筒井康隆さんの短編集「にぎやかな未来」の感想記事です。
2016年6月発刊(電子書籍)。
この小説は本の読み放題サブスクKindle Unlimited キンドルアンリミテッドで読みました。
SFの物語がメインの短編集ですが、おとぎ話のような物語もあります。
短編集「にぎやかな未来」の内容
41篇のSFショートショートが収められた短編集。
1ページや数ページで読める話も多く、ちょっとした空き時間に気軽に読めます。
また、著者の筒井康隆さんの商業誌第一作「お助け」も入っています。
筒井さんの物語は人間の愚かな部分をユニークに皮肉った話が多め。
ショートショートとは言えよくまあこんなにアイデアが出るなあ。
短編集「にぎやかな未来」の個人的なハイライト
個人的に面白かった物語をご紹介します。
「にぎやかな未来」のネタバレになるので読もうと思っている方はご注意ください。
踊る星
人類初の銀河系外探索をする宇宙飛行士2人。未知の惑星に降り立つと、そこにいたのは常に踊り続ける異星人たち。生まれて死ぬまでずっと踊り続けるらしい。
その後、日本に帰った二人は、外宇宙に初めて飛び出した英雄ということでもてはやされる。パイロットをやめ、二人はそれぞれ忙しい日々を送り、20年後にばったり再会。昔に訪れた「踊る星」を懐かしむ。
地下鉄の笑い
地下鉄の車内の吊りポスター。何の変哲もなく広告の効果も高そうでない抽象的な化粧品の広告であったが、ポスターを見た乗客が次々に笑い出す。笑いのポイントがわからない主人公。その後、そのポスターは話題になり、社会心理学者も評価する。
「このポスターは傑作です。高度なナンセンスのユーモアを持つ、すばらしいポスターです。
にぎやかな未来
(中略)
このポスターなどは、高級なナンセンスだから、これがわかる人は、よほど頭がいいということになるでしょうね」
「笑いというものは、人間の感情のなかでも、もっとも高度な感情だからです。」
にぎやかな未来
「笑い」と「ナンセンスなユーモア」が高尚だと説いたものの、その後オチが待っています。
無人警察
ずっと未来の話。
整備された人工的な世界。主人公は運動不足を気にして歩いて出勤をする。
警備ロボットに止められ、言い合いになる。
その諍いを止めに入った警官が来るが…。
オチの効いたショートSF。
その他もろもろ
表題の「にぎやかな未来」も面白い。
未来はロボットで溢れ、人間がすることがなくなって仕事もない。
暇を持て余した主人公が音楽を聞こうと思ったら広告だらけ。という話
まとめ
あとがきはショートショートで有名な星新一さんが書いていました。
SF御三家同志なのでやっぱり仲が良かったのかな?
星新一さんと筒井康隆さんの作品を読み比べてみると、個人的には筒井さんの方がちょっと癖が強い話が多いように思います。
ショートショートはやっぱりなんかいいですね。
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