鈴木光司さんのホラー小説「リング」の感想・解説・考察。
文庫本を持っていますが、Audible(オーディブル)でも聴いてみました。
何度か読んでいますが、前回読んだのがおそらく10年以上前。細かい部分は忘れていて、新鮮な気持ちで物語を聴くことができました。
オーディブル版ではナレーションを丸山雪野さんが担当。淡々とした語り口と、湿った声の雰囲気が世界観にピッタリ!。朗読なので読書と同じくビジュアルは無く本を読むのと近い感覚です。オーディブルでも十分に楽しめました。
初版が1991年と古い作品ですが、30年以上経過した今でも未だにホラー小説というジャンルの中で圧倒的な存在感を放っています。
細かく内容を書いてネタバレしていますのでご注意ください。

もはや知らない人の方が少ないと思いますが、映画と原作では異なる部分が結構あります。原作小説もかなり面白いので読んだことがない方は是非読んでみてください。
- ホラー小説「リング」のあらすじ。濃厚な物語がすごい
- 物語の発端、二人の若者の不審な死
- 4人の若者の死に、オカルトではなくウイルスを疑う主人公
- ヴィラロックキャビンにあった不気味なビデオテープ
- ビデオテープの映像描写が怖い!
- できれば頼りたくなかった友人に頼む
- 浅川の家族を巻き込み、さらにピンチに
- 高野舞の登場に驚く浅川
- ビデオテープの内容をさらに調べ上げる竜司
- 伊豆大島に行き手がかりを探る二人
- 吉野は18歳からの貞子の足取りを追う羽目に
- リングシリーズの重要な存在「役小角(えんのおづぬ)」
- 猪熊平八郎と志津子のタッグ
- どうしてあの場所に呪いのビデオがあったのか?
- 竜司と長尾城太郎の対面シーンがめちゃ面白い
- 貞子に誘われた長尾。天然痘ウィルスと呪いの融合!
- 井戸から貞子の遺骨を拾い上げる二人
- しっくりこない
- 竜司もやられる
- 呪いを解く方法とは?
- ホラー小説「リング」の登場人物
- ホラー小説「リング」で良かった所
- ホラー小説「リング」で謎が残る部分
- ホラー小説「リング」原作と映画との違い
- まとめ
ホラー小説「リング」のあらすじ。濃厚な物語がすごい
内容を細かく書きつつ、僕の感想もちょいちょい入れています。かなり長いので気になるところだけ目次から飛んで読んでみてください。
物語の発端、二人の若者の不審な死
新聞社に勤める主人公の浅川。たまたま乗ったタクシーの運転手から不思議な話を聞く。バイクに乗っていた若者が自分のタクシーにぶつかり、その後、もがきながら亡くなった。
この話さえ聞かなければ良かったんですが、こんな偶然のことで人生がガラッと変わってしまうのが恐ろしい。
実は浅川の妻の姉の娘(姪)の女子高生も、同じ日時に同じような状態で亡くなっていた。
この二つの共通点を不思議に思った浅川は記事にしようと考える。しかし、上司の小栗編集長は過去にあったオカルトブームでかなり痛い目を見て、それ以来、オカルト系の記事を嫌っていた。
4人の若者の死に、オカルトではなくウイルスを疑う主人公
他の手がかりを探していたところ、同日の同じ時刻に二人の若い男女が変死体で見つかったという記事を見つける。
その記事を書いたのは同じ会社に勤める3年先輩の社会部の吉野だった。
吉野にその二人のことを聞くと、吉野も「この事件ほど妙なものはない」と言った。外傷はなく二人は付き合っていたようだが、お互いを避ける形で恐怖に怯えた顔で亡くなっていた。どうにも説明がつかない死因だったが、心臓麻痺という形で記事を書いていた。
これで4名の若い男女が同じ日の同じ時間に、同じような亡くなり方をしたことになる。
そして、その男女は高校生の2人17歳、予備校生の2人の19歳でそれぞれが友人同士だった。
この時点で、浅川はオカルト的なことが原因ではなくウイルスを疑った。同日、同時刻に同じ死因で亡くなる、と考えるとウイルスが原因というのは極めて現実的だと考えた。
4人の行動を調べるべく、まずは妻の姉の家に行く。亡くなった姪の大石智子の部屋にこっそり入り、パシフィック・リゾートの会員証を見つける。会員証の名義は野々山結貴なる人物のものだった。
その会員証を辿り、4人は南箱根パシフィックランドに宿泊していたことがわかる。
ヴィラロックキャビンにあった不気味なビデオテープ
浅川は南箱根パシフィックランドに宿泊し、手がかりを得ようとする。
4人が泊まっていたのはパシフィックランドのヴィラロックキャビンB4号棟。色々と調べたものの、手がかりになるようなものは見つからない。旅の思い出ノートがあったので、なんとなく読んでみると、4人の手記も残っていた。
手記によると、ノートを開いたままその上に何かを置いていたっぽい。
ロックキャビンの管理人(60前後)にB4号棟で忘れ物はなかったかを聞き、部屋に置き忘れていたビデオテープを借りる。
ビデオテープの映像描写が怖い!
