鈴木光司さんのホラー小説「らせん」の感想・解説・考察。
ホラー小説の金字塔「リング」の続編。リングシリーズ第2段。
この作品はAudible(オーディブル)で聴きました。
オーディブルのナレーションは梶山はる香さん。淡々とした語り口調が逆に怖い。

映画も小説もそうですが、個人的には「らせん」は内容が難しくて、リングに比べると作品に対しての興味がガクッと落ちる印象がありました。今回改めてオーディブルで聴いてみると理解が深まって、やはり面白い作品だと思い直しました。
ホラー小説「らせん」ネタバレ有りのあらすじ、感想をちょいちょい入れてます
小説「らせん」のあらすじをご紹介します。これを読めば大体の物語を掴めると思います。ネタバレしているのでご注意ください。
前作「リング」の終わり方が気になりすぎましたが、冒頭から登場人物が変わり、新たな物語の展開を感じます。
竜司が残した暗号
高山竜司の大学時代の同級生、安藤満雄(解剖医)。安藤の大学の同級生、宮下(病理学教室の助手、教授候補)。この二人が「らせん」の主要キャラクターです。リングの浅川・竜司タッグを彷彿とさせるかのように物語が進みます。そのことに本人たちも途中で気づきます。
安藤が竜司の遺体を解剖すると、遺体から見つかる「178 136」という数字の羅列。そして、天然痘患者に似た喉の潰瘍。
この暗号は初歩的な暗号解読の方法で「RING」という答えを見つける。暗号好きな竜司と安藤なので、竜司から安藤にだけわかるメッセージを送ったらしい。
舞を探す安藤
同じような遺体がほぼ同じタイミングで竜司の他に6体見つかる。前作リングで亡くなった若者4人。そして、浅川の妻と娘だった。(結局、助からんかったんかい!)
竜司を解剖する前に安藤は高野舞と話をしていた。その後、話を聞いてほしいと喫茶店で相談に乗っていた。美人の舞に浮かれる安藤。
舞と2度目の約束をしていたが一向に現れない。安藤は大学に連絡したり親に連絡するも見つからず。舞が住んでいるアパートに行ったが誰もいなかった。上書きされた謎のビデオテープの発見(最初の一瞬を除いて別番組に上書きされたテープ)。そして、誰もいないのに明らかに誰かの気配を感じ、急いで部屋から逃げる。
吉野(浅川の会社の先輩)から安藤に電話があり話すことに。浅川が書いていた記事のフロッピーを探しているらしい。安藤は浅川の実家に連絡を取り、フロッピーを入手。出版社に勤める浅川の兄とも会った。
竜司だけにあった謎の塩基配列
宮下の助手の根本から「竜司だけ謎の塩基配列がある」と説明される。42個の塩基配列。
安藤は休日を使ってその暗号を解く。行き着く答えは「MUTATION」。突然変異だった。
不憫な浅川
宮下に暗号の答えを教えに大学に行く。ついでにフロッピーを大学のパソコンで開くことができた。浅川のその記事のタイトルは「リング」だった。
安藤は浅川の妻の両親が心筋梗塞で亡くなっていたことを知る。結局、浅川が解いた「呪いを解く方法」は間違っていた。
しかし、これで複製したビデオテープは完全に途絶えてしまう。「増殖」と言うには非常に拡散力が弱いと感じる安藤と宮下。
そして、意識不明だった浅川だが、感染症が原因で亡くなる。ウイルスが原因ではないことに注目ですが、いずれにしても浅川かわいそすぎる…。
舞が亡くなる
安藤は舞のアパートに行く。舞の部屋からちょうど女性が出てきた。25歳くらいで色白。コートを着る季節にノースリーブのワンピース。サングラスをしていて顔がわからない。爪が割れていた。異様な雰囲気を感じ、声すらかけられなかった。
ビルの屋上の排気口に女性の遺体が見つかる。22歳の舞だった。死因は心筋梗塞ではなく凍死。10日くらいかけて亡くなったらしい。そして、舞は妊娠していた。
リングウイルスの謎
安藤は舞が亡くなったビルへ行くと、またあの女性と鉢合わせに。「舞の姉ですか?」と聞くも曖昧な返事。今回はサングラスをしておらず顔がわかる。かなりの美人だった。このシーンの恐怖と色気がすごかった。
宮下に呼ばれ、安藤は根本たちと一緒に電子顕微鏡で竜司の細胞を見た。蛇のようなウイルスがうじゃうじゃといた。指輪のような形から宮下は「リングウイルス」と名付けた。
その禍々しさに震える根本。電子顕微鏡のエキスパートの根本は竜司と舞のウイルスだけ違うことに気づく。リングの形状が切れ、棒状になっているものが多かった。
ビデオテープを見て感染されたとされる全員の細胞を調べたところ、全員にリングウイルスがあり、輪の切れたウイルスが多いほど、死に至りにくいという事実を見つける。舞と浅川がこれに当てはまっていた。
