大グループまで成長させていた。宗助は70歳になり会社の会長を引退することに。

宗助は妻の椿と佐江槌山へハイキングに。そこで山蛭を踏みつける。翌日、宗助が倒れる。

さらに20年が経過し、架守佳恵は96歳になっていた。宗助の息子の春助も40過ぎ。

春助の妻の真緒は流産を繰り返していた。これは佳恵の境遇とかなり似ていた。

一大グループだったカガミグループも経営が傾いていた。宗助の妻の椿は交通事故で亡くなり、悪いことが重なる。

春助はこの家は祟られていると感じ、カガミグループの居酒屋チェーンの店舗で、幽霊騒ぎを鎮めた霊能者に頼むことに。

おそらくこの居酒屋での幽霊騒ぎは、シリーズ3作目「などらきの首」に収められていた短編の物語だと思われます。

ここで比嘉琴子が登場。今回は蛇を使った琴子流のおまじないで解決します。

終盤の祟りの主の独白と、いつものどんでん返しが面白かった。

「に、日本の神様は、善でも悪でもないって、聞いたことがあります。恵みを与えることもあれば、祟ることもあるって」
「ええ」
「祀るとか、鎮めるとかは、要するに神様のご機嫌を取ることだとか」
「ええ」
「だったら…その、ある時まで架守家を見守ってくれていた神様が、ある時から祟るなんてことも、あるんじゃないですか」

さえづちの眼

「洋の東西を問わず、人間は古来、蛇という生き物を畏れ敬っていた。手足もないのに移動し、種類によっては命を奪う毒牙を持ち、何度も皮を脱いで成長する蛇を。蛇神は由緒ある神様というわけです。原始的な神、神話以前の神、文字以前の神…」

さえづちの眼

まとめ

今回の3篇はどの話も「母」がキーになっているように感じました。

3篇とも以前のシリーズ作と比較するとそこまで怖くなかったですが、やはり面白さは圧倒的でした。

シリーズの続きが楽しみです。

今回、新たに比嘉姉妹には他にも姉妹・兄弟?(比嘉美晴以外に)がいたことが分かりましたので、今後の物語にまたちょっと登場するかも知れません。

シリーズを通して読むと話がつながっていることも多いので、シリーズ順に読むとより楽しめると思います。

過去のシリーズについても感想を書いています↓

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