ビデオテープの映像は意味がよくわからない不気味な内容だった。
- 6つの文字
- 半紙に汚い文字で「終いまで見よ亡者に食われるぞ」
- 赤い色が弾け、マグマの噴火
- 噴火している山の輪郭が見える。随分とカメラが近いが、どこから撮影しているのか?
- 2個のサイコロが振られる
- 左右の目の大きさが違う老婆が語りかけてくる。方言で何を言ってるのかわからない
- 赤ん坊の産声。手に抱いている感触、匂いがある
- 100個の顔がどんどん増え、罵られる
- 古いテレビがありノイズが走る。「貞」の文字
- 息づかいの荒い男が目の前にいる。肩の肉がえぐれていた
- 空が回り月に男の顔が見える。何かが投げ込まれる
- 最後に、この映像を見たものは一週間後に死ぬというメッセージ
最後のメッセージは途中で録画が上書きされ消されていた。
この映像シーンの文章はかなり怖いです。
見た後に電話がかかってきて受話器を取るものの、返事は無くゴーっと言う音のみ。湿った土の感触が伝ってくる。
浅川は本格的にヤバいと感じ、誰もいない部屋で一人謝り、命乞いをする。
この後、泊まりもせずに明かりをつけたままヴィラロックキャビンから逃げるように去ります。退去手続きとか大丈夫かなと心配。
できれば頼りたくなかった友人に頼む
翌日、浅川は高校時代の友人、高山竜司に会う。
頭脳明晰、陸上選手としても優秀な成績を持つ竜司。大学の非常勤講師をしている。かなりの変わり者で、ずんぐりむっくりした体型、言葉づかいが乱暴で下品。
人類の滅亡の瞬間を見たいとのたまう。そして、高校時代、浅川に秘密の話を打ち明ける。女子大生を脅して犯したこと。今までに同じ手口で3人の女性に対してそんなことをしたらしい。
浅川は竜司を友人とすら思いたくなかったが、悪魔には悪魔を、という気持ちで竜司に全てを話し助けを求める。竜司にもビデオを見てもらい一緒に解析する。
浅川の家族を巻き込み、さらにピンチに
竜司にはビデオをダビングして渡した。
そして、オリジナルのビデオはデッキに入れたままにしていた。
浅川と竜司がコソコソと深夜に話をしているのが気になっていた浅川の妻は、そのビデオを見てしまった。あろうことか娘と一緒に見ていた。
浅川はそのことを知り、竜司の前で泣きながらそのことを話す。
その後、竜司は冷静にビデオテープを観察。
- 1分間に33回、画面が真っ暗になること
- ビデオの映像は抽象的な映像と現実的な映像の2つで構成されていること
- 現実的な映像にのみ、1分間に30回画面が暗くなること
を突き止め、念写による映像であることを推察する。
ビデオの映像が念写とわかった時に、怖くて鳥肌立ちました ^^;
高野舞の登場に驚く浅川
竜司のアパートに来た高野舞。竜司が教えている大学の生徒で、高野舞は竜司を慕っている。その行動の端々に竜司への尊敬と敬愛が読み取れる。
浅川は高野舞の存在に「人生でこんな美人に出会ったことがない」と驚く。
竜司は浅川が高野に見惚れ、自分の話を全く聞いてないことにツッコミを入れる。
竜司は高野舞がいるときは口調も態度も大きく変わる。このシーンは妙に面白かった。
ビデオテープの内容をさらに調べ上げる竜司
竜司は知り合いに、ビデオで登場する火山のこと、そして、おばあちゃんが喋る方言のことをそれぞれ専門家に頼んで調べてもらった。
火山は東京にある伊豆大島の三原山。方言の解読もできた。念写している人物に対して「来年子供を産む」と言う内容だった。
映像を作った人物が何を欲しているか?それが分かれば呪いは解ける、と考えた。
竜司の知り合いは幅広く、浅川を連れて三浦哲三記念館に行くことに。