そして、よく調べると舞と浅川も少し症状が違っていた。浅川は冠動脈にコブがなく、ウイルスの形状も精子のようなビジュアル。浅川や舞だけはウイルスの運命から逃れる出口を見つけていた。結局は亡くなりましたが…。
浅川の残した文書「リング」が恐ろしい
宮下から誘われ、安藤は二人でドライブする。浅川の文書「リング」を読み、それまで宮下は傍観者でいたが、もはやそうではなく当事者になっていることに心底怯える。
浅川の文書で想像した映像が実物と違いがないか確かめるために、二人はあのヴィラロックキャビンに行く。そして、長尾にも会いにいった。結果としては、文書で読んだ通りのビジュアルで一致していた。長尾も一目見てわかった。
文書を読んだだけで感染する。かなりまずい事態に巻き込まれていると感じる二人。
貞子登場
宮下と別れ電車で帰る安藤。駅のホームで舞の姉(と勝手に思っている)と会い、一緒に映画を見に行くことに。そして夜に二人は肉体関係を持つ。舞の姉は真砂子と名乗った。前作リングで貞子が長尾を誘うように積極的に求めてくる。
翌日もデートをして、安藤が色々と質問をするがまともな回答が返ってこず。とにかくすごい食欲、そしてお金を持っていない。本屋では竜司が書いた新刊の哲学論文集を万引きしていた。真砂子の行動がめちゃくちゃで不可解すぎる 笑。
安藤の家に帰った二人。真砂子はお風呂に入る。そこへ宮下から電話があった。宮下は劇団飛翔に行っていたらしい。そこで貞子の写真を見せてもらった。なぜか貞子の顔だけは浅川の文書のイメージと違っていたらしい。そのことを安藤にも確かめてもらいたいので、ファックスで貞子の顔写真を送ってきた。届いたファックスを見て驚愕する安藤。貞子の写真は、真砂子にそっくりだった。この小説が発売された当時はまだ携帯電話が普及されていなかったので、小説内ではファックスを使っているんですが、これがまたいい味を出しています。モノクロの粗い画像で貞子の顔写真が印刷されて出てきたらそりゃ怖い。
一目散にそこから逃げる安藤。宮下に会いに行く。宮下の話では高野舞が貞子を産んだ。排卵日にビデオを見た舞は妊娠したという仮説。
舞は「生み出すこと」で、浅川は「記事を書くこと」でウイルスの呪いから脱出できた。
貞子の増殖
浅川の書いた記事「リング」を浅川の兄(出版社勤務)が小説として発売するという情報が入る。浅川の兄の話ではビデオは処分したという話だったが、ビデオを見ていたかもしれない。
宮下と二人で安藤の家に行ったが、貞子はすでにおらず手紙を残していた。『自分でもまさか再生していることにびっくりしている。そして、小説の出版を妨害するなら二人とも殺す。しかし、出版を妨害しないなら、私ができることもある』と書かれていた。
安藤は海で亡くした息子を再生させるため、貞子と悪魔の契約を交わす。
読むだけでリングウイルスに感染する小説。リングは100万部売れ、映画化もされることに。一般公募で俳優を募集し、貞子役は当の本人が演じることに。女優になる夢が叶う。
排卵日にこの映画を見た女性は貞子を産む。リングウイルスはさまざまに突然変異し増殖。
竜司がやっぱりヤバいやつだった
「人の生まれる瞬間、死ぬ瞬間を見たい。進化のその場に立ち合い、介入したい」と言っていた高山竜司。竜司と貞子はDNAレベルで結託。
ビデオテープを見てウイルスに感染した竜司は、浅川や舞、安藤までも操っていた(出版を強行した浅川の兄も?)。そして最後に竜司自身も再生する。
両性具有の貞子は性交渉なく一人で妊娠ができる。受精卵に誰かのDNAを入れ替えることで、一週間で生まれる。突然変異の話やこのあたりの話は個人的に難しかったので、ぜひ原作小説を読んでみてください。
安藤は離婚していた妻に息子が戻ってくることを伝えるつもり。再婚もあるかもしれない。
非常に絶望的な形で終わります。
ホラー小説「らせん」で面白かったところ
文庫本を持っていましたが
文庫本を所有していて、2回は読んだと思いますがかなり昔なので、内容をほぼ覚えていませんでした。
所有している文庫本は1998年の第8版。初版は1997年。
本が発行されたのが1995年なので30年も昔の本なのか…。時が経つのは早い。
下の画像のカバーもかっこいいですが、現在のらせんのカバーもかっこいいですね。
リングでは挿絵が入っていましたが、らせんはありませんでした。

らせんで最大に怖かったところ
らせんはリングに比べるとホラー要素が少な目。かなりSF寄りの作品ですね。
そんな中でも個人的に一番怖かったシーンは、安藤が舞の家に行った際に、別の女性が出てくるシーンです。
真冬にワンピース、サングラスで顔が見えず爪が割れている。しかも誰かもわからない。一緒にエレベーターに乗るシーンはマジで怖い。
端的に書くと全然怖くないですが、ここは小説を読むと戦慄の走るシーンだとわかってもらえるかと。
次に怖かったのは、安藤が舞の姉と思っていた人物が貞子とわかるシーンでしょうか。
このシーンでは安藤は気絶しています 笑。いくら貞子が美人とは言え怖いものは怖い。美人だから怖いのかも。
自分の顔の描写は難しい
浅川が記事にしようと思って書いた文書「リング」。この文書を読んだ安藤も宮下も貞子の顔だけは、イメージと違っていました。ヴィラロックキャビンの建物や長尾と会った時の印象も文書とイメージが合致していたのに、なぜか貞子だけイメージと違っていた。
宮下は、似顔絵のプロが最も苦手な似顔絵は自分の顔、という話をしていました。
顔の印象は自分と他人では捉え方が違うんでしょうね。
ここから分かるのは、この記事は浅川が書いていたのではなく、貞子のウイルスが浅川に命令して書かせていた、厳密に言えば貞子が書いていたということなのかな?
竜司の話が面白い
竜司が終盤に再生して登場。
そこで安藤に面白い話をしていました。
生物の進化には、地球外の何か別の意志が働かないと説明できないことがある。
ここでは眼の進化の話をしていて、眼のない生物にとって体が触れる部分が世界の全て。そういった生物に「見る」という概念が働くとは考えられない。認識できない意志がどこからともなくやってくる。一体はそれは何なのか? リングの物語からそうですが、竜司は人以外の存在(例えば神の存在)を信じている節があります。
「最後にもうひとつ、教えてやろう。人間はなぜ文化的に進歩を遂げたのか。人間は大概のことには耐えることができる。だがなあ、たったひとつ退屈だけは我慢ができない動物なんだ。全ての出発点はそこにある。退屈から逃れるため、進歩せざるを得なかったのさ。単一のDNAに支配されたら、さぞ退屈だったろうなあ。個体差なんてなるべくあった方がいいんだ。でも、ま、仕方ねえか。そいつを望む人間がいるんだから。ところで、おまえ、無人島の生活だなんて、退屈だぜ」
らせん
宮下や浅川は…
安藤は貞子と契約し、小説や映画の妨害をしない代わりに息子を再生させます。
宮下に関しては特に小説内で記載がなかったですが、ワクチンが報酬だろうと推測します。
映画では舞も再生して登場していましたが、小説では竜司と安藤の息子だけ再生して登場。DNAさえあれば再生が可能なので、もしかすると舞や浅川、浅川の妻や子も再生させたかも知れませんね。
しかし、死亡届けを出しているので、再生して生きるにしても人目につかないように生きるか、名前や顔を変えて生活するか、制約は大きそうです。(後のシリーズで、竜司が名前を変えて登場するんですが、なるほど、こういう経緯があったのね!)
リングウイルスに感染したものは、遺伝子レベルで操作されてしまいます。安藤も宮下も記事を読んだことで感染しているはずなので、小説や映画を妨害しないようにもできたはず。
竜司の優しさで、安藤と貞子が交渉することで子供を復活させてあげたのかも知れません。
宮下や浅川はどちらにしても、いいように動かされたという感じは拭えませんが…。
まとめ
浅川が書いた記事を浅川の兄が小説「リング」と題して出版。100万部を超えるベストセラーになり、映画化も実施。
小説を読みながら、現実世界と小説の世界が繋がった感覚になりました。この小説「リング」も映画の「リング」も既に僕は見てしまっているので、リングウイルスに罹っているとも言えます。
こういう仕掛けを何というのかわかりませんが、憎い演出です。
ネタバレして内容を書いてきましたが、かなり省略していますので、ぜひ原作小説を手に取って読んでみてください。Audible(オーディブル)は全作品聴けておすすめです。
前作のリングで謎だったことが解明され、この後どうなるのか?シリーズ3作目以降もまた読んで(オーディブルで聴いて)いこうと思います。次作も本を所有していて何度か読んでいるんですが、もうかなり昔なのでうろ覚えです。
順番がバラバラですが、リングシリーズの感想を書いていますので、気になった方はチェックしてみてください↓






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