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原田マハさんの小説「さいはての彼女」の感想。瑞々しい文章が魅力。

みずみずしい文章が魅力「さいはての彼女」また生きようと思える小説 小説
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原田マハさんの短編小説集「さいはての彼女」の感想記事です。

読みながら泣いた。ほんで、元気出た!

2013年2月発行。

本の読み放題サブスク「Kindle Unlimited キンドルアンリミテッド」で読みました。

Kindle Unlimited

gao the book
gao the book

今まで読んだ原田マハさんの作品の中でも一番のおすすめです。

人生に挫折した女性たちが再起する話

バリバリ働く女性たちが登場する短編集。

仕事に疲れたり、人生に疲れたり、今ちょっと立ち止まっている人、そんな方に是非読んで欲しい一冊です。

どの物語も読んでいて心が瑞々しくなる。こういう小説を読むとやっぱり読書はやめられない。

どの短編も面白いけれど、表題の「さいはての彼女」は特におすすめ!この作品だけでも是非読んで欲しいなあ。

文章に生命が宿ってる

まるでその世界に入ったかのように主人公の息づかいや風景の空気を感じます。こういう文章を書ける人ってそう多くないんじゃないかな。

良かったところ

物語の流れもあるので部分的に引用しても伝わりにくいけれど、良かったところの一部をご紹介します。

最初に会った瞬間から、強い磁力を感じていた。耳が聞こえないと知って、目の力強さや独特の声や話し方の理由もわかった。けれど、どんなハンディキャップも感じさせないこの明るさはどうだろう。彼女がいるだけで、そこはたちまち春の野原、夏休みの浜辺になってしまうのだ。

さいはての彼女

短編の物語はどの話も女性が主人公で挫折中。そこから物語が進んでゆっくりと癒されていく。

思ったとおりに人生を生きていける人間が、いったいこの世の中にどのくらい存在するだろうか。そして、なぜ自分はそのごく限られた中のひとりなんだと信じることができたのだろうか。
振り返ってみると、人間という生き物は、調子のいいときには調子のいいこと以外、まったく考えないものだとわかる。ほんのささいな出来事をきっかけに、うまくいっていたすべてのことが、ドミノ倒しのように連鎖して反対側に倒れていくことなど、ちらりとも想像できないのだから。

さいはての彼女

タンチョウズルが登場するエピソードがあってこの話も良かった。

北海道にタンチョウヅルのサンクチュアリという場所があるらしい(調べてみると本当にこの場所があった)。タンチョウズルの求愛のダンスが非常に美しい。

原田マハさんについて

原田マハさんの小説は過去に3冊読んだけれどどれも良かった。

アートの話が多く、美術関係のストーリーは新しい発見もたくさんあって読み応えがありました。

元々は絵画のキュレーターをやっていた方だそうで、海外のアートに造詣が深く、アートに興味がある方は他の作品もおすすめです。(今回の小説では美術の話は出てこないけど)

それにしてもどんな人生を歩めばこんな素晴らしい物語が書けるんだろう。

人生に疲れている方、爽やかな風を感じたい方におすすめの一冊。

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