三浦哲三は理論物理学の教授で、1950年代には超能力の実験をしていた。安定した能力を発揮できる人物を全国で募集し、その人物たちの膨大な資料を所有していた。
三浦哲三の息子に頼み、その資料の検索をすることに。そこに、10歳の頃の山村貞子の資料を発見。三浦哲三も本物の念能力者として認定していた。
ここでやっとビデオに関わる能力者が貞子だと判明。
伊豆大島に行き手がかりを探る二人
浅川と竜司は貞子の故郷である伊豆大島に向かう。
浅川の会社の大島通信部の早津に案内してもらう。
浅川の呪いの締切は明後日に迫っていた。
山村敬(貞子の母のいとこ)に会いに行き、貞子の話を聞く。貞子は生きていれば42、3歳。25年前の18歳の頃に劇団飛翔に入団した。
吉野は18歳からの貞子の足取りを追う羽目に
伊豆大島にいる浅川の頼みで、吉野は18歳以降の貞子について調べることに。
吉野がちょっとかわいそう(笑)
現在の劇団飛翔を訪ねる吉野。設立当初のメンバーもいて、貞子について話を聞くと皆、不気味な存在だったと言う。
吉野は貞子がさぞや不気味な見た目なんだろうと思ったが、昔の写真を見ると非常に美しい女性なことに驚いた。普通、これだけ美人なら不気味さを第一に話すことはないだろう。美人であること以上に不気味な存在だったらしい。
ある劇団員は、貞子が稽古場にあるコンセントの外れたテレビに映像を映していたのを見かけた。また、劇団の創設者が貞子に夜這いをかけたが、翌日に心不全で亡くなった。
リングシリーズの重要な存在「役小角(えんのおづぬ)」
浅川と竜司は、貞子の母「志津子」の幼馴染である「源さん」に昔の話を聞く。
深夜に志津子にデートに誘われた源さん。志津子が好きだった源さんはウキウキしていたが、舟を出して欲しいと頼まれ、「海の中にある行者様の石像を引き上げる」と言い出す。
この行者様は「役小角(えんのおづぬ)」と呼ばれる人物で、飛鳥時代の呪術師。調べてみると、なんと実在してることに驚きました。天狗と呼ばれるほどの超絶能力者。
この役小角がこのリングシリーズ(全6作あります)の根源でもあり、シリーズ終盤でも大きな役割を果たしています。(ネタバレするのでざっくりとだけご紹介)
志津子は真っ暗な海の中で、緑色に光る業者様の石像を頼りに、ロープを絡ませて石像を陸へ引き上げます。
いやいや、めちゃくちゃ重いだろうし、どうやって引き上げたんだろ。流石に二人でもきついような(笑)。
この石像を引き上げ、祀り出した頃から、志津子には不思議な力が宿ったらしい。
その力を貞子も受け継いだ。しかも志津子より強力な力を持っていた。
ちなみに、予知能力を発現する際に「柑橘系の匂いがする」らしい。ここ、ちょっと気になっているので一応書いてみました。
猪熊平八郎と志津子のタッグ
能力を発現した志津子は、翌年に東京に行く。
伊熊平八郎と出会い妊娠。また地元に戻って貞子を産む。そして再度1947年に上京。
1950年代、伊熊平八郎の研究(志津子の透視能力)で世間が賑わう。志津子は念写、透視、予知を使うESP能力者。物を動かすような念動力(サイキック)はESPとは違い、念動力は使えないらしい。
1954年に男の子が生まれたが幼くして亡くなる。(こんな話あったんだ)
100人が見守る中、遮断した状態でサイコロの目を当てる透視能力の実験をする。
ここで注目なのは、誰でも少なからず念の力を持っていて、100人の失敗しろという念が集まることによって、透視がうまくできなかったところ。
実験が失敗したことにより、マスコミからはペテン師呼ばわりされ、伊熊平八郎は離婚(志津子とは不倫をしていた)。伊熊は肺結核を患い二人の生活は滅茶苦茶になる。
その後、志津子は地元の火山に身を投げて自殺する。
どうしてあの場所に呪いのビデオがあったのか?
ここまでの話を読むと、呪いのビデオの映像は、志津子の話も含め貞子が見たことが映像になっていることに気づく。
この映像は貞子の死ぬ寸前の「走馬灯」が映像になったものでは?と考える竜司。
源さんの話と吉野の話を聞いて、竜司は逆の発想で「どうしてあの場所にあのビデオがあったのか?」を突き止めた方が早いと気づく。
吉野にパシフィックリゾートの前に何があったか調べてもらうと、結核患者の療養施設だった。
この療養施設で伊熊平八郎は肺結核の療養をしていた。そして、その療養所にいた医師も調べてもらったが、昔の話でほとんどの医師は亡くなっていたか、80を超える高齢だった。唯一、一人だけ長尾城太郎という医師だけは、個人で開業して現在も健在らしい。
急いでパシフィックランドに向かう二人。
すでに浅川のタイムリミットは当日まで差し迫っていた。
竜司と長尾城太郎の対面シーンがめちゃ面白い
パシフィックリゾートに行く途中、長尾城太郎が勤める長尾医院に行く。
日本最後の天然痘患者である長尾城太郎。
浅川と竜司は長尾と対面して一目でわかる。
ビデオテープの映像でハァハァ言ってたイケメンの男、57歳になっているが間違いようもなく長尾であった。
貞子の名前を知るはずもない二人に「貞子を知っているか?」と問われた長尾は明らかに狼狽し、病院の看護師をお昼休憩に行かせ、玄関には休診の札を掲げる。
詰め寄る竜司に、ガタガタと震える長尾。
30年前の話である貞子のことを、どうしてこの二人の若者が知っているのか。しかも貞子と自分の二人しか知り得ないことである。
そりゃめちゃ驚くよなあ。
貞子に誘われた長尾。天然痘ウィルスと呪いの融合!
長尾は貞子の話を二人にする。
当時、父である伊熊平八郎の看病に来ていた貞子。しかし父にはあまり興味がないらしく、外で暇を持て余していた。
たまたま貞子を見かけた長尾医師は話しかける。
療養所から少し離れた場所に民家があり、そこに誘われる長尾。二人で話をしている最中に長尾は我慢ができなくなり襲い掛かる。
貞子は両性具有だった。睾丸性女性化症の人物はなぜか揃いも揃って美人が多いらしい。しかもこの病気の人物は子供が産めない。
この小説は本当に面白いエピソードのオンパレードで、読んでいるだけでワクワクします。これでもかと興味深い話がバンバン出てくる。
長尾から「殺してやる」というテレパシーを受けとる貞子。まるで誰かの意思に動かされているようだった。
性交渉をすることにより、長尾の天然痘に感染する貞子。ここで貞子こそが日本最後の天然痘患者に。
まるでわざと襲われるように誘った貞子。天然痘患者とわかった上で?
ビデオテープの映像でもあったように、井戸に落とされ貞子は絶命。
井戸から貞子の遺骨を拾い上げる二人
三浦哲三の理論を考慮して、竜司は怨念を塗り込めた遺骨を解放させることで呪いが解けるのでは?と考えた。
ヴィラロックキャビンに井戸を見つけ、事前に準備していたロープやバケツを使い、貞子の遺骨を拾い上げた二人。
タイムリミットが切れても生きていた浅川は安堵する。
しっくりこない
竜司にはしっくりこない思いがあった。
ビデオテープで言っていたお婆ちゃんが貞子にお前は子を産むと言った。貞子は両性具有のため子供が産めない。
では、何を産んだのか?
貞子の遺骨は志津子の従兄弟である山村敬に渡し、何の躊躇もなく「これは貞子だ」と受け取った。このシーンはこのシーンで怖い。
竜司もやられる
遺骨を無事渡した後、浅川と竜司は別れる。
竜司はアパートで論文を書いていたが、何やら気配を感じ心底ビビる。
自分がビデオテープを見た時間までははっきり覚えていなかった。だが、明らかに何かが来ている。
鏡に自分ではない顔が写る。100年先の自分の顔だった!
死の直前にビデオテープが目に入り、呪いを解く方法を見つける。浅川に呪いを解く方法教えてやりたいと強く念じた。
最後に高野舞に電話をかけたが、通話中に悲鳴(断末魔)をあげて亡くなる。
呪いを解く方法とは?
浅川は家で今回の事件に関する原稿を書いていた。ふと竜司が気になり電話をかける。
高野舞が電話に出た。竜司は心筋梗塞で亡くなったと聞かされる。
パニックになりつつ急いで竜司のアパートに行き、舞から話を聞く。
舞と竜司は付き合っていた訳ではなかったらしい。竜司は女性経験すらなかったはずと言う。そして、竜司が浅川を親友と呼ぶことに驚いていた。親友なんていないと思っていた。
舞の前では竜司は子供のように純粋な人物、浅川の前では悪党を演じていた。そうしないと竜司はうまく社会と折り合いがつけられなかった。女子大生を強姦した話も嘘だったのか…。
悪役をやりきり、全力で浅川を助けた竜司。今作のリングでは実はいいやつだった、という感じで終わりますが、続編の「らせん」を最後まで読むとまた違った印象になると思います。
最後に浅川は竜司の念もあってか、オマジナイ(呪い)の解決策を発見する。
ウイルスの本能である「増殖」が答えだと知る。
妻と娘のタイムリミットはもう数時間に迫っていたので、急いでビデオデッキを車に乗せ、妻の実家へ向かう。
ホラー小説「リング」の登場人物
「リング」を映画で見て大まかに話は知ってるけど、原作の細かい部分を知りたいという方向けに、せっかくなので細かく登場人物を紹介したいと思います。
主人公浅川の周りの人々
- 浅川和行…リングの主人公。32歳。M新聞社の記者。10月11日22時4分にリングのビデオを見終わる。
- 浅川静…浅川の妻。
- 浅川陽子…娘。1歳半。
- 浅川良美…静の姉。娘の智子が亡くなる。
- 小栗編集長…浅川の上司。オカルトは信じていない。2年前にオカルトブームがあり、そこで会社で大変な思いをしたため、オカルトの類の記事は嫌っている。浅川から挑発的にビデオを「見ますか?」と問われ、葛藤の後、見なかった。
- 吉野賢三…35歳。M新聞社の社会部に所属。浅川の3年先輩。亡くなった高校生2人の記事を書いていた。終盤に浅川の頼みで貞子の行方を追う羽目に。
- 早津…M新聞社の大島通信部の通信員。伊豆大島差木地で、浅川や竜司に協力する。
ビデオを見て亡くなった4人の若者
- 大石智子…高校3年17歳。髪の毛が抜けるほど頭をかきむしり、急性心不全で亡くなる。浅川の姪。
- 岩田秀一…予備校生19歳。信号停止中だったが、バイクごと倒れる。心筋梗塞で亡くなる。
- 辻遥子…高校3年17歳。山の麓の県道沿い、車の中で死亡。急性心不全。
- 能美武彦…予備校生19歳。辻遥子と一緒に車中で亡くなる。急性心不全
大石と辻は同じ高校で友人同士、岩田と能美も同じ予備校で友人同士だった。
4人と関わりがある人物↓
- 野々山結貴…パシフィック・リゾートクラブの会員証の所有者。岩田秀一に会員証を貸していた。大石智子の部屋でこのカードが見つかる。
高山竜司の周りの人々
- 高山竜司…32歳。K大学文学部哲学科の非常勤講師。医学部を卒業後、哲学科に学士入学、博士課程を終えていた。高校時代に浅川と同級生だった。浅川の前では自分のことをオイラと言う。
- 高野舞…K大学文学部。高山竜司の講義を受講。竜司とは親しい仲。浅川いわく「こんな美人な女性に出会ったことがない」
山村貞子の周りの人々
- 山村貞子…伊豆大島差木地出身。11歳の時に三原山の噴火日時を予言し的中させる。18歳で劇団飛翔で演劇を学ぶ。生きていれば42、3歳
- 山村志津子…貞子の母。火山に身を投げて自殺。31歳。
- 山村敬…61歳。貞子の母の従兄弟。山村荘を経営。貞子の遺骨を何の躊躇もなく受け取る。
- 伊熊平八郎…元T大学精神科助教授。山村志津子の恋人。既婚者で志津子とは不倫関係。
- 源次…68歳。志津子より3つ上の幼馴染。志津子と一緒に役小角(えんのおづぬ)の石像を海から引っ張り上げた。
劇団飛翔の面々↓
- 内村…劇団飛翔の代表。作・演出家。立ち上げの時からいる現役のメンバー。
- 有馬真…飛翔のメンバー。50過ぎ。声優としても活躍している。現役のメンバー。
- 重森…飛翔の創立者。心臓麻痺で亡くなる。
その他の人々
長尾医院の人たち↓
- 長尾城太郎…元南箱根療養所の医師。長尾医院院長。日本最後の天然痘患者。貞子を井戸に突き落とす。
- 藤村…長尾医院の看護婦。訳もわからないまま、城太郎にお昼休憩として外に出される。
三浦哲三の周りの人たち↓
- 三浦哲三…元Y大学教授。2年前に72歳で亡くなる。超常現象の科学的解明に力を入れていた。
- 三浦哲明…哲三の息子。三浦哲三記念館を引き継いて運営している。記念館の敷地内にペンションを建て、高校生の合宿に利用してもらっている。
脇役↓
- タクシー運転手の木村…岩田秀一のバイクと軽く衝突、岩田は直後に亡くなる。浅川をたまたま乗客として乗せ、岩田の話をする。ここでの出会いが後に続く物語の発端に。
ホラー小説「リング」で良かった所
小説「リング」で個人的に面白かったところをご紹介します。
オカルトとしてとらえなかった浅川がすごい
4人の男女が亡くなったことを知り、呪いなどのオカルトの類で考えずに、浅川はかなり早い段階から科学的に思考し、ウイルスではないか?と疑った。
超自然に立ち向かうには科学的に考えることが重要だと心に決めていた。
最初から心霊的な雰囲気はそこまで強くない物語でしたが、にしても謎が多すぎてそれはそれでやっぱり怖かった。
ウイルスが認知されるには時間がかかる
エイズは発生してから2年が経過してエイズと呼ばれるようになった。川崎病は10年かかった。ウイルスの認知には時間がかかる。
ビデオテープのウイルスが新種であれば、多くの犠牲者が出ないと判断が難しい。
竜司の話が面白すぎる
竜司の話がとにかく面白い。この小説の面白さに一役買っています。
「いいかい、この宇宙のほとんどの現象は微分方程式で表現することが可能なんだ。これを使えば、一億年前、百億年前、あるいは爆発後一秒、〇・一秒の宇宙の姿も明らかになる。しかし、だ、どんどん時間を遡って、0の瞬間、ようするに爆発したまさにその瞬間のことを表現しようとしても、これがどうしてもわからねえ。それと、もうひとつ、我々の宇宙が最後にはどうなっちまうのか…。宇宙は開いているのか、あるいは閉じているのか。なぁ、始まりと終わりがわからねえまま、ただオレたちは途中経過だけを知ることができる。これってよぉ、人間の人生に似てねえか」
リング
「生命の誕生を考えた場合、魂なるものの存在を仮定したほうがすんなりいくような気もする。現代の分子生物学者の言っている戯言には、とうてい現実味がないんだよ。ー 中略 ー
リング
なあ、オレはなあ、誕生の瞬間には、もっと全く違うタイプのエネルギー、というよりもある種の意志が働いたと思う」
物語の途中、三浦哲三記念館に浅川と竜司は寄ります。この三浦哲三なる人物が変わった学者で面白い。
「あの先生、普通の人間が聞いたらびっくりするようなことを平気でもっともらしく並べ立てるから、おかしくなっちまうぜ。ようするに、あのおっさんが言おうとしているのは、観念はエネルギーを持った生命体であるってことよ」「ええ?つまり、頭の中に抱いた考えが生命体に変化するってことか?」
リング
この小説では「念」が志津子の透視実験を失敗させたし、竜司の念が浅川に謎のヒントを与えていました。
シュレディンガーの猫で有名な量子力学みたいな話、思い(念)が何かに影響を及ぼす、みたいな話がちょこちょこ出てきます。
こういうところも読み応えあります。
所有している文庫本には挿絵が
僕が所有している文庫本は1998年の第26版です。文庫本は1993年が初版ですが、5年で25版も印刷されるってやっぱりすごい。

リングだけだと思いますが、ところどころに挿絵が入っていてこれがまたいい味を出していました。恐怖をかなり煽るイラストでした。

このイラストレーターさんは松原健司さんという方で今でも現役で活動されているっぽい。なんだか嬉しい。
ホラー小説「リング」で謎が残る部分
柑橘系の香り
山村貞子の母である志津子は予知能力を発現した際に「柑橘系の香り」を嗅ぐ。
浅川が貞子の遺骨を拾い上げ竜司と別れた後、竜司の姿がブレ、階段を踏み外す幻影を見る。この時に、浅川も「柑橘系の香り」を嗅いでいます。
これは続編の「らせん」を読むと、よりわかってくるんですが、もしかするとウイルスに感染した浅川にも予知能力が発現したのかも?知れません。実際どうなんだろう。
「リング」というタイトルについて
今作「リング」を読む限りだと、このタイトルの意味が今ひとつよくわかりません。
井戸の底から見上げた輪っかがリングに似ているから?とか、タモリさんの友達の輪じゃないですが、輪のように広がっていくから?みたいな想像をしていました。
続編の「らせん」を読むと答えがわかりますが、リングを読んだ時点ではタイトルに謎を持つ方は多いと思います。
ホラー小説「リング」原作と映画との違い
映画のリングと原作小説では結構違う部分があります。
映画は2〜3時間で収める必要があるので、小説の物語を忠実に再現するには時間が足りない、という理由がまずあると思います。(省く部分が出てくる)
それは別として、映画は色々な方が関わってきますし、映像作品として楽しんでもらう、という点も重要だと思います。貞子のビジュアルはマジですごい。小説を読んだだけではあのビジュアルはなかなか思いつかない。心霊寄りの内容にすることで、お客さんからすると映画への期待感も高まったと思います。小説はどちらかというとちょっと地味な内容ではあるので(暗くて怖いですが)。
主人公の浅川は映画では竜司の元妻という設定なので、もうこの時点で原作を読んでいた方は「ええー?」と思った方も多いはず。
終盤の井戸から水をバケツで持ち上げるシーン。浅川(松嶋菜々子)の怪力に驚きますよね(笑)。
映画は映画で非常にクオリティーが高いですが、個人的には映画はオカルト色が強く、小説は科学的な印象があります。
映画も原作小説もどちらも好きですが、小説を読んだことがない方はぜひ読んでみてください。より濃密な物語になっています。
まとめ
1991年という古い作品ですが、何年経ってもリングはホラー小説の代表的作品に変わりはないと思います。
この記事を書いた段階では、既に続編の「らせん」もオーディブルで聴いています。リングに比べると少しとっつきにくいイメージだった「らせん」ですが、らせんも想像以上に面白かったです。
リングシリーズは全部で6作あり、過去に記事を書いているので気になる方はチェックしてみてください。
シリーズ5作目↓
シリーズ6作目↓





コメント
SF好きの者です。
3作目「ループ」がSFとして面白いと聞いていたのですが、1作目リングと2作目らせん、特にリングのホラー色が強いと聞いて、なかなかチャレンジ出来ずにいました。
「怖いからリング読むのは諦めて、誰かのネタバレレビューで済まして、らせんから読むことにしよう」と思い、こちらのサイトに辿り着きました。
おかげさまで、無事「らせん」を読み進めています。ありがとうございました。
コメントいただきましてありがとうございます。
ループも何度か昔読んだことがあるんですが内容をすっかり忘れています^^;
また再度読む予定です。
確かにリングはホラー色強いですね。らせんはより科学的な内容になっていて、個人的に理解するのが大変でした。
SF好きな方ということですので、おそらく楽しめると思います。
コメントありがとうございました。