賽助さんの小説「君と夏が、鉄塔の上」の感想記事です。
2016年7月発行。
本の読み放題サブスク「Kindle Unlimited キンドルアンリミテッド」で読みました。
中学生たちが体験する青春ファンタジー。
読むだけで中学生の夏休みに頃の戻ったような気分になりました。
夏と青春!
「君と夏が、鉄塔の上」のざっくりあらすじ
男子中学生(3年生)が主人公。鉄塔が大好き。
夏休みの登校日に、校舎の屋上から自転車に乗って飛び降りる少女(帆月)を目撃する。
そんな破天荒な帆月と、幽霊が見えるというクラスメイトの比奈山を巡って起こる不思議な物語。
夏の風景と鉄塔の描写が素晴らしい。
夏なのにどこか涼しさを感じる爽やかなファンタジー小説です。
「君と夏が、鉄塔の上」の良かったところ
自分が幽霊になった場合、最初は目的の場所に行くけれど、誰からも気づかれなければ意味がない。なので幽霊の話が盛んな場所に向かう。なぜなら見える人が来る可能性が高いから。という心霊に関する話が興味深かった。
心霊スポットには霊が出やすいというのはそれなりに真っ当な理由からなのかも知れません。
怪談をしていると霊が寄り付く、なんて話は、ある意味では当たっている。そうして霊が集まると、そこは霊道 つまり霊の通り道になる。
君と夏が、鉄塔の上
この小説には鉄塔の話がよく出てきます。鉄塔の知識なんてないから新鮮。
鉄塔の形状というか種類にも色々とあるらしい。
「環境調和型鉄塔っていって、円柱型のもあるんだよ」
君と夏が、鉄塔の上
「ちなみに、手前の鉄塔が紅白なのは、背の高い建造物は紅白に塗らなきゃいけないって、航空法で決まっているからなんだ」
付喪神(つくもがみ)の話が出てきます。千と千尋の神隠しっぽい雰囲気。長年使った道具にも魂が宿るという話。
「まあ、定義としては曖昧だけどな。付喪神(つくもがみ)なんかはとくに」「つくもがみ?」「長い間生きた動植物とか、ずっと使われた古道具なんかに、神様とか霊魂とかが乗り移ったものよ」
君と夏が、鉄塔の上
「短い人生だもの。結果だけを残し続けるなんて不可能だわ。大事なのは、それまでに何をやろうとしたか…培ってきた過程よ。結果が伴わなくたって、それは絶対無駄じゃない」
君と夏が、鉄塔の上
心地よい青春ファンタジー
文章も読みやすくて物語も面白い。おすすめの一冊です。
小説を読んでいる間、同じようなファンタジー小説をついつい思い出してしまいました。
せっかくなので僕が読んだ小説の中で3冊紹介してみます。
言わずと知れた超名作。宗田理さんの「ぼくらの七日間戦争」。シリーズ化してかなりの数の続編があります。
こちらも夏のファンタジー。森見登美彦さんの「ペンギン・ハイウェイ」。めちゃおすすめ。
中学生の物語なら、もうこれ!ってくらいの名作、三田誠広さんの「いちご同盟」。
まとめ
近年は歳のせいかも知れませんが、本を読む集中力が衰えてきているように感じます。読書の時間が減ってきたなあ。
本を読むよりもスマホでYouTubeを見たり、サブスクで映画やドラマを見る、という行為の方が楽でついついそっちに時間を費やしています。
今の若い人たちも上記のような時間の潰し方をしている人が多いかも知れませんね。
音楽でも前奏が長い曲は嫌われていたり(いきなりサビから入る曲が増えた?)、動画も1.5倍速で見る、なんて話も聞きます。時代は変わっていくなあ。そんな中、本を読む行為は正反対の存在。
でも良い本に出会えれば読書もおすすめです。
僕がこのブログで紹介している本は良い読書体験ができる作品ばかりなので、ぜひ読んでみてください。
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