森沢明夫さんの小説「虹の岬の喫茶店」の感想記事です。
とある岬の喫茶店で展開される短編集。
読んだあと心が暖かくなります。
2013年12月発行。
この小説は本の読み放題サブスク「Kindle Unlimited キンドルアンリミテッド」で読みました。
主観的な感想ですが喫茶店を舞台にした小説はハズレがない!
ざっくりあらすじ
目立たない場所にある岬の喫茶店が物語の舞台。
店主の主人公(年配の女性の方)はお客様の雰囲気に合った音楽をかけてくれます。
さまざまなお客さんとの間で起こる暖かい物語。
気になった部分を引用
喫茶店の隣に住むにーちゃんがいるんですが、このにーちゃんがいい味を出しています。
「お前は本当に持ってねえのかも知んねえけどよ、夢って、人によっては、持っているだけで意味があったりするもんだぜ」
虹の岬の喫茶店
「俺の経験では、夢を追いかけない人生を選ぶのにも、充分に勇気がいると思ったけどな」
虹の岬の喫茶店
「人生はね、あなたが思っているよりもずーっと短いわよ。一緒にいられる時間は一分一秒、無駄にしないこと。ほら、行って」
虹の岬の喫茶店
人生は本当に短い。一番元気で楽しい若い時間は特に短い。おじさんになってからの時間の方が圧倒的に長い。
「人はね、いつかこうなりたいっていうイメージを持って、それを心のなかで祈っているときは生きていけるの。どんなことがあってもね。でも、夢とか希望とかをなくして、祈るものがなくなっちゃうと、つい道を誤ったりするものなのよ」
虹の岬の喫茶店
「いろいろあって、自分の未来にも夢も希望もないんだったら、他人の未来を祈ればいいじゃない。ーーーー
虹の岬の喫茶店
そういう人の未来が少しでもいいものになりますようにって祈って、そのために行動していれば、人はそこそこ素敵に生きていけるのよ」
夢を持つことの良さは、たとえ叶わなくても持っているだけで救われることがあるからなのかもしれない。
逆に夢をつかんだ瞬間に、その後何もやる気がなくなるってこともあるかもしれませんね。達成するまでのほうが楽しい、というのは話を聞いたことがあります。
それから、誰かが夢をつかむ瞬間を応援するのも楽しかったりしますね。
まとめ
祈るという行為は動物の中では人間しかできない行為だと何かでの本で読んだ記憶があります。だからなのか、宗教も人間社会にだけあります。
誰かの幸せを祈るというのは綺麗事かもしれませんが、誰かのためにと思ってやる行為はなぜか不思議と力が湧いたり、モチベーションが上がることも多いです。自分では思っていなかったパワーを出すこともあったりします。
誰かとの繋がりがないと人はやっぱり弱くなってしまうよなと、この本を読みながら感じました。
なお、この作品は映画にもなっているようです。
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