貴志祐介さんのホラー小説「天使の囀り(さえずり)」の感想記事です。
最初から最後まで得体の知れない恐怖が止まりません。
2003年発行。
本の読み放題サブスク「Kindle Unlimited キンドルアンリミテッド」で読みました。
怖さよりもありますが、それ以上に不気味さ、気持ち悪さが凄まじい!
めちゃくちゃ面白いんですが、読み終わった後は気持ちが沈んでしまう可能性が高いです。ご注意ください。
一気に読んでしまう面白さ
ホラー小説なので怖さもありますが何より面白い。
軽い気持ちで読み始めると止まらなくなって生活リズムが狂いかねません。
そういう意味でも非常に恐ろしい小説です。
ざっくりあらすじ
主人公は終末期医療に携わる精神科医(女医)。
恋人の男性(作家)が研究の為に色々な人とチームを組んでアマゾンに探索に行く。そこで奇妙なことに遭遇。
その後、日本に帰ってきた研究チームの人たち(恋人も含めて)が次々に謎の死を遂げる。
主人公はその謎を解明していくが、そこにはとんでもない事実が…。みたいな話です。
死に対する魅力、心理学、食品の怖い話など、てんこ盛り
死恐怖症(タナトフォビア)や、蜘蛛恐怖症、先端恐怖症など様々な恐怖に取り憑かれた人たちが登場します。
こういう話は聞いたこともなかったので非常に興味深かったです。
死恐怖症は、古来から、王侯貴族の心の病として知られている。毎日、生活のために数多くの問題と格闘しなくてはならない人間の心には、不確かな遠い将来に起きる死への恐怖など取り憑く余裕がない。欲しいものをすべて手に入れてしまった人間の虚脱感、心の隙こそが危険なのだ。
天使の囀り
他にも「死」に関する話が多い。この小説のテーマは「死」。
「蛇」は、人間の見る夢の中でもっとも根元的なシンボルのひとつなのだ。「蛇」が象徴する最も重要な事柄とは、「死」にほかならなかった。
天使の囀り
また、主人公が精神科医ということもあって、心理学の話もちょこちょこ出てくる。
過度に饒舌な人間は、何かを伝えるより、何かを隠そうとしていることが多い。
天使の囀り
孤独は危険という話。カルト的な宗教も外部の人間と遮断するけど、こういう理由もあるんだろうな〜。
多くの未開社会で孤独がタブーとされているのは、人を悪に取り憑かせやすくするためだという。他者との生き生きとした交流を遮断されたとき、人は、ゆっくりとした非人間化の過程を辿る。
天使の囀り
それから、食品添加物が人体へ及ぼす害について書かれています。思わず「美味しんぼの山岡さんかよ!」とツッコミを入れてしまいました。
まとめ
この小説は角川ホラー文庫のシリーズですが、心霊的な話ではなくて非常にリアルというか、科学的な話になっています。それがまた現実的で怖い。
気持ち悪い話も多いので読む人を選ぶかも知れません。が、個人的には超おすすめ!
貴志祐介さんと言えば「黒い家」というホラー小説が代表作。個人的には「クリムゾンの迷宮」と本作を推したい。
この作品は漫画にもなっているみたいで気になっています。